第一話 「フライの夢」
庭で猫じゃらしを見つけた。ついフライ相手に使ってみた。フライはそれをたいそう気に入った。翔と二人で遊べるのが嬉しいのか、フライは何度もそれで遊んでくれとせがむ。めんどくさいとは思っても、翔もフライを無下にはしなかった。
展望室で宇宙を眺めていた。
青い星を探してしまう。
そんな自分に気づいて苦笑する。
宇宙船の外に出たことはなかった。宇宙服もあるらしいが、やっぱり外に出てみるのは怖い。怖いけど、この宇宙は彼方にあるという自分の故郷の星に繋がっているという。
そう思うと、愛しくなった。
宇宙にフライの姿が重なった。自分の映ったすぐ横。展望室の窓辺から振り向くと、もうフライは笑っていた。一瞬、泣いているように見えたのに。
「翔は、宇宙に終わりはあると思う?」
フライが訊いてきた。
「宇宙の果て。まだ誰も行ったことないんだよ?」
「え、えーと……」
「私。翔に出逢えたおかげで、初めて自由に宇宙に来れた。すごく嬉しかった。だって、いつも、周りに誰かがいて、堅苦しくお姫様やってなきゃならなかったから」
「......大変だな」
「ずっと夢だったの。こんなふうに宇宙を旅すること。夢なの。宇宙の果てを見ること」
無理だ。フライたちの寿命がどれくらいかはわからないけど、それは無理だ。
「ねー、宇宙の果てってどうなってると思う? いきなりそこで宇宙が終わってるの? その向こうにはなんにもないの? 星みたいに、宇宙も丸いの? 楕円? ずーっとずーっと進んで行ったら、同じ所に戻ってきちゃうの? だとしたら、その向こうには何があるの? なんにもないの? もっと大きな宇宙があるの? その向こうには何があるの?」
翔の頭の中に科学の本が浮かぶ。科学的な数字は大きすぎて全然覚えていない。いろいろと自分では確かめたこともないような、まだ本当には誰にもわからないようなことがたくさん書いてあった。だから翔は曖昧に頷いた。
「ねぇ、行けるかな? いつか私、宇宙の果てに行けるかな?」
「.......行けるといいな」
フライは笑った。
嘘でも行けるといってやればよかったと、後で少し後悔した。




