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檻城(おりじろ)の姫君 ━━檻の城で、自由を夢見た姫君━━  作者: うさぎさん⭐︎
第四章 婚約者

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第七話 「助けて」


 マイティの搭乗したサメ型の船・ライズは、無謀にも、最前線、ユウゾウの正面に陣取っていた。言うまでもなく、集まった艦隊の総司令官はマイティである。

 マイティは、いきなりユウゾウを攻撃させた。予定と違う。ライズはこんな前へ出る予定じゃなかった。四方に護衛をつける。そうマイティ自身が言っていた。のに、違う。ライズとぼぼ同タイプの船・ワイズに乗った副可令官キールは、この状況でもまだ冷静な猫だった。マイティも当然そうだと思った。でも、違った。意見したかった。したかったけど、できなかった。だって、マイティは超偉い。

 彼は案じた。姫の身を案じた。みんな姫が大好きなのだ。だから、キレているのだ。だからキールは言いたかった。連続砲撃はさすがにヤバイと。姫の身の安全を最優先する、これが今回の作戦のはずだ。なのに、ライズは自らユウゾウを攻撃する。 

 ライズは最強の船である。足も速いが、オフェンス面もディフェンス面も最強。とにかく強い。光線がこれでもかってくらいユウゾウを襲う。曲線を描いて、ユウゾウの左右を攻める光もある。

 コレ、生放送しているはずである。クレームとかこないのだろうか。

 キールは、猫の星で二番目の天才といわれる猫である。

 このままじゃ、いつか敵船のシールドは維持できなくなる。そしたらどうするのだろう。ユウゾウも反撃している。ライズもシールドを張っている。なんで一騎打ちしてるんだろう? ほんとにこの黒猫に任せてていいのか? いつもの彼ならこんなことはしない。

 彼に意見できるのは、王と王妃と姫くらい。でも、姫はあっちの船の中だし、王と王妃はばかだから、娘が死ぬまで「た~まや~」とかいってるだけかもしれない。それっぽい。

 ━━通信入れて、言ってみた。

「総司令官」

「━━ん⁈」

 目が怖い。

「いえ……なんでもありません……」 

 ああ。どうか姫様、ご無事で……っ!


「シールド損傷率六十%。このままでは間違いなく撃破されます」

 ユウゾウの声はいつにな震えている。そりゃそうだ。このままじゃ、ユウゾウ自体が破壊される。震えるはずだ。それは同時に、船内のすべての者の死を意味する。「どういうことだ⁈  フライを殺す気か⁈」

 翔とフライは再び、船長席に着いていた。

「わかりません。ギリギリまで攻撃して、脅すだけ脅して、船内に乗り込んでくるつもりかもしれません」

「その前に、撃破されるかもしれない!」

「翔、フライ。脱出艇を使って、あなた方だけでも逃げるべきかもしれません」

「なに言ってんだよユウゾウ! フライと俺だけじゃない! みんなで生き抜くんだ‼︎」

「翔……」

 フライもフライで喚いている。

「繋がらないよ!  ライズに通信繋がらないよっ‼︎ どうして⁈  あんなマイティ初めて見た‼︎ どうして⁈」 

 マイティマイティ喚いているのは、こんな時だがなんかむかつく。

「ユウゾウ。反撃強化しろ!」

「もう限界です」

「ライズの弱点は⁈」

「そんなものありません!」

「どうする⁈  ジャンプして逃げるか? ━━フライ、マイティはだめだ!他の所へ通信入れよう! あれだ!  報道だ! フライの親だ‼︎ こうなったらフライだけでも助けてくれるよう頼め! ユウゾウ早くしろ!」

「シールド損害率七十%。通信繋がります」

 空中スクリーンにピンクの猫が映った。ほんとにいた。ピンクの猫! しかも、ショッキングピンク! マイクを持っていた。

「みなさん! ライズと激しいバトルを繰り広げる噂のお魚船ユウゾウ・ブリッジと通信が繋がりました!」

 とかなんか言ってる。生放送に映されているらしい。それどころじゃない。ユウゾウ・ブリッジにもテレビはあるけど、最初からつけてない。

 ━━それどころじゃない。

「王と王妃を出せ! フライを殺す気か⁈  死ぬぞ‼︎」

「みなさん! 犯人が命乞いしています!」

「助けて‼︎ お願い‼︎ 私たちを放っておいて!!」

「みなさん! 姫君です! 哀れ姫君‼︎  洗脳されているとの情報は真実か⁈」

「私は正気よ! みんなっ、聞いて‼︎  翔は被害者! 私が家出に彼を巻き込んだだけっ‼︎ 私、もう姫なんて嫌だったの‼︎ 重荷なの! 檻なのっ‼︎」

「みなさん! お聞きしましたか⁈  やはりフライ様は洗脳されておりますっ‼︎」「違う! 違うよっ‼︎」

「シールド損傷・八十%!」

「ごめん、ごめんみんなっ‼︎ 期待裏切ってごめん! お父様お母様ごめんなさい‼︎」 キールはもう我慢できなかった。姫は死ぬ。このままでは死ぬ。だから、彼は動いた。

 マイティはばかな猫じゃない。ちゃんと頭のどこか片隅に理性も残っていた。キレていたけど、完全にブチキレてはいなかった。だから、彼はキャトラ鑑通常装備の光龍砲しか使っていない。でも、これでも、もう少し、あとほんの少し攻撃したら、死ぬ? フライは死ぬ? 僕の姫。僕の愛しい姫。死んだらどうなる? フライが死ぬ死ぬ死ぬ━━……。

 敵船シールドはもう持たない。シールドなしなら、光龍砲でも、充分破壊できる。あの船を。そして、フライは….....。

 死ぬ。

 ━━笑っていた。あの男の前で。だけど、彼女は笑ってくれた。━━小さい頃なら。━━僕に。僕の名を呼んで笑っていた。

 ライズ・ブリッジにもテレビがある。生放送が映っている。フライが喚いている。 彼女が言った。

「助けて! ごめん、マイティ‼︎ 助けて‼︎」 


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