生物 K
謎の物体と彼と彼女のお話
SF系
周りを見渡しても闇しか見えず、水滴が滴る音とゴツゴツと何かが擦れる音、どこからか吹いてくる気味の悪い風の音が木霊する中で私は目覚めた。
生物か鉱石かはたまたそれ以外の分類のものか分からない存在がいつかも分からない時代で目覚めた。
なぜ私に意識があって考えることができるのか。
きっとそれは私の下、或いは上、或いは私自身?にある白く所々何かが爛れている物質のおかげだろう。
私はこのおかげで知性というものを手に入れたらしい。
そんな始まりをよく思い出す。
これは彼と私と彼女が出会うお話だ。
彼との出会いは私が生まれた暗い洞窟の中であった。
彼はライトを手にして私と接触を試みた。
その頃の私はまだ知能が乏しかったので彼の脳に接続して彼の知るものを全てコピーした。
どうやら彼は研究者であり、宇宙から飛来した隕石を調べに来たようだ。
そして私はその隕石から産まれた、いや、隕石の成分と地球の成分が融合して生まれた生物であるというのは彼の研究に協力していくうちに知った。
彼は洞窟の近くに仮の研究室を作って私の事を研究していた。
彼と対話を重ねるうちに彼は良心のある研究者だと分かった。
そして研究者には良心が無い人間もいると知った。
彼は夢を時々語っていたがそれは別に知っていたことだった。
彼もそれは理解していたがそれでもよく話していた。
生物は対話をすべきだと彼はまたよく言っていたものだ。
彼は私と友達だと言っていた、それに嘘はなかった。
彼は私と対話をすると手を止め私のことを見ていたのだ。
生物は目を見て話すということが大事だと知ったのは彼と出会ってから1ヶ月が経つ頃だった。
彼は最近になってから本部とやらに電話をするようになりよく興奮をしていた。
私の性質がどうやら彼の探していたもの、いや、生物が探していた物質だったらしい。
しかして、私は彼のやりたいことに気づいていた。
私は地球のありとあらゆる物質に変質できるため、地球にとってこれとない最高級の物質であった。
私は逃げるべきだった。
或いは彼を乗っ取り平和に暮らすべきであったのは言うまでもなかったはずだった。
しかして、私は彼を信じたかった。
私は彼のコピーみたいなものだ。
地球的に言うならば私は彼の上位機種だ。
彼の知識、経験を持ちながら彼にはできないことを私はできる。
そして、彼は研究者ではあるが人並みの良心は持っていた。
きっと私を調べ尽くし、私を増産することが成功したならまた友達として接してくれるだろうと思っていた。
故に私の断片を研究に使ってもらっていた。
研究の妨げにならないようにその断片は基本的に思考をしないようにしている。
だが、私が学習した倫理観に背くことを認めたなら自立することをここに来る前に設定しておいた。
その機能が起動するまで研究所に来てから半年も経たなかった。
私の断片は映像を送ってきたそこには普通の人間が居た。
研究者でもなく関係者でもないただの人間がいた。
彼女はキレイだった、彼女は怯えていた、彼女は私に憎悪していた、彼女は研究者に助けを乞うていた。
私は彼のコピー的存在だと前に言ったように、私は彼の思考をそのまま再現できる。
彼の良心はこの行いを許していなかった。
私は彼のためにも行動を起こした。
私は彼に会いに行き感謝を告げた。
私は彼を恨んでいないことと私に知を与えてくれたことしっかりと伝えて理解してもらった。
彼は泣いていた、彼は謝っていた、彼は私に託した、彼は私に良心であれと言った。
彼は最期に[最初と最後は友人のままであった]と私に述べた。
すべてが終わった時、ただの人間、彼女と言っておこう、彼女と外に出た。
彼女は世界について何も知らなかった。
だからこれは私の倫理観に背くが、私は研究室で学んだのだ、時には倫理観を無視しなければならない困難が迎えに来ると。
彼女はこのままでは生きられないと、彼女に説明した。
彼女は理解を示した。
私は彼女の脳と接続し、彼の事をそっくりそのままインプットした。
彼女の脳はそれを拒んだが私の性質を使い何とか詰め込んだ。
彼女は彼の人生と経験を手に入れて大人というものになった。
彼女は生きることには困らない大人になった。
いや、或いは彼女を彼にしてしまった。
いや、或いは彼はこれを計画していたのかもしれない。
いや、彼はきっと彼のままで終わることを認めていた。
彼女は私に触れ[一緒に行こう]と凛として述べた。
彼女と私はこれから何をするべきだろう




