小悪魔男子
る~る~るる~る~る~るる~
職場にて、仕事をバリバリこなす、クールで有名な別部署の営業所長と談笑。今度、食事の約束を交わした。
もちろん、狙ってるよ。
妻子がいるなんて知ったこっちゃねぇ。
比較的話が合うと感じているエミちゃんから、『あんた小悪魔だね~』なんて、言われた。
まさかまさか、小悪魔て。
3つ歳の離れた妹よりも、実は経験人数少ないぞ。
まあ、小悪魔と言われるのは初めてではない。
冗談ぽく小馬鹿にしながらも、言っている側に何かしら羨望の感情が混じっている。
自分が小悪魔な要素を持っているとして、それって一体何なんだ。
ズバリ結論、野心を持っているということだ。
思うに、俗に言われる「夜の世界で働いている」とか、「見た目がギャル」なんてのは関係ない。
現に、マイナーなアパレルメーカーの一社員であるし。
―いかに、自分の思うように周囲の人を動かすことができるか―ということかもしれない。もちろん、恋愛に限らず。
先に言っておくが、他人を動かすには、心を掴んでおかなければならない。
お金の力は借りず、己の魅力のみで勝負だ。
そう思ってやってきた。自分は、そうやってきたんだ。
エミちゃんは、自分には男運がないと嘆く。が、そんな言葉を発している瞬間に、運はもっと逃げていく。友達として、教えてあげたい。
まず野心家になるんだ!って。
野心だけでは、これまたダメ。持っている知性と想像力と行動力をおしみなく生かす!
声を大にして、全女子に訴える。
出し惜しみする奴に、幸せは一生やってこない!!
偶然任せにするのも人生、他人が否定できることじゃない。だけど、テメェの可能性、テメェで殺してるかもって、ちょっとでも考えて欲しいよ。
さて、ひとりでおアツくなるのもこれ以上はストップ!仕事に戻るよ。
都心駅ビル2F。メンズウェアを扱うフロア。
僕のステージ。
この不況。
お客に洋服を買ってもらう為、知識、直感、会話の引き出しをフルに活用する。
なんて、楽しい。
うまくいくことばかりじゃないけれど、体と頭を使って生きてりゃ運はやってくるし、モテるよ。
僕は、そこいらの女子なんかに負けない。好きな人には好きだと伝える。気持ち悪いと言われたって、そんなこと、幸せになるために乗り越える壁にすると決めたから。
草食男子に興味はない、自分の足でしっかり歩いている大人の男にしか惹かれない。僕、小悪魔男子。
イキイキ輝いている人って、ひがまれたり、ねたまれたりするけど、決して嫌われてるわけじゃない。憧れの裏返し。