表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/50

0. 少年のエピローグ

 もう随分と長いこと、考えている気がする。もし、自分の死に際に、誰かが泣いてくれたなら──それだけで、その死にゆく魂は、報われたと言えるのだろうか。そんなことを、もうずっと。果てなく長い時間をかけて。


 誰かが泣いている。


 小さな手。小さな背中。熱を帯びた涙……。それがいったい誰のものなのか、大切なもののはずなのに、何故だか、すぐに思い出すことができなかった。俺はこの自分自身が、何処にいて、誰なのかすら思い出せずにいた。


 けれど、俺の名を呼びかける声が、その答えの全てを教えてくれた。そう、俺の名を呼び、俺のために泣いてくれるのは、()()()()しかいないのだ。


 しかし、どのような顔で、どのような声で、どのような言葉で、俺はそれに応えたのだろう? だが、考える時間は残されていない。もうその時間(とき)が来たようだった。そんな問いも、やがて、全てが遠ざかる。声も涙も、痛みも嘆きも、温もりも愛情も、その全てが一様に遠ざかってゆく──。


 そう、俺、アッシュ・グエン・ローリーは死んだのだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ