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静かな夜

作者: とよき

夜が降りる

静けさの中で

風が耳を撫でる

何も言わず、ただ通り過ぎる


街灯の下で

影が長く伸びる

一人歩く足音だけが

時間を刻む音


どこまでも空は広くて

心は小さな部屋の隅で

温もりを求める


私は今、ここにいる

一言も発さずに

夜と共に呼吸している

瞬きの音だけが

時間を刻む音


一歩一歩

暗闇の中で

足元だけが確かで

その先はまだ見えない


ひとしずくの月明かりが

目を閉じれば、ただの光

でもその中に

無数の物語が眠っているようで


私は歩く、

何を求めているのか

それすらもわからないままで

ただ、歩き続ける


手を伸ばしても届かない

遠い場所へ

でもその手が

風を掴む瞬間に

世界が少し変わるような気がした

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