FIRE後に初めて受けた人間ドック(4)
人間ドックとして、血液検査、尿検査、胸部X線写真、心電図、腹部エコー検査、視力検査、眼底検査、聴力検査といった以前の健康診断でも受けたことがあるような検査を順次受けていく。
ただ、その中に、初めて受ける検査があった。
それは肺活量測定だった。
今まで生きてきて、私は肺活量というものを測定したことがない。特に呼吸に関して不便を感じることもなかったし、また測定する必要性も日常生活の中で全く無かった。
検査機器の前に置かれた椅子に座り、看護師から、その機器に繋がれたチューブを手渡される。
「口にくわえてください。そして私の指示に従って、呼吸をするようにしてください」
私はそのチューブを口にくわえて。
「小さく吸って、小さく吐いて、小さく吸って、小さく吐いて」
看護師のその言葉に従って、チューブの中に息を吐き出し、そして吸うということを繰り返す。
看護師は突然大きな声で、
「大きく吐いて、吐いて、吐いて」
と言った。
私は思い切りチューブの中に息を吐き出す。看護師の「吐いて」の言葉に従って、本当に苦しくなるまで息を吐き続ける。もう駄目だというところで呼吸は止まった。
「はい、結構です」
看護師の口からその言葉が出るまで、私は息を吐き続けた。
肺活量測定には二つの測定がある。
一つは「量」を測定するもので、そしてもう一つは「勢い」を測定するものだ。
「量」を測定するときは、できるだけ多くの量の息を吐き出すようにする。そして「勢い」を測定するときは、瞬間的にできるだけ多くの息を吐き出すようにする。
そのような二つの測定があることを知ったのも初めてだった。
時間としては五分もかからなかったと思う。
だけどその肺活量測定をした後は、ただ呼吸をしたというだけなのに大きな疲労感が体に残っていた。
肺活量測定がこんなにも疲れるものだとは知らなかった。




