不老長寿(3)
抗老化技術に関する研究が昨今盛んに行われるようになった一つのきっかけとして、「ダニーデン研究」と呼ばれる研究がある。
抗老化技術はマウスなどで研究が行われていたが、人を対象にして研究を行おうとした場合、人はマウスとは違って寿命が長いのでその効果測定が難しい。マウスの寿命は2年だが、人の寿命は80年であり、40倍もの違いがある。
それもあり、この「ダニーデン研究」の前までは、なかなか抗老化技術の人への効果を科学的に証明する研究はあまりなかった。
ダニーデン研究とは、ニュージーランドのダニーデン市で1972〜1973年に生まれた1000人以上を対象に、出生時から現在まで健康状態を追跡調査する長期縦断研究となっている。
追跡期間は26歳から45歳までの20年で、その間に複数回、詳細な健康調査を実施した。調査では免疫、循環器、呼吸器、腎臓機能などに関わる19種類のバイオマーカーを測定した。
これまで、ここまで大規模で長期間にわたる研究はなかった。
この研究により、いくつかのことが分かる。
まず、老化のスピードについて個人差が大きいということ。
1年間に「0.4歳」しか老化しない人もいれば、「2.44歳」も老化する人がいた。この差は6倍にもなっており、暦年齢(実年齢)と生物学的年齢が大きく乖離する実態を示した。
老化が早い人は実年齢よりも老けて見え、認知機能や身体能力の低下も早い。
また、研究では、「老化時計」という指標を開発し、測定データから個人の老化速度を数値化した。それにより、老化の進行度を客観的に評価可能となった。
なぜ、人によってこんなにも老化の速度が違うのか。
番組に登場した専門家は、次のように述べる。
「遺伝的に老化速度が遅い人もいるが、運動や食事など生活習慣の影響は大きい」
運動や食事。
ある意味、当たり前のことだが、その当たり前のことが老化に対してはやはり大きな意味を持っているということなのだろう。




