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或る人のFIRE日記  作者: 鷺岡 拳太郎
2025年11月
355/367

多重人格者(4)


大学キャンパス内で発生した3件の暴行事件。




犯人として逮捕されたビリー(基本的人格)には、その犯行に関する記憶はなかった。精神科医の調査によって、ビリーには23人の人格が潜んでいることが明らかになる。そしてその中の一人、アダラナ(女性人格)が、自分の犯行であることを自白した。








しかしビリーは自分の中に23人の人格を抱えており、裁判に耐えられるような精神状態ではなかった。




そこで精神科医のもとで、ビリーの中の人格の統合が試みられる。








人格の統合について、番組に登場した精神科医、コリン・ロス氏は次のように述べる。




「全ての人格は1人の人間の断片化された部分で、同一の連続体です。


人格を統合する際には、『どうすれば、みんなで協力できるのか?』『今後の人生で何をしたいのか?』を人格同士で話し合わせます。


感情を共有し、思い出を共有し、人生の課題を共有する。


何年もかかる段階的なプロセスです」




ビリーの中に潜む23人の人格は、元を正せばビリー本人の人格であり、それが細分化されていったもの。


だから、人格同士で話し合いを重ねさせることによって、細かく別れていった人格を一つ一つ統合していく。


おそらくそのようなことなのだろう。








ビリーにもそのような治療が行われ、数カ月に渡る治療によりビリーの中の23人の人格は、ビリー(基本的人格)、アーサー、レイゲンの3人の人格にまで統合されていった。




そこでビリーは、大学キャンパス内で起こした暴行事件についてようやく裁判を受けることになる。




判決は無罪だった。


心神喪失によって、責任能力がないとされたのだ。








その判決について、当時の精神科医たちは「犯罪者人格も無罪になる危険性」について警鐘を鳴らした。


その中の一人、精神科医のクレックリー氏はこのように述べたという。




「現れた人格は、その人格の一部である。


ミリガンが覚えていなくても、罪を犯した人格が彼の心の中にいる以上、有罪にすべきだった」



挿絵(By みてみん)


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