多重人格者(2)
1977年、オハイオ州立大学キャンパス内で3件の暴行事件が発生する。
その容疑者として22歳のビリー・ミリガンという男が逮捕された。彼が犯人である物的証拠は揃っていたが、ビリーにはその犯行の記憶はまったくなかった。
弁護士との打ち合わせの際に、ビリーはそれまでとは全く違った口調で次のように述べる。
「自分はビリーではなく、ビリーは今眠っている」
ビリーの担当弁護士は不信を持ち、接見を通して彼の異常性に気づく。その後、精神科医による調査が行われ、彼は、ビリー(基本的人格)、デイヴィッド、ダニー、トミー、アレン、アダラナ(女性人格)、イギリス訛りのアーサー、レイゲンなど、合計23人の人格を持っていることが明らかになる。
23人の人格の中で、アーサーとレイゲンの二つの人格がリーダー的な立場に立っており、その時その時にどの人格を表に出すかをコントロールしていた。
アーサーは他の人格たち全員の存在を最初に発見した人格で、危険のない場所では彼が人格たちのリーダーとなる。
一方でレイゲンはアーサーと対をなす人格で、刑務所を含め危険な場所では彼が人格たちのリーダーとなっていた。
アーサーとレイゲンは、精神的に負荷のかかる状況に立たされると、基本的人格であるビリーを無理やり眠らせて、他の人格を表に出していた。
ビリーは精神的に弱く、精神的に負荷のかかる状況でビリーを表に出してしまうとビリーが自殺してしまうリスクがあるということを懸念していた。
番組に登場した、多重人格に詳しい精神科医であるコリン・ロス氏は次のように述べる。
「(多重人格者の特徴は)人格の記憶が別々になっていること。
ある人格が何も覚えていなくても、別の人格が覚えている。
精神科医は人格たちの記憶をかき集め、矛盾があるかどうかを調べることで鑑定できる」
ビリー(基本的人格)も、他の人格が表に出ているときの記憶はなかった。




