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或る人のFIRE日記  作者: 鷺岡 拳太郎
2025年11月
341/368

歯医者について思うこと(2)


歯の治療中は治療台の上に横になって、上を向いた状態で大きく口を開け続けなければならない。





私はできるだけ治療をしやすくしようと大きく口を開ける。


すると、そのうち顎が疲れてくるし、次第に痛くなってくる。


顎関節症気味の私にはそれが結構な苦痛だった。











それに、冬場に鼻炎で鼻詰まりがあったりすると、「治療中にどのように呼吸を確保するか」が大変だったりする。


口の中では様々な器具を入れて治療を行っている中で、当然口からの呼吸はできない。鼻詰まりの鼻で一生懸命呼吸をするしかないのだ。


治療中にくしゃみをしてしまったらどうしよう。


そんなことも気になってしまう。











歯の治療中は、歯を削りながら歯に水を吹きかけるということもする。


当然、口には水が溜まってくる。


吸引用のチューブでその水を吸い出しながら治療は行われるのだが、ただそれですべての水を吸い出せるわけがない。次第に喉の奥に水が溜まってくる。しかも治療台の上に横になって上を向いた状態だったので、その水が喉に直接溜まってくるような感覚があった。





そのようなときも苦痛を感じる。


治療中に変に咳をしてしまったら、大変だ。


私は喉に水が溜まるのを感じながら、じっとその状態に耐えるしかなかった。











ただし、現在通っている駅前の歯医者では、一つ、治療中の患者に対する気配りがある。


その歯医者では、ある程度長時間に渡っての治療を行う時は、マウスピースのようなものを口に入れてくれるのだ。


それは口の片側だけに挟み込むもので、口を大きく開けた状態で、治療する側とは逆側で簡単に噛む。


治療中にそれを噛んでいれば口を開けた状態を維持できる。


それを使うことで、口を大きく開け続けることによる顎の疲れはだいぶ緩和するので、その点は良かった。





以前通っていた歯医者はそのような気配りはまったくなかったので、自力で大きく口を開け続けなければならなかった。











その苦痛から解放されるというだけでも、私は嬉しかった。



挿絵(By みてみん)


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