思考の穴(4)
何か好ましくない問題が発生したとする。
その際に、人がその問題(結果)に対する原因、つまり因果関係を認識する際に共通して使う手がかりとしては次のようなものがある。
類似性。
発生した結果に類似した項目を「原因」として認識しやすい。
親近性。
発生した結果に近い項目を「原因」として認識しやすい。
ただし、原因と結果は似ていたり釣り合いが取れていたりするとは限らないのだ。
そのため、本当は因果関係がないものに因果関係を信じ込むことも起こりかねない。それに人は、ある現象が起きた原因がひとつ明らかになると、原因となりうるその他の要素は自動的に考慮されなくなる。そこまで頭が回らなくなる。
発生した問題に有効に対処するためには、因果関係を正確に捉える必要がある。
そうしないと、的外れの対策をして、結局同じことを同じように繰り返すということにもなりかねない。
会社員時代の私は「製品開発」の仕事をしていて、そのことを思い知らされることも多々あった。
試作機を作って製品評価を実施した際に、何かしらの品質問題が発生したとする。
当たり前のことだが、その問題が発生した原因を正確に捉えないと有効な対策はできなかった。対症療法のような対策を施したとしても、結局次の試作ステップで同じ問題が発生してしまうということもあった。
FIRE生活移行後においても、様々な問題が発生する。
それは生活面に関連する問題だったり、経済面に関連する問題だったりする。私はそのたびに様々な情報を収集して、その情報をもとに状況を客観的に分析することで対策を施すことを心がけていた。
著者は、このバイアスに対処するために「距離を置くこと」を提案している。
答えが見つかりそうにない問題に建設的に取り組むには、そこから敢えて距離を取ってみるのだ。一歩後ろに下がって、自分自身と、そして目の前の状況を客観的な視点で俯瞰的に見るようにする。
それによって何かしらの示唆を得られることもあるという。
「一歩下がって、物事を俯瞰的に見る」
このことは「因果関係」を考える際には重要なことなのかもしれない。




