転職したときの話(13)
企業Bに中途入社して、私は製品Kの設計チームに加わった。
製品は多くの「ユニット」で構成されており、それらのユニットを組み合わせることによって要求される機能を満たす一つの「製品」となる。
私が加わった設計チームは、製品Kのユニットの一つを担当していた。
設計チームと言ってもそれほど大所帯ではない。
ユニットリーダーとして社員のSさんがいて、またそのチームの面倒を見るという名目で管理職のNさんがいた。
企業Bの社員はこの2人だけで、それ以外はすべて派遣会社から派遣されてきた設計者だった。なので、ユニットリーダーのSさんと管理職のNさんはそれらの派遣社員の取りまとめをすることが仕事で、実際の設計業務は行っていなかった。「設計」という実働部分は、派遣社員がすべて担っていた。
設計の実働部隊となる派遣社員の4人。
彼らを管理監督する2人の社員。
総計6人のチームだった。
そのチームに、私は「設計者」という形で加わることになった。
この開発体制は、私の前職の企業Aとは全く違っていた。
確かに企業Aの職場にも派遣会社から派遣されてきた派遣社員はいたのだけど、実際に「設計」という仕事をすることは稀で、基本的には設計のサポートをするような位置づけにあった。
やはり「製品設計」は製品を製造して販売していくメーカーとして非常に重要な部分を占めており、その仕事は社員が行うものだという考え方が企業Aにはあったのだと思う。
しかし企業Bでは、その「設計」の主要な部分を社員ではなく派遣社員が担っていた。
私は企業Bで今までとは全く違った開発環境に強い戸惑いを感じながら、「設計」という仕事をスタートさせることになる。




