生と死の境界線(4)
三人目は、ポッドキャスターの男性。
彼はアイヴァンの事件を知り、独自に事件について調べ始める。
重要とされた証拠に関する不自然な点。
アイヴァンが有罪となる重要な根拠となった、アイヴァンの恋人と、その恋人の弟の証言に対する疑問点。
この姉弟は、「アイヴァンから殺人の隠蔽を頼まれた」と証言していた。
色々と調べる中で、アイヴァンは冤罪だと確信する。
そしてそのことについて、自身のポッドキャストの番組で情報発信を続けていた。
アイヴァン自身も、執行予定日の一週間前、「あるポッドキャストが新情報を発見した」と主張して、執行延期の訴えを起こしていた。
そして四人目は、シスターであるヘレン・ブレジャン。
彼女は死刑制度に反対する著名な活動家で、40年以上、死刑囚とともに様々な活動をしていた。
ヘレンは、「デッドマン・ウォーキング」という映画に出てくるシスターヘレンのモデルとなっている。
映画ではシスターヘレンをスーザン・サランドンが演じ、死刑囚マシューをショーン・ペンが演じている。
映画は、シスターであるヘレンが、あるきっかけで死刑囚のマシューと知り合うことから始まる。彼の罪状は2人の若いカップルの殺害容疑だった。彼は無罪を主張するが認められず、死刑が執行されることになる。ヘレンは彼のスピリチュアルカウンセラーとなり、その死を見届けることになるが、最後まで死刑執行を回避しようと手を打つ。
「デッドマン・ウォーキング」とは、死刑囚が死刑台に向かう際、看守が呼ぶ言葉である。
この映画でスーザン・サランドンはアカデミー賞主演女優賞を受賞している。
もう30年も前の映画だったが、今回の事件とひどく酷似していた。
この事件でもヘレンは、冤罪を訴えるアイヴァン本人、そしてアイヴァンの母親を長年支え続けていた。




