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或る人のFIRE日記  作者: 鷺岡 拳太郎
2025年07月
232/370

冒険の本質(5)


平出氏と中島氏が目指した、K2西壁の登頂。




登頂のためのルート探索をする中で、今回の登頂の難しさを実感として感じる。それくらいK2西壁登頂のハードルは高いものだった。




今までいくつもの未踏壁の登頂を成功させてきた二人にとっても、簡単に乗り越えることができるようなハードルではなかった。








ルート探索を終えて、二人は拠点に帰って来る。




平出氏はカメラの前で、自分自身に言い聞かせるように呟く。




「山頂にゴールを設けたらだいぶ苦しくなる」


「やっぱり生きて返ってこないといけないし」




その言葉に、中島氏は「もちろん」という小さな声で答えた。








最後のアタックの前にK2の天候が悪化する。


二人はベースキャンプに戻り、天候の回復を待ちながらアタックの機会をひたすら待つ。


そしてようやく天候も回復し、二人はまだ日が登る前に、K2西壁への登頂に向けて最後のアタックをするために拠点を出た。




これが、二人を映した最後の映像だった。








それ以降の二人を撮影した映像はなかった。


おそらくその最後のアタックの最中で二人は遭難してしまい、二人の身体に装着していたカメラは回収されることはなかったのだろう。


その時の映像は、二人と一緒にまだK2に眠り続けているのかもしれない。




だから、二人に最後何が起こったのかは分からない。




ただ、拠点にとどまり二人の帰りを待っていたNHKカメラマンが、西壁を登る二人の様子を遠くから見ていた。








7月27日 7時00分。


7550メートルを登攀中に氷と共に約1000メートル滑落した様子をスタッフが目視している。








そして、7月30日 10時00分。


二重遭難の恐れもあるため、家族や所属会社などの協議の結果、二人の救助を断念することになった。



挿絵(By みてみん)


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