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或る人のFIRE日記  作者: 鷺岡 拳太郎
2025年07月
229/368

冒険の本質(2)


平出和也氏と中島健郎氏。




今回、この二人が挑んだのはK2西壁だった。








世界で一番高い山は有名なエベレストで、標高8849メートル。


K2は世界で二番目に高い山だった。パキスタンと中国の国境に位置し、標高は8611メートルに達する。








そのK2の中で「西壁」は特に難所として有名らしい。








高所の登攀方法には「極地法」と「アルパインスタイル」という二つの方法がある。




極地法は大人数で組織的に登る方法で、ロープ、はしごなどを用いてルート工作を行いながら登る。一方でアルパインスタイルは軽量装備、少人数で短期間に登る方法となっている。


当然、極地法よりも、アルパインスタイルの方が難易度が高くなる。




K2西壁に関して、今まで極地法であれば登攀したグループがいくつかあった。1997年の日本山岳会東海支部、そして2007年にはロシア隊が登攀を成功させている。


しかし、アルパインスタイルでその西壁を登攀した人はいない。








アルパインスタイルのパイオニアであるポーランド出身の伝説的な登山家、ヴォイテク・クルティカも何度かその西壁に挑戦しているが、結局6800メートル付近までしか登ることができなかった。




二人は、そんなK2西壁に対して、二人だけのアルパインスタイルでの登攀を目指していた。








平出氏と中島氏は、そのK2西壁以外にも、未踏壁の登頂をいくつか成功させている。




2016年 ルンポ・カンリ北壁 7095メートル


2017年 シスパーレ北東壁 7611メートル


2019年 ラカポジ南壁 7788メートル


2022年 カールンコー北西壁 6977メートル


2023年 ティリチミール北壁 7708メートル




それらの登頂の中で「シスパーレ北東壁」「ラカポジ南壁」「ティリチミール北壁」については、優秀な登山家に送られる国際的な賞であるピオレドール賞も受賞していた。








二人は、そのような日本を代表する登山家だった。



挿絵(By みてみん)


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