ALS嘱託殺人事件(5)
日本では安楽死は認められていない。
しかし、世界には安楽死が認められている国がいくつかある。
安楽死には2つの種類がある。
一つは「積極的安楽死」。
「積極的安楽死」は医師が致死薬を投与するなどして、患者を死に至らしめる方法。
そしてもう一つは「自殺幇助」。
「自殺幇助」は、医師が患者に致死薬を処方し、患者がそれを自分で服用したり、点滴のストッパーを開けたりすることで、患者が自ら死を選ぶ方法。
積極的安楽死は、オランダ、ベルギー、カナダ、スペインなどで認められており、自殺幇助はスイス、オーストリア、ドイツなどで認められている。
これらの国の中で、スイスは外国人の安楽死も受け入れている。
以前見た「ザ・ノンフィクション」では、末期がんで余命宣告された44歳の日本人女性がスイスまで行って安楽死を行う様子を描いていた。その際は致死薬が入れられた点滴のストッパーを、その女性自身が開栓していた。
ただし、安楽死を行うためには厳格な要件が定められている。
例えば、オランダでは2001年に「要請に基づく生命終結と自死介助法」が成立し、安楽死が合法化されている。
その法律によれば、次の「6つの注意深さの要件」を満たせば医師の刑事責任は免除されるという。
1.患者の要請が自発的で熟慮に基づくことを医師が確信していること
2.医師が、患者の苦痛が永続的かつ耐えがたいものであると確信していること
3.医師が、患者の病状および予後について患者に情報提供をしていること
4.医師および患者が、病状の合理的な解決策が他にないことを確信していること
5.医師が少なくとももう一人の独立した医師と相談し、その医者が患者を診たうえで上記の意見を書面で述べていること
6.医師が注意深く行うこと
つまり医師との意思疎通とお互いの理解がない限り、そう簡単には安楽死は選択できないようになっているのだ。
オランダは安楽死に対しては保険が適用され、費用は無料となる。
オランダでは、すでに国内の死因の4%が安楽死になっているという。




