ALS嘱託殺人事件(3)
ALS嘱託殺人事件で被害者となったALS患者の林氏と、加害者となった医師の大久保氏。
二人がSNSで接点を持ったのが2018年12月。
ALS嘱託殺人事件が起こったのが2019年11月。
その間の約一年で、事件の3週間前までに連絡交換は50回を超えた。
事件1ヶ月前からツイッターのDMで具体的な殺害計画を打ち合わせしたと見られている。
大久保氏から「当院に移りますか? 最期まで導きます」と誘われた林氏は、事件の一ヶ月前、自らの主治医に「担当を替えて」と訴え、「山本医師のもとに移りたい」と求めたこともあったという。
大久保氏は自分の素性を隠すために「山本」と名乗っていた。
大久保氏は、病死に見せかけて安楽死させる方法を説明するメッセージを送る。さらに、そのメッセージを送った後、事件が露呈するのを警戒して、林氏にメッセージの削除を求めた。
犯行に使う薬物を購入した大久保氏は、報酬の振込先として、共犯となる山本氏名義の銀行口座を林氏に伝えた。
2019年11月中旬に大久保氏は、山本氏に「京都で1時間で終わる仕事がある」とメールする。
数日後、山本氏は自分名義の銀行口座に約130万円の現金が振り込まれていることを確認した。
そして2019年11月30日に事件は起こった。
大久保、山本の両氏は、林氏が一人で暮らしている京都市のマンションを訪問する。部屋にいたヘルパーには知人を装って偽名を告げた。
SNSで1年近くもやり取りしていた林氏と大久保氏だったが、実際に対面するのはこのときが初めてだった。
二人は、ヘルパーが別室にいた間に、胃ろうから林氏に薬物を注入したとされる。
二人が立ち去った後、林氏は呼吸停止状態に陥り、搬送先の病院で死亡が確認された。
二人が林氏のマンションにいた滞在時間は10分だった。