愛しき昆虫たち(2)
先日見た、あるドキュメンタリー番組。
「超・進化論2『愛しき昆虫たち 〜最強の適応力〜』」
番組の中では、地球上にこれほどまで広がった昆虫が持つ適応力について掘り下げている。
その中で「共生」といった昆虫の一つの適応についても取り上げられていた。
アリは匂いでもって自分の仲間を識別し、自分の仲間以外の昆虫がいると殺して食べてしまうこともある。
そのような中で、そのアリの匂いを自分の体に擦り付けアリの仲間であることを擬態し、アリの巣の中でアリたちと一緒に暮らしている昆虫がいる。そしてアリの食べ物のおこぼれをもらいながら生きている。それができるのも、巨大な組織を持っているアリの社会が非常に安定した社会だからだという。自分たち以外の昆虫をそれなりに養うこともできるのだ。
そのような共生を「片利共生」という。
また、共生の中には「絶対相利共生」というものもあるらしい。
その絶対相利共生として、「ミツバアリ」と「アリノタカラ」の例が取り上げられていた。
アリノタカラと言っても昆虫の一種であり、この昆虫はミツバアリといっしょにアリの巣の中で暮らしている。
アリノタカラは地中に伸びている植物の根から樹液を吸収しているのだが、その際に余った樹液をアリに分け与える。ミツバアリはそのアリノタカラから分け与えられる樹液に栄養を依存している。つまり、アリノタカラがいないとこのアリは生き続けることができない。
アリノタカラも地中を自分で移動することはできず、移動するにあたってミツバアリにくわえられて新しい根の元に運んでもらう。
だからこそ「絶対相利共生」という。
昆虫の世界にはこのような「助け合い」の社会もあるのだな、と思いながらそのアリたちの様子を見ていた。
巣の中で新しく誕生したミツバアリの女王アリは、その巣の中の一匹だけのアリノタカラをくわえて、新しい自分の巣を作るために空に飛び立っていくという。
そして新しい場所でオスのアリを見つけ、一匹だけつれてきたアリノタカラと一緒に自分のアリの巣を作っていく。
番組は、一匹のアリノタカラだけを引き連れて、新しい世界に飛びだっていく女王アリの様子を映し出していた。