ガラスの天井(2)
6月6日に日本将棋連盟は通常総会を開催し、その中で一つの議案が賛成多数で可決された。
日経新聞は、そのことについて次のように報じている。
「この日の総会では、女流最高位タイトル『白玲』を通算5期獲得した女流棋士へ棋士になる権利を与える制度案が、過半数の賛成で可決された。女流棋戦の実績のみで棋士へのルートを設ける制度は初めて。
白玲3期の西山朋佳女流二冠は、最短2年で条件を満たす」
今まで将棋の「棋士」になるためには2つの方法があった。
一つは奨励会に入会して、四段に昇段すること。
そしてもう一つは、一定の条件を満たすと受験資格を得られる「編入試験」で3勝を挙げること。
今まで女性で、この2つどちらかの方法を経て「棋士」になった人は一人もいない。
その2つの方法に加えて、「女流タイトルの一つである『白玲』を通算5期獲得すること」というもう一つの方法が追加になったのだ。
西山氏は現在3期獲得しており、最短で来年に女性初の「棋士」が生まれる可能性が出てきた。
以前見たドキュメンタリー番組で、その当時日本将棋連盟会長だった羽生善治氏は次のように述べていた。
「女流棋士の棋力は上がっており、女流棋士のトップレベルは、プロの『棋士』と遜色ないレベルになってきている。
それでも、その『棋士』の壁を乗り越えた女性は今までいなかった。
それは『ガラスの天井』のようなもので、誰か一人がその天井を突き破れば、それに続いて女性の『棋士』が多く生まれてくるはず」
羽生氏は、女性が「棋士」になるために今まで跳ね返されてきた壁を「ガラスの天井」という独特の言い回しで表現していた。
西山氏はその「ガラスの天井」を突き破る初めての女性になれるのだろうか。
それともいつか別の女性が、その天井を突き破るのだろうか。