裁判所ガイドツアーに参加してきた(11)
原告側の代表者に、原告側の弁護士が質問をしていく。
被告の企業にアプリ開発を依頼した経緯などを確認する。
その際、手元の分厚いファイルを時々証人に見せていた。
見せる際に、「証拠◯◯号に記載されている内容ですが」というような口述をしていたので、証拠として裁判所に提示している資料を紙に印刷して、それをファイルに纏めて手に持っているようだった。
今どき、紙で印刷したものを使って裁判を行っているのか、と驚いたが、裁判官も被告側の弁護士も特に気にすることなく尋問を聞いている。裁判官の手元にもその証拠を印刷したファイルがあるようで、それを時々見ながら証人の言葉を聞いていた。
その中では、「Slack」というチャットアプリにおける原告側代表者と被告側代表者のやり取りが証拠として取り上げられていた。
私自身仕事でSlackというアプリは使ったことはないが、ビジネス環境で使用されるコミュニケーションツールらしい。
「証拠◯◯号に記載されている、Slackにおける原告側代表者と被告側代表者とのやり取りについてなのですが、そこでは◯◯というやり取りがなされていますよね。それはどのような意味ですか?」
このような形で、弁護士が原告側代表者に確認を行っていく。
裁判では「言った、言わなかった」ということが焦点になることも多く、それに対してメールやチャットアプリの「履歴」といったような形として残るものが証拠として重視されているように感じた。そのような履歴が一つの「物的証拠」として、原告側、あるいは被告側の証言を裏付けるものになるのだろう。
原告側の弁護士の尋問が終わると、次に被告側の弁護士が反対尋問ということで立った。
原告側の弁護士から原告に対する尋問は、ある意味では自分の味方からの質問になるのでどのような質問をするのかは事前に打ち合わせなども行われているのだろう。原告側代表者はすらすらとその質問に答えていた。
反対尋問が始まると、法廷は突然緊張感が高まったようだった。