人生で一番暗かった夜(12)
10月18日(土)の深夜に私の不注意で風呂の水を溢れさせてしまい、台所の床を水浸しにしてしまったことが発端となった水漏れ事故。
そのため床の張替えが必要となり、私は急遽、マンション内の別の部屋に引っ越さなければならなくなった。
引越し予定日は10月26日(日)。
つまり、平日の一週間の中で私は引越し準備を開始し、そして完了させる必要に突然迫られたのだ。
私は日中は会社での長時間労働でくたくたになりながらも、夜、家に帰ってから、深夜までかかって荷物の梱包を進めた。
そして引越し予定日の10月26日。
引越し業者が家に来るのは午後3時の予定だった。
午前中、インターネット業者が家に訪れ、もともと住んでいた部屋の工事と、新しく引っ越す部屋の工事を行う。
その傍らで、私は荷物の梱包を進めていた。そして午後3時までになんとかすべての荷物の梱包を終えることが出来た。
午後3時に、引越し業者がやって来た。
引っ越しと言っても、同じマンション内の別の部屋に移るだけだ。途中階段を使って荷物を運ぶ必要があるが、全く別の家に引っ越すのと比べたら、引越し業者としての手間はそれほど多いわけではない。その荷物の運搬作業自体は一時間くらいで終わったと思う。
引越し業者が帰っていき、私は新しい部屋で、段ボール箱にすべて荷物が梱包された状態で取り残された。
引越し業者の作業はそれほどかからないとしても、荷物の梱包作業、荷物の開梱作業は通常の引っ越しと変わらなかった。すべての荷物をダンボール箱に詰め、そして新しい部屋で今度は逆にすべての段ボール箱から荷物をすべて元に戻さなければならない。
私はとりあえず、当座の生活で必要なものだけを始めに出していった。
それほど急がないものは、あとから時間をかけて段ボール箱から取り出し、元に戻そうと思った。もう身体も心もくたくたに疲れ切っていた。
この一週間は本当に苦しかった。今、思い出しても、苦しくなる。
そしてその一週間の始まりとなる10月19日の夜は、それ以上に苦しかった。私の未来が本当に暗闇に包まれたような気がした。
その夜のことは、今でも忘れない。
その水漏れ事故から数ヶ月が経って、保険会社から一通の通知が送られてきた。
水漏れ事故によって床の張替えが発生し、その費用として約100万円が掛かったこと。そしてその費用はすべて保険から下りたことが書かれていた。
この点に関しては、保険に本当に助けられた。