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或る人のFIRE日記  作者: 鷺岡 拳太郎
2025年03月
112/308

人生で一番暗かった夜(2)


2014年10月。




その当時、私は企業Aに務めていて、製品開発の仕事をしていた。




その一ヶ月くらい前に、ある製品の担当になった。


その製品は企業Aが主力で売り出していた機種の後継機種となっていて、開発に関する仕事のボリュームは信じられないくらい多かった。




毎日のように午後10時までの残業を強いられた。その上、休日出勤も余儀なくされた。それでも誰も助けてはくれなかった。誰も手を貸してはくれなかった。その製品の担当となったメンバーは私を含めてみんな、そのような長時間労働にひたすら耐えなければならなかった。








きっと、私はへとへとに疲弊していたのだと思う。








2014年10月18日。


曜日としては土曜日となる。




その日も私は会社に休日出勤をしていた。


そして家に帰ると、そのつらい現実を忘れたい一心で、いろいろな動画を漠然と見続けていた。次の日は日曜日。さすがに土日の二日連続の休日出勤は無かったけど、その翌日の月曜日からはまた、午後10時までの長時間労働が待っている。その現実から目をそらすことだけを考えていた。そうでもしないと、精神が持たなかった。




動画は午前0時半くらいまで見続けていた。




その後の記憶は自分にはない。


おそらくあまりに心身が疲弊していて、自分でも気づかずに寝てしまっていたのだと思う。








気付くと自分はベッドの上にいた。


部屋の電気はつけっぱなしのままだ。


また風呂にも入らずにうたた寝をしてしまったのか、と机の上の時計を見る。時刻は午前3時半だった。




その時になって初めて、私はキッチンの方から何かの音が聞こえることに気付いた。




何だろうと思い、キッチンに向かう。




すると、キッチンの床が水浸しになっていた。


一瞬、何が起こったのか理解できなかった。すると、風呂の方から水が流れる音が聞こえる。そこで私は、風呂の水が出しっぱなしであることに気付いた。急いで風呂に向かう。


湯船に湯を張るために水が出しっぱなしになっており、一杯になった水が外に溢れている。さらに浴室の床からもその水は溢れ出し、洗面所の床やキッチンの床に流れ込んでいた。




私は慌ててその蛇口を閉めた。




どうやら、風呂に入ろうと思って湯船に湯を張っていたが、途中でうたた寝をしてしまいベッドの上で寝てしまっていたらしい。




その記憶すら、自分の中にはまったくなかった。


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