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第67話 五日、⑥
(行程)難波津
(原文)
さて、「幣をたてまつり給へ」
と言ふ。
言ふに従ひて幣奉る。
かく奉れども、もはら風止まで、いや吹きに、いや立ちに、風波の危ければ、楫取またいはく、「幣には御心のいかねば御船も行かぬなり。なほ嬉しと思ひ給ぶべきもの奉り給べ」といふ。
(舞夢訳)
さて、(楫取が)「幣を住吉の神に奉るべきです」と、言って来ました。
その言葉に従って、幣を奉りました。
しかし、風は全く止む気配もなく、いや、より増して吹きますし、より大きな波が立ちます。
その危険な風と波の状態から、楫取が再び言って来ました。
「幣(程度)では。住吉の神が満足なされないのです。そのために、船も進まないのです」
「住吉の神が、もっとお喜びになられるものを、奉られていただきたい」




