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第55話 二月一日、①
(行程)佐野浦
(原文)
二月一日、朝の間雨降る。
午の刻ばかりに止みぬれば、和泉の灘といふ所より出でて漕ぎ行く。
海の上、昨日のごとくに、風波見えず。
黒崎の松原を経て行く。
ところの名は黒く、松の色は青く、磯の波は雪のごとくに、貝のいろは蘇枋にて五色に、いま一色ひと色ぞ足らぬ。
※黒崎の松原
多奈川の北東、大阪府泉南郡岬町淡輪。大阪湾に面した絶景の地。
※五色
青、黄、赤、白、黒
(舞夢訳)
二月一日になりました。
朝の間は、雨が降っておりましたが、お昼ごろには止みましたので、船は和泉の灘を出て、漕ぎ進みます。
海の上は、昨日と同じように、風と波はありません。
黒崎の松原を愛でながら、船は進みます。
地名としては、「黒」なのですが、松は緑で、磯にぶつかる波は雪のように白く、貝は蘇枋。
(残念ながら)五色には、一色欠けています。




