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第4話 廿四日
(滞在地)大津・舟戸
廿四日、講師馬の餞しに出でませり。
ありとある上下、童まで醉ひしれて、一文字をだに知らぬものしが、足は十文字に踏みてぞ遊ぶ。
※講師
土佐国分寺の住職。古代、諸国に一名ずつおかれた僧官。
延暦年間に講師と改称。国内の僧侶と尼僧を管理し、重要な儀式で経典を読んだ。
土佐の国分寺は741年、南国市に創建されたらしいが、平安時代後半に金堂などが火災で焼失。現在は礎石のみが残る。
※一文字をだに知らぬものしが、足は十文字に踏みてぞ遊ぶ。
文字の読み書きなど何もできない人たちが、足では十の字を書くように踊って遊びます。(要するに、千鳥足のこと)
(舞夢訳)
二十四日は、国分寺の住職様が、お別れのご挨拶(宴)に、お越しになりました。
お料理とお酒を、その場にいた、ありとあらゆる身分は関係なく、子供までも、ご馳走に預かり、酔いしれます。
全く文字の読み書きなど出来ない人たちも、足では十の字を書くように踊って遊びます。