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第22話 九日、③
(行程)大湊から奈半
(原文)
かくあるを見つつ漕ぎ行くまにまに、山も海もみな暮れ、夜更けて、西東も見えずして、天気のこと梶取の心にまかせつ。
男も慣ならはねば、いとも心細し。
まして女は船底に頭をつきあてて音をのみぞ泣く。
(舞夢訳)
すばらしい絶景を見ながら船は漕ぎ進みました。
しだいに、山も海もしっかりと暮れ、夜も更けて、西も東も判別がつかなくなり、天気のことなので、全ては梶取の気持ち次第となりました。
立派な男の人でも、慣れない船でのことは心細いのに、ましてや女の私たちでは、恐ろしくて仕方がないので、船底に額を押し付けて、声をあげて泣くばかりです。




