すてーたす!(1)
ある程度まとまった文量で週2投稿しようかと考えていましたが、日を追うごとに投稿間隔が長くなっていきそうなので、書いた先から投稿する自転車操業スタイルでやっていきます!!
この方式でやるからには何とか隔日ペースでの投稿は守りたいと思いますので、お付き合い頂けましたら幸いです。
「突如現れた天使を名乗る謎の生命体に促されるまま、不自然なまでの美しさと怪しさを湛えた契約書にサインをする少女達。しかし、これは組織が仕組んだ罠だった。抗うことも出来ず生体実験に利用されることとなった彼女達の運命は如何に…」
「うるるちゃん、不吉なこと言わないで!!これでいい?アールピー」
このみは4人分の契約書をアールピーに手渡す。
「バッチリだよ。これでボクは君達の正式なプロデューサーになったわけだ。番組を進行するうえで必要なことがあれば何でも聞いてくれ。色々と制約があって、恐らく君達が知りたい事にはほとんど答えられないけどね」
「はぁ、頼りになるんだが、ならないんだか………。でも私達も覚悟を決めたから。番組を盛り上げて、クリアして見せる。そのために力を貸して」
このみはスカートの裾で軽く掌を拭うと、彼女達のプロデューサーに向け手を差しだした。
「もちろんさ」
アールピーはとびきりの笑顔を作ると少女の柔らかな掌に前足をポンと置き、愛らしく首を傾けた。
「明らかに詐欺師の営業スマイル。ポーズのあざとさが女子アナ並み」
「女子アナといえば学生時代のギャラ飲み…ナイトプール…アールピーさん信じてたのにやっぱりパリピだったんですね」
「勝手にボクのキャラを作らないでくれるかな!?というか、そういう悪口はもう少し聞こえないところで言ってくれると嬉しいんだけど………はぁ、本当に君達といると調子が狂うな」
「で、私達はいつまでこの白い場所にいるの?異世界転生した気がしないんだけど」
肩をすくめるアールピーにユウが問いかける。
「その指摘は最もだ。番組的にもいつまでも背景が同じなのは避けたいし、そろそろ君達が救うべき世界に転移するとしよう。用意はいいかい?」
「えっ、私はまだ心の準備が………」
「ノノカちゃん大丈夫だよ、きっと全部うまく行くから」
このみはそう言うとノノカの手を固く握りしめた。
「むっ、勝手に二人で感動的なシーン作りにいってる。抜け駆け禁止。うるる、こっち来て、私達も参戦する」
「あっ、はい………ユウ先輩、手汗凄いです……………あっ、痛い、嘘です、嘘ですから!!ユウ先輩はいつでもサラフワです!!」
「もぅ、皆真面目にやってくださいよ、ふふっ。そうだ、アールピーさん、良いこと思いつきました!こっちに来てもらっていいですか?えっとですね、こういうのは………」
ノノカは側に来たアールピーの大きく広がった耳に顔を覆いかぶせるようにして、小声で何かを囁いた。
「なるほど、それは悪くない提案だ。では、ボクが『ここが君達の新しい世界だ』と言うから、それに合わせて頼むよ」
「はいっ!!じゃあ、皆さんいつもの行きましょう!!」
「あー、いつものやつね」
「以心伝心」
「えっ、私達も何かするんですか!?………あっ、なんか、光り始めました………それっぽい演出が………」
「さぁ、いよいよ冒険が始まる………ここが君達の新しい世界だ!!」
アールピーの掛け声とともに周囲を眩い光が覆い、少女達はその光の渦の中に飛び込んでいった。