たびだち!(終)
「来てくれたんですね、先輩」
アールピーは月明かりだけが差し込む薄暗い部屋の中で、カーテン越しにゆらめくひとつの影に向かい声をかけた。
「約束………だからね」
先輩と呼ばれた影は、ゆっくりと言葉を選ぶように問いに応える。
「どうだい、今回の子達は?」
「皆んな良い子ですよ………きっと役目を果たしてくれます」
「まだあの事を引きずっているのかい?」
「あの事??」
アールピーはなんの事か分からないといった様子で、小首を傾げる。
「………いや、何でもないさ。さぁ、こんな所で油を売ってる暇はないだろ?あの子達にはキミの助けが必要なのだから」
「分かりました。今度こそ、必ず最後まで見届けます、何があっても。だから、先輩………先輩?」
フワリとカーテンが風をはらみ、影が映っていた場所が大きくめくれた。そこには既に先輩の姿はない。
「………そうですよね、行ってきます」
「あっ、アールピーさん、ずっと呼んでたんですよ、編集大変なんですか?なにか手伝える事があったらいってください」
アールピーが戻るとノノカが人懐っこい笑顔で出迎える。
「どうせ悪巧み、再生数のために私達をどうやって脱がそうか、策謀を巡らせてたはず」
「えっ、そんな破廉恥な………あっ、でも水着になれば、からあげクン貰えるとかならギリ頑張れます」
「なにバカなこと言ってるのよ、まだ番組始まったばかりでしょ………そういうのは最後の切り札に取っておくの!!」
顔を赤くしながらそう言う桃子をユウが揶揄うようにつつき、うるるは我関せずといった様子で妄想の世界に入り込む。
「次はどうすればいい、アールピー」
このみが答えの分かっている質問をアールピーに投げかける。
「決まってるさ、前に進み続けるだけだよ」
「いや、そういう番宣の材料みたいな台詞が聞きたいんじゃなくて、具体的にどこに行くとか、そういう直近の目標をさ………」
「主人公である私達を差し置いて、自分のカッコいいカットを次回予告に使おうとする、プロデューサーにあるまじき行為」
「まぁ、私は嫌いじゃないけど」
「えへへっ、とにかくお腹が空いたんで、町を探しましょうよ」
「そうですよ、旅はまだ始まったばかりなんですし、元気よく行きましょう!!」
少女達はそう言うと、道に刻まれた微かな轍に導かれるように歩き出した。
非常に短い期間ではありましたが、本作はここで終了とさせていただきます。
最後までお付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。
しばらくは溜めこんだプロットを本作のように短期スパンで消化していき、来年度には休止している作品を再開させたいと思います。
もし、よろしければ次回作等もご覧頂けましたら幸いです。




