はつせんとう!(5)
「これが…私の………ってなんでエレキギターなの!?確かに弾けるけど、電気いるじゃない!!もっと異世界向きの頂戴よ!!」
(突如顕現したエレキギターに戸惑う桃子。しかし、彼女は大いなる意思に導かれるように、弦を弾き始めた)
「あっ、なに、弾けってこと?弾いたって音なんか出るわけが………ジャーン………ギュイギュイキュイーン……………なんでアンプも無しに鳴るのよ!!ちょっと怖いけど、楽しいじゃない!!」
(桃子の指が次々と弦をかき鳴らし、地面を揺らすような音圧が森を覆う静寂を切り裂いてゆく)
(電気なしでも、アンプなしでも、いつでもどこでも最高音質でエレキを鳴らすことが出来る………異世界における神の奇跡の現れである!!)
「いや、ドヤ顔してるのは何となく想像できるんだけど、神の奇跡しょぼくない!?でも、これなら今度こそいけるっ!!我が行く手を遮る者に等しく滅びを与えん………『演奏3』破滅へのプレリュード!!」
(六本の弦が一際大きな振動を生み出し、羊狼を威圧する)
(『演奏3』、敵全体に大ダメージを与え、一定確率で追加効果を発揮する範囲攻撃。吟遊詩人のスキルはどれも強力無比ではあるが、一方で演奏が終わるまで効果が発現せず、また途中で演奏を止められればスキルが強制的にキャンセルされるという、特大のウィークポイントを持つ)
(桃子がスキルを放つまで、残る4人でこの場を乗り切ることが出来るのだろうか!?それとも少女達は無惨にも獣達の爪牙の餌食となってしまうのか!!?)
「もう、好き勝手言ってくれるなぁ!うるるちゃん、そろそろ敵も第一弾を食べ終わっちゃったし、時間稼ぎのためにもう一回お願い出来る?」
「あっ、すいません、さっきから何回か試してるんですけど、MP切れみたいで………いざとなったら超絶美少女である私が餌になるんで、命令してください、へへっ」
(うるるはそういうと何故か上着をはだけさせる。視聴者サービスだろうか、その肉体は豊満だ)
「するわけないでしょ!!だけど、威嚇と餌で誤魔化すのももう限界みたい………。せめて私が暴れて桃子ちゃんの演奏が完成するまで注意を引きつけないと………そうだっ、ノノカちゃん何かない!?何でもいいの、飼ってるペットとかを驚かせるイメージで、魔法とかスキルとか」
(隊列の後方で敵から隠れるように身体を小さくしているノノカに、このみが問いかける)
(5人の中で、いまだスキルを使っていないのはノノカのみ。彼女は有効なスキルを持っているのか、彼女のクラスはなんなのか、残された僅かな希望を手繰るような視線がノノカに絡みつく)
「すいません、私のクラス、皆んなみたいなスキルが無くて………役に立てないです………」
(ノノカは自らをまとわりつく期待の縄から流れるようにうつむいた)
(ノノカの職業、それは『侍者』)
(神に仕える見習い司祭だ。成長力が高く、中級職、上級職とステップアップをする事で大きく化けるクラスではあるが、初期に有する魔法は治癒や状態異常回復、補助魔法に限られ、攻撃手段を持たないため、序盤の汎用性は他のヒーラーと比べ著しく劣る)
(羊狼達が無為な食事を終え、なお満たされぬ胃袋に怒りを覚える)
(怒りはやがて狂気をはらみ、温厚で臆病な羊を狼へと駆り立てる)
(このみは再び構え交戦の意志を示し、ユウは桃子を敵の視界から隠すように立った)
(戦いの行方は?彼女達の運命は!?そして激戦の果てに待ち受ける、まさかの結末とは!!)
(次週『けっちゃく!』お楽しみに!!)




