はつせんとう!(3)
(ユウから放たれた52の閃光が羊狼を襲う)
「これで、お死舞」
(ユウが指をパチンと鳴らすと、いつの間にか人差し指と中指の間にジョーカーが挟まれている。その最後の一枚を一際身体の大きい羊狼の眉間に向け投げつけ、敵にクルリと背を向ける)
(彼女が残した言葉通り、羊狼達は攻撃を受け、半ば強制的に死の舞踏を踊らされていた)
「じゃあ、行こうか、始まりの街へ。うたた寝をするなら宿がいい、ココは死臭がキツすぎるから………まぁ、私は嫌いではないけれど」
「ユウ先輩………待ってください!!」
(ゆっくりと歩き出すユウの背中をノノカが追う)
「なに?怖かったのなら、私の腕に抱きつくといい。それで少しでもノノカの心が癒されるなら、悪くはない」
「あっ、いや、そうではなくてですね、あれ見てください」
「んっ?」
(2人の視線の先には、トランプにより肌を切り裂かれ、怒りと興奮により目を血走らせる数十匹の獣の姿があった)
「………アールピー、おかしい。必殺技を喰らっておいて、あんな平気な訳ない。多分バグだと思うから、アイツら代わりに処理しといて」
(………非常に心苦しいんだけどさ、ギャンブラーはバリバリのアタッカーじゃなくて、どちらかと言うとバッファー寄りの性能なんだよね。初期から多彩なスキルが使える分、ステータス、とくに火力が低めに設定されてるから、リスク込みの攻撃でもあんなものというか………まぁ、頑張って)
ユウとノノカはお互い目を合わせ、恐る恐る羊狼の群れを横目で確認する。
「ガゥアッ!!」
「きゃあっ!!」
(怒り狂った獣の群れが少女達に襲い掛かる!!)
「スキル『回し蹴り』!!」
(先頭をいく羊狼の爪牙がノノカに届かんとした刹那、このみの蹴りが敵を弾き飛ばす)
「ノノカちゃん、大丈夫!?こうなったら悠長なことは言ってらんないよ、とにかく何でもいいからスキルを試して!!」
(このみが言う通り、事態は風雲急を告げている)
(このみの存在に気圧されながらも既に何頭かの敵は前線を突破し、今にも後ろに陣取る少女達に飛びかからんとしている。このままでは数の圧力に潰され、彼女達は悲惨な運命を辿ることになるだろう)
(絶体絶命のピンチ………ここで、うるるが見せた起死回生の策とは!!)
「えっ、あっ、わっ、私ですか!?あ、あの、まだ全然心の準備が………………えへへっ、どうせ一度は死んだ身、こうなったらやけです。こんな感じですかね、スキル『万物描画』」
(うるるが唱えると、一本のペンと宙に浮いたキャンバスが現れた)
「えっと、えっと………そうだ、コレなんかどうでしょう」
(うるるは透明なキャンパスに向かいペンを走らせる)
(うるるに与えられた職業)
(それは『絵師』!!)
(ペンとキャンバスを用い描いたあらゆる物を召喚することが出来る、『想像』と『創造』を駆使して戦うピーキーなクラス)
(うるるのクリエイティビティにより生み出された、現状を打開しうる創造物とは………)
「で、できました。こ、これでも喰らってください!!」
(最後の一筆をいれると、キャンパスが激しく光り輝き、天空からうるるが創造したソレが雨のように降り注いだ)
「痛っ、なんか降ってきた!!えっ、うるるちゃん、コレって………」
(ノノカの言葉にうるるは曖昧な笑みを浮かべた)
(空から絶え間なく地面へと落下していくソレの正体は………)
「からあげクン!?」
(そう、うるるが異世界において始めて召喚した物は、香ばしい匂いとベタベタな油に包まれた、ホカホカの肉の塊だった………)




