くらす!(4)
「神様に選んで貰うってどういうこと?」
「これ」
ユウは手に握られた紐状の紙の束をグイッと突き出すと、このみは恐る恐るそのうちの一本を抜き取る。
「紙の先に番号が書いてあるけど………コレってもしかしてクジ?」
「そう、運否天賦の一発勝負。自分のなりたいクラスと、ほかの誰かに合ってそうなクラスを書いて、クジで決める。神様に見守られるなか運で決まったクラスはまさに天職、オツゲオブゴッド」
「あっ、さっきからゴソゴソと何かやってると思ったら、こんなの作ってたんですね。字は汚いですけど、流石です」
うるるが引いたクジを広げながら褒めると、ユウはこれでもかとふんぞりかえる。
「クジでクラス選択とか本気で言ってるの!?さっき重要性を説明したばかりでしょ、もっと慎重に選ばないと後から後悔するわよ!!」
桃子が声を荒げる。パーティー全体のバランスや役割分担を考えるのであれば、桃子の主張に分があるのは明らかだ。
「どんな選び方でも後悔はする。悩みに悩んで決めた選択が間違いの可能性もある。どのクラスが強いかなんて分からないし、自分が何に向いてるかも分からない。だいたい、普段から自分が異世界で冒険したり化け物と戦うかもしれないなんて考えながら生きてる女子高生がいたら、間違いなく変人、奇人、狂人の類」
「い、いや、別にそういう女子高生がいてもおかしくないでしょ!?………おかしくないわよね?」
桃子はチラチラと4人の顔色を窺うが、逆に視線の集中砲火を浴び顔を赤らめる。
「もしなりたいクラスがあるなら、自力で引き当てれば問題ない。確率は5分の1。もしも自分がそのクラスを選び、そのクラスも自分を選んでくれるのだとすれば、その程度の確率、余裕で乗り越えられるはず。それが運命、選ばれし者」
「ふんっ、選ばれし者………ね。随分と煽ってくれるじゃない。そう言えば私が乗るとでも思ってるんでしょ?いいわ、受けて立つわ。貴方の思惑通りになるのは少し癪だけど、もし本当に神が………いえ、この番組を見ている視聴神がいるのなら、きっと私は選ばれるはずよ。『黒太子』にね」
桃子はそう言うとこれ見よがしに長い黒髪をかき上げ、天空に向け人差し指をピンと立てた。
「えっと、流れ的にクジ引きに決まったってことですよね?」
「あははっ、そうだね、番組的にも、こうなったら後には引けないかな。よしっ、そうと決まれば、準備準備。みんな、5人分どんなクラスが良いか紙に書いて、1~5まで番号を振って。クジを引いて、出た番号のクラスが当たり。この世界での皆の役割だよ。鬼が出るか蛇が出るか、一世一代の大勝負だ!!」
このみの言葉を合図に、それぞれが膨大なクラスの中から自分もしくは他者に合うと思われる者を選び、紙に落とし込んでいく。
「よしっ、みんな書き終わったかな?じゃあ、せっかくだし、皆が選んだクラスをドドンと発表しちゃおう。その方が視聴者………じゃなかった、視聴神さん達に伝わりやすいよね」
「サプライズ感はなくなるけど、クジを引いたシーンで放送を終われば、週またぎで興味を引っ張れる。再生数も爆上がり。古いけど効果的なテレビ的演出法」
「みんな異存はないね。では、5人が選んだクラスはコレだよ!!」
このみは伏せていたA4のキャンパスノートを、見えないカメラに向け勢いよく前に突き出した。真っ白なキャンパスに書かれていたクラスは以下の通り。
このみ:戦士、守護者、騎士、格闘家、斥候
ユウ:魔術師、ギャンブラー、射手、ペテン師、侍
ノノカ:司祭、薬師、神官、狂戦士、侍者
うるる:仙人、自宅警備員、絵師、屍術師、隠遁者
桃子:幻術師、暗殺者、吟遊詩人、追跡者、暗黒騎士




