くらす!(2)
「あの〜、クラスってなんですか?学校のクラスとかとは違いますよね?ゲームとかアニメとか詳しくないから、話についていけなくて……」
ノノカが申し訳なさそうにそう切り出すと、このみ達も一様に同意を示す。
「すまない、すまない。『ゴッドブレス』の視聴者にはお馴染みのシステムということもあって、番組の演出上説明はカットしているけれど、君達には簡単に教えておく必要があるね。クラスというのは………」
「クラスも知らないの!?これだから異世界ビギナーは困るわ」
アールピーが説明を始めようとすると、桃子は身体を被せるようにズカズカと歩み出て、会話をひったくるように話し始める。
「いいわ、私が教えてあげる。『クラス』と『スキル』2つ一気に説明した方が早いわね。まずは『クラス』。これは職業や職種といった漢字が当てられる事が多いわ。異世界ビギナーの貴方達に分かりやすく教えるとすると、戦士、僧侶、魔法使い、みたいなRPGでお馴染みの役割示すためのものよ。えっ、自分達には馴染みがない?……馴染みなさい!!クラスが何故重要かというと、多くのゲームや小説では、クラス毎に各種ステータスや装備、そして後から説明するスキルに差が生まれることが多いからよ。例えば戦士なら力や体力が伸びやすい代わりに、素早さや魔法防御が伸び悩むって感じ。私たちの世界で例えるなら、相撲取りになると力は強くなるけど、疲れやすくてデニムも履けなくなる、ってイメージが近いんじゃないかしら。クラスは自分の性格も考えながら選んだ方がいいわ。最前線でガンガン戦いたい血の気の多い性格なのにサポート役である僧侶を選ぶとか、もったいないもの。そして『クラス』が重要な理由として、かなりのウェイトを占めるのが『スキル』の存在よ。『スキル』は作品によって扱いが違って、『スキル』単体で個人に付与されていることもあれば、特定の『クラス』に紐づけされていることもあるわ。そうね、例えるならテニス部というクラスに属しているからサーブというスキルを持っている、というイメージね。ゲームによってはテニス部でないとサーブは打てないけど、他のゲームではテニス部でなくてもサーブくらい打てるってなるケースもあって、それは後からアールピーから聞き出す必要がありそう。この『スキル』は常に発動してる『パッシブスキル』と、使用しないと発動しない『アクティブスキル』に分かれるわ。漫画なんかで良くある『自動防御が働いてるから攻撃が当たらない』みたいなチート能力はパッシブスキルが多いわね。反対に『ビームを打つ』みたいな必殺技的なのがアクティブスキルと覚えると簡単よ。最近の創作物を見ると、このパッシブスキルが超強力で、何もしなくても最強みたいな作品がウケがいいわね。歩いてるだけでレベルアップで最強になったとみたいなやつね。でも、ロマンという意味ではやっぱりド派手な超必が欲しいわ!!絵的に映えるもの!!『スキル』は『ロマン』、これは覚えておいて損はないかも。ここまでは大丈夫よね?次に重要なのが、パーティーとして『クラス』をどう割り振るかね。ちなみに『クラス』は作品毎に何が強いか全く変わってくるから、ここはもう運。手堅くありがちな役割の分かりやすいクラスを選ぶのか、それとも冒険するのか、それぞれのセンスが問われる展開ね。ふふっ、きっと視聴者………いえ、私達を見ながらワイングラスを傾けている天界の神々は、どんなクラスを選ぶかに一喜一憂するんでしょうね。私たちの一挙手一投足が神々を動かすわけ、そう考えると中々に刺激的な遊び方じゃない。そう思わない?ちなみに私は攻撃特化のクラスで固めた超火力パーティーをオススメするわ。力こそパワー、攻撃は防御也、素敵な格言ね。戦士、僧侶、魔法使い、勇者のバランス型パーティーよりも、戦士戦士戦士戦士の脳筋パーティーの方が結局は強い、そういう事が往々にして起こりうるのが異世界なのよ。圧倒的な力でゲームバランスごと吹っ飛ばす、なんとも爽快だわ。あっ、念のため言っておくけど、パーティーってのは別にドレスアップして仮面舞踏会に出ろって言ってるわけじゃないから安心して。ノノカなんかは結構似合うと思うけどね、シックなドレス。まっ、いずれそういう変装をして、王宮なんかに侵入するっていうクエストも発生するかもしれないけど、それは後のお楽しみって奴ね。ふっ、じゃあ、簡単にはなるけど、わたしの解説はここまで。まだ聞き足りないなら幾らでも話せるけど、どうする??」
「あっ、良くわかったよ、すごい詳しいんだね、ありがとう」
桃子の説明を受け、そう呟くノノカの目には、既に光は無かった。




