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18.

今回、数人の本音と建前が交互に出てきます…

「 」建前…口に出している言葉

( )本音…胸の内の正直な言葉

分かりにくかったら申し訳ありません、ですがそのように読み進めていただければ幸いです。


それでは本編どぞっ( ˙꒳˙ )ノ


◀︎ ソフィー視点 ▶︎


 「マルコム様〜なんだか向こうに人が集まってますわ、もしかして噂のフェルベール様かしら?あの方がパーティーに参加されてるなんて、とても珍しいですものこれを機にお近付きになれないかしら?わたくし達も行ってみましょうよ」


「ソフィー、いくら同学年とはいえ相手は公爵家だ…パーティーだからとそんな気安く声を掛けては…」


(マルコム様ったら、こういう時だからこそなのよ!

学園一の優良物件であるあの方が女性嫌いでないのなら話は別よ…これはチャンスかも…。

フフッ相手の女を見てやろうじゃないの…マルコム様の相手はただの地味女だったから楽勝過ぎてつまんなかったのよね〜、ゆくゆくはブロワ伯爵家が手に入ると言っても…伯爵家と公爵家、どちらが良いかは子供でも分かる事だもの…フフフ)


「わぁ…あのお二人素敵ですわね〜どちらのご令嬢なのかしら…マルコム様ご存知ですか?皆様ご存知ないのですって!」


(なによっなによっ!あの女誰なのよ!しかもあのドレス……ウェンティーナの銀糸をあんなに使って…わたくしはマルコム様に希少で高額だからと我慢させられたのに!しかもなんであの方に優しくしてもらっているの?以前わたくしが話しかけた時は目も合わせてくださらなかったのに……。なんでそんなに楽しそうに踊っているのよ!悔しいっ…みてなさい)


「マルコム様〜ほら、あの二人囲まれてますわ!わたくし達も急ぎましょ!マルコム様?聞いてます?ちょっとマルコム様?どうなさったの?行きますわよ!」





◀︎ マルコム視点 ▶︎


「ソフィー、いくら同学年とはいえ相手は公爵家だ…パーティーだからとそんな気安く声を掛けては…」


(はぁ…クリスティーナなら俺を優先させるのに…)


マルコムはフェルベールを一方的に嫌っていた…クラスは違えど文武両道、顔良し、家柄良しの、更には嫡男なのだから…嫉妬の対象でしかなかった。

しかし社交性や女性に対してだけは、自分の方が有利だと…そう思う事で劣等感を誤魔化していた…。


(しかし、連れて歩くならソフィーの方が見栄えがいい……少し我儘なのが鼻につくが我慢するか…。

それに、あのヴェントラー公爵令息が女性連れというのも気になるしな……)


「へぇ…隣の女性、遠目でも美しく品があるのが分かるね。高位なのは間違い無いだろう。

それに…とても仲睦まじそうだ。彼の雰囲気もいつもと随分違う様だし…あんな表情を見せるだなんて、彼も案外普通の男子学生なのかもね!」


(なんだよあれ!なんで同じ黒髪でこうも違うんだ…クリスティーナとは雲泥の差だな!クソッ…パートナーまで極上品かよ!不公平過ぎるだろ…

ソフィーだってそうだ…高級品ばかり強請るし、そろそろクリスティーナへのプレゼントだと言って家から金を引き出すのも限界があるというのに…。見た目がいいからと甘やかし過ぎたか?あの女性を見た後だとそれすら霞んで見える……)


「ソフィー?…私達も踊ろう…か」


(はぁぁ…むしゃくしゃする、ダンスを踊ったらキリアンやダニー達と街に繰り出すとするか…。

フンッ!あの男…これ見よがしに踊りやがって!楽しそうなのが更にムカつくな………幸せそうな笑顔の彼女は確かに美しいが…どうせ奴の肩書きが目当て……

……っ!…いやっ…まさか……な、あの可憐な彼女の笑顔でクリスティーナの顔がよぎるなんて………そんなはず…ある訳がないんだ……)


俺は自分の馬鹿げた考えを打ち消すべく頭を振る。しかし…輪の真ん中で幸せそうに踊る彼女の前髪が、ターンする度に額と瞳を隠すように揺れ動くせいか…幼い頃はよく笑っていたクリスティーナの笑顔が思い出される……。

ソフィーが何か言っているが、それに反応出来ないほど…動揺してしまっていた……。





「クリスティーナ嬢、あいつらが近付いて来ている…庭かバルコニーかに移動するか?」


「ええ…フェルベール様とのダンスが楽しくて、張り切り過ぎてしまったので…バルコニーで少し涼みたいと思っておりました。髪を直して来ますので少しお待ちくださいね」


「わかった。飲み物を選んでバルコニーで待ってる、また後で………っっ!!危ないっっクリスティーナ」


「やだっ申し訳ございません!大丈夫ですかぁ?」


「貴様…私のパートナーに飲み物をかけようとしたな?」


「そんなまさかっ!わざとではありません…ですので貴様だなんて呼ばないでくださいフェルベール様!」


ただでさえ注目されていた二人に起きたアクシデントは会場の空気を変えた。


誰もが何事かと興味津々に集まってくるが、フェルベールの腕の中に閉じ込められているクリスティーナには、何が起きたのか分かっていなかった…。


(ふわぁぁ!フェルベール様のいい匂いが…ってそうではなくて、何?何が起きたの?

え…飲み物をかけられたの…?どうしましょうっドレスがっ……)


ドレスを気にしてクリスティーナはフェルベールの腕から逃れようとモソモソするが…「こら、動くな」とフェルベールの腕の力が強くなり動けない…


「フェルベール様っ、無視しないでください!」


「黙れっ!貴様は誰だっ…それに何故俺の名を勝手に呼んでいる、非常に不愉快だ。

俺は大切なこの女性にしかそれを許していない。次、勝手に俺の名を呼んでみろ…ただでは済まさんぞ!」


「ヴェントラー公爵令息!何があったのですか!?何故貴方は私のパートナーを脅してるのです…いくら貴方でも爵位を振りかざしすぎなのでは?私達は学生であり、ここは学園のパーティー会場なのだから穏便に収めた方が賢明かと。貴方も社交性が無いと醜聞に繋がるのは避けたいでしょう?」


「言いたい事はそれだけか?「は?」ではない…言いたい事はそれだけかと聞いている。

それとこの女が何をしたか?…だと?パートナーだからと庇う割には行動も制御出来ず、非礼も詫びないどころか…この俺に意見し、あまつさえ脅迫するとはいい度胸だな…」


「…っ!脅迫とは穏やかでありませんね…私にはその様なつもりはありませんが、貴方のそういう態度こそが爵位をかさに着て横暴なのではと申し上げているのです。我々は学生なのですから…寛容に助け合い交流を深めた方が余程有意義かと考えますが?」


「ほう…今度は説教ときたか…さすがに口だけは達者だなぁ。それがお前の言う寛容で余裕ある高位貴族の態度だとでも言いたいようだな…。

見たところ…学生の身分しか頼るものが無い下位貴族の次男か三男坊ってとこか?継ぐ爵位が無かろうと先を見据え、甘えず研鑽に励む者もいるというのに…」


「なっ!ハンセン伯爵家の人間である私を下位貴族と愚弄ぐろうするかっ!」


「あぁ…ハンセン家か。確かあそこは…長年繰り返される災害で領地経営も厳しく、頼みの綱である商売もかんばしく無い為、そろそろ隣のブロワ伯爵家に吸収されるのではとの噂だが?

そんな中…伯爵家の三男は派手な衣装でパーティーに参加し、公爵家嫡男であるこの俺に喧嘩を売っていると…そういう事か?」


「っ!?…だっ誰がその様な噂を…

確かに我が領地は潤ってはおりませんが、私はブロワ伯爵家の唯一の後継者ですから…いずれ私が実家へと支援すればいい話です。

私は人脈を広げる為にもこの場に参加したのであって、貴方にそのようになじられるいわれはないっ!」


「ふーん、後継者ねぇ…。この男はこう言ってるが、それは本当かい?……クリスティーナ」


散々マルコムをあおったフェルベールは、自分の腕の中でプルプルしているクリスティーナへ…これまで膨らませてた特大の爆弾を最後にパスしてきたのだった……それもとびきり甘く呼び捨ての名指しで…










激おこフェルベールですが…ソフィーに直接手を出されて我慢が出来なかったようです…。

何事も起きず二人がバルコニーへと向かっていたら、こんな公の場での公開処刑には繋がらなかった筈なのですが……ソフィーの短絡的、利己的な行動が招いた結果となりました。


次回、

「クリスティーナ参戦!?パーティー会場にゴングの音が鳴り響く!」


いよいよ佳境を迎えますので、よければ最後までお付き合いください( ˙꒳˙ )ノ   雪原の白猫

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