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15.

お立ち寄りいただきありがとうございます。


もどかしく感じる方もいらっしゃるかとは思いますが…もう少しだけクリスティーナ達のジレジレ?にお付き合いいただければ幸いです。


 「クリスティーナ嬢、あの男はマルコム・ハンセンで間違いないな?」


「…はい……」


うつむくんじゃない、あんな男の為に涙なんか流すなっ」


「……泣いてません、…ただ…あの人にとって、両家の事など…どうでもいい事だったのだと再確認しただけです…。ハンセン家とはそれなりに繋がりがありましたし、ご家族や領民達の事を思うと……」


「確かに今後を考えると、領民達にも影響はあるだろう。しかしそれをどうにかするのは領主の責任であり…領主の仕事でもある。そして恩を仇で返す真似をした息子を…野放しにして放置してきたのも父親やその家族の責任だ。この件に関して、君が心を痛める事は…砂糖一粒ほどもないんだぞ!」


「…!?…その様な"たとえ"は初めて聞きました…フフッ…砂糖一粒だなんて…フフフッ」


「ん?甘い物が好きなクリスティーナ嬢には分かりやすいと思ったのだが?分かりにくかったか?

…まぁ君の笑顔が見られたからおおむね成功したと言えるがな」


フフンと…挑発的にも見えるフェルベールの甘い笑顔を、近くで見たクリスティーナは…


(おっお砂糖よりも甘く感じるのは私の気のせい?)

「わっわたくしの笑顔を見たところでですわ…」


と、照れてそっぽを向いてしまうが…


「またそうやって自分を卑下する……。いいか?クリスティーナをけなすのは、たとえそれが君自身であっても許す事が出来ない…。だからこそ俺はあの男を絶対に許さないと決めている…。

伯爵やクリスティーナの意向もあるから…手出しはしないが…あの大馬鹿者が束の間の自由とやらで、どれだけのものを失うのか…クククッ」


怒りのせいもあってか…クリスティーナの名を呼ぶフェルベールは、それに気付いた様子も違和感も感じられない…。

甘い笑顔に加え不意打ちの名前呼び…悪巧みの顔でさえも美しさと精悍さを放つフェルベールの輝く笑顔に翻弄されっぱなしのクリスティーナは……


マルコムに関して心を痛めていたはずなのに、

(何?…さっきよりも苦しくて胸が痛い?マルコムの言葉よりも…ハンセン領の事が心配なのは確かだけど…これは…フェルベール様に対する罪悪感?……)


そして…真っ赤な顔でテンパっているクリスティーナに、更なる要求をするフェルベール…


「クリスティーナ嬢?…今度のパーティーだが、あいつが言うように出席しないつもりじゃないよな?俺は君と参加するからそのつもりでいてくれ…」


(あ…呼び方戻ってるわ……。…っではなくて!え?フェルベール様と?パートナーとして?まさか…ね)


「あの、パーティーは一人での参加も認められていたと記憶しています…。わたくしもこっそり参加して…マルコム達の様子を窺おうかと思っていたのですが」


「却下だ。大丈夫、俺に任せてくれ…まぁ弾劾するにはまだその時ではないから、あいつらは放置するが…目的はそこじゃない…俺がクリスティーナ嬢と参加したいんだ。な?」


「な?と言われましても…フェルベール様?お気を確かになさってください!よろしいですか?たとえ学園でのパーティーであれ、公式の場で貴方様がパートナーを伴って参加なさるとなると、特別な意味を含んで周囲に見られるのですよ?」


「大丈夫、大丈夫!クリスティーナ嬢は俺の横で笑ってくれてればいい!フフ…今から楽しみだっ」


「もうっフェルベール様っ!フェルベール様はご自分の存在が、この学園…いいえ!この国のご令嬢方にどれほどの影響を及ぼすかご存知ではないのですか?」


「誰にどう思われてもいいと思っているが、それではダメなのか?それよりも返事が欲しい、クリスティーナ嬢どうか俺のパートナーとしてパーティーに参加してくれ」


「っ!…っひっ跪かないでください!直ちにおやめくださいっ!フェルベール様っこんなところを誰かに見られでもしたら…」


「構わないっ!クリスティーナ嬢、今ここで返事を貰えないなら、ブロワ伯爵経由で力づくでももぎ取るが…それでもいいか?」


「分かりましたッ!物凄く分かりましたから、父を脅すのも、跪くのもおやめください!」


「そうか、分かってくれたか!では君も了承したと言う事で、今日から授業内容を変えるよう公爵家へ使いを出しておこう!パーティーをこんなに楽しみに思うのは初めてだ!ハハハッ」


(ハハハッ、じゃありませんわっ!こんな強引なフェルベール様初めてじゃないかしら…とにかくエメリアーナ様にご相談しなくては…)


「そうだ、クリスティーナ嬢…仮に君が母上に泣きついたとしても、この件に関してはきっと母上も賛成してくれると思うから、事を荒立てたくなければ…間際になるまで秘密にしておいた方がいいと思うぞ?」


(何故?対策を立てるにしても、早いに越した事はないのに…しかもエメリアーナ様だって…フェルベール様に変な噂や瑕疵かしがついて婚約が遠のくのは避けられたいはずだもの…)


フェルベールに先に戻る事を促したクリスティーナは、珍しく鼻歌混じりのフェルベールの背中を見つめながらこれからの事について、頭を抱え悩みつつも…淡い期待のような気持ちもあり…己の感情に首をかしげるのであった………。









周囲が手を下さずとも…愚か者は自ら堕ちて逝きます…


勧善懲悪ハッピーエンドまであと少しっ!( ˙꒳˙ )ノ

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