共闘
「これからのことだが・・・」
焼き鳥(カエル肉)を温めて食べてる途中鹿草さんに話しかけた。
「ほんろ?」
「鹿草さんはどうしたい?」
鹿草さんは咀嚼して飲み込んでから
「・・・私は工藤さんと一緒に行動したいです・・・」
「そうか。わかった。一緒に行動しよう」
「あの・・・」
「何?」
「いいんですか?」
「何が?」
「私、お役にたてないどころか足を引っ張ると思うんです。眼は悪いし、ぽっちゃりしているし・・・」
「・・・」
「昔の人も言っているじゃないですか『真に恐れるべきは有能な敵ではなく、無能な味方』だと・・・」
ナポレオンの言葉か。
「俺は鹿草さんは無能だと思っていないよ」
「気休めはやめてください」
工藤の言葉に鹿草さんはズボンをギュッと握った。
「『過剰評価は人を殺す』」
「えっ?」
「これは俺がお世話になったコンゾラ族の言葉だ。昔、コンゾラ族の近くに虎出たという話があったらしいんだ。村人は恐れ、1人の青年に虎退治を頼んだ。その青年は虎を倒せると常日頃から言っていたそうだ。青年は虎を見つけ矢で打ったが仕留められなかったらしい。生き残った虎は夜中村を襲い子どもを4人殺した」
鹿草は口に手を当てながら聞いていた。
「虎は政府が用意した狙撃手に退治され、青年は村を出たと話だ」
「悲しい話ですね」
「そうだな。だから鹿草さんに言ったことは嘘じゃない。鹿草さんは頭をよさそうだし、自己分析もできるみたいだ。だから自分のできることを見つけて自分それを磨いて欲しい」
「自分のできること・・・」
鹿草は頭を下げて考えたあと、工藤を真っ直ぐ見て
「頑張りますのでよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
俺は手を出した。
「はいっ」
俺たちは握手した。
「鹿草さん、眼鏡の度はいくつだったの?」
「えっ?」
「裸眼のままじゃ不便でしょ?クマを倒してポイントがあるから、眼鏡を手に入れようと思って」
「でも・・・!あっ」
鹿草は遠慮しようと思ったが、目が碌に見えない状態では確実に足を引っ張ることを自覚した。
「右が0.7で左が0.8です」
「わかった。色やフレームの形を選んでくれる?」
「はい」
(やはり鹿草さんは賢いな)
そう俺は思った。