かたき討ち
「お前の仇は取るからな」
荒川の墓の俺は誓った。荒川の死んだ場所を調べると何が襲ったのかがわかった。
「この足跡にこの毛は熊だな。それにしてもデカい足跡だな」
猟師の鈴木さんは足跡の大きさで全長がわかると言っていたが、俺が見た足跡の中で一番大きかった。
「これは苦戦するかもな。熊は自分が仕留めた獲物のところに戻ってくる習性があるって鈴木さんは言っていたな」
なので俺は熊が戻って来るのをジッと待った。しばらくすると
「きゃあぁぁーーー」
女性の声がした。俺はその方向に向かった。するとそこにはクマと襲われている女性がいた。
「大丈夫か?」
「た、たすけ・・・」
女性は恐怖で立てず、声はかすかにしか出せていなかった。
「おい、クマこっちに来い」
俺は槍を投げたすると槍はクマの背中に刺さった。
「グォォォ」
クマはこちらを向いた。そして四足歩行でこちらに向かってきた。俺は逃げ出した。
「はぁはぁはぁ」
クマと俺じゃあスピードが違うすぐに追いつかれた。
「ガァァァ」
クマが飛びかかってきて俺は避けようとしたが爪が右腕に当たりに痛みが走った。俺はまた走った。その途中で倒れた。
「くそっ」
クマは俺に襲い掛かろうとして立ち上がった。
「待っていたぜ。この時を」
俺はつたを引っ張った。するとクマの心臓めがけて尖った丸太が突き刺さった。
「お前は俺を追いかけていたつもりだろうが、俺はお前をここにおびき寄せようとしていたんだよ」
足跡から全長を測り、立った時の心臓の位置に丸太が来るように仕掛けていた。丸太は腐って倒れていた木を加工して作った。
「この罠作るためにまたカエル倒してナイフを手に入れて、ひたすら削って苦労したよ」
俺の両手は血豆だらけで正直槍を投げた時、すごく痛かった。
「お前が俺の術中に嵌ってくれてよかったよ。!」
クマは心臓を突き刺されてもなお目が活気に満ちていた。俺は思わず、クマから距離を離れた。
「・・・心臓を撃たれて数分間生きていた者は見たことはあるが、戦意を失わなかったやつはお前が初めてだ」
「ガァァァ」
クマは決死の勢いでこちらに向かってきた。
「・・・すまない。お前からしたら勝手に縄張りに来た人間を殺しただけで、恨まれるなんて理不尽だよな」
「ゴォォォォ」
「俺ができるのはお前を楽にしてやることだけだ」
俺は竹槍を構えて、クマの方に走った。
(心臓でダメなら今度は頭だ)
俺は竹槍で頭を突こうとしたが、クマは立ち上がった。
(なるほど。俺ではお前が立てば頭は攻撃ないと踏んだか)
「見事、だが」
俺は竹槍を地面にさし、棒高跳びのように飛んだ。そして背中の竹槍を手に取り
「お前のことは忘れない」
クマの脳天に竹槍を刺した。するとクマは力尽き倒れた。
(荒川お前の仇はとったぞ)