練習
「いやぁうまいな」
俺と鹿草さんが作ってくれた食事を食べていた。
「いくらお腹空いててもそこらへんの物を食べちゃだめじゃないですか」
「ごめん、ごめん」
鹿草さん、料理うまいな。天ぷらはカリっとしているし、タケノコにえぐみのない。そしてとり天?は外はパリッと中はふっくらしていた。
「これを食べ終わったら、北に向かおうと思う」
「北ってまさか・・・」
「試練に向かおうと思う」
今俺は531ポイント。鹿草さんは俺が作った竹の工芸品をセーフティゾーンの『質屋』と書いてある箱にいれて321ポイント稼げた。(注意事項にポイントを取得した場合返品不可と書いてあった)しかし10体目以降は価値が下がったのか手に入るポイントが下がってきた。これでは初回は無料だったが、次からは1000ポイントとなるセーフティゾーンの宿泊は正直厳しい。ゆえにクリアすればこの島から脱出できる試練に行くべきだと考えた。
「私もそれは考えていました」
「でこれからはもっと危険なことがあると思うんだ。だから鹿草さんにも武器を持って戦って欲しい」
「私が使える武器・・・あのフライパンですか?」
さっき手に入れたフライパンを見ていた。
「いや、あんなリーチが短いものは危ないよ」
「でも、私、槍や弓は扱えませんよ」
「わかっている。今、鹿草さん用の武器を作っている最中なんだ」
「私が使える武器があるんですか?」
「うん。あと少しかかるけどちゃんと作るから待っててくれ」
食べ終わった後作業を再開して、ついに完成した。
「これはクロスボウですか?」
「あっ、知ってった?」
「あっ、博物館でみたことあって・・・」
鹿草さん、博物館行くんだ。珍しい・・・って今日本刀好きの女性が増えてきてるっていうから珍しくないか。
「使い方はわかる?」
「いえ、使い方までは・・・」
「わかった。これはここにレバーがあるからこれを引くと発射する」
俺がレバーを引くとクロスボウから矢が発射された。
「あっ、すごい速いです」
「そうだろ。だから扱いには気をつけてね」
「はい」
「でもう一度発射するための準備なんだが」
俺はクロスボウの先端のあぶみに足をかけて弦を引っ張った。
「こうやるんだ」
「私にできるでしょうか?」
「大丈夫。弦の強さは鹿草さんの力に合わせているから」
「わかりました」
鹿草さんは練習をすることで弦を引く速さ、命中精度を上げていった。
「鹿草さん、そろそろ出発しようか」
これくらいの技術があれば及第点だろう。
「わかりました」
「鹿草さんこれを」
俺は竹で作った筒を渡した。
「これは?」
「これは体内に入ると痺れる液体が入っている。これを矢に塗って打つんだ」
「・・・ありがとうございます」
俺たちは試練に向けて出発した。