鹿草の武器
「う~~~ん」
「頑張れ、もっと引っ張るんだ」
今俺たちはつるをロープにする作業をしていた。
「ここでしっかり引っ張らないと耐久力の弱いロープになるから頑張って」
「はい、頑張ります」
「よし、これでよし」
これで崖を降りることもできるようになった。
「次は何をしますか?」
「そうだな~。俺は食料を集めるから、鹿草さんは薪集めとそれが終わったら、ここにある木の繊維をこうやって編み込んでくれる?」
俺は三本に束ねた木の繊維を編み込んで見せた。
「わかりました」
鹿草はビシッと敬礼していた。
「あっ、薪は・・・」
「濡れてなくて、あまり大きくないのですよね?」
「その通り。頑張って」
「行ってきます」
鹿草は森に入って行った。
「さて、俺も行くか」
俺はカエルのいる場所に向かった。
「鹿草さん、泣き言言わなくて偉いな」
正直、ここまでスムーズにいくとは思わなかった。
「それにサバイバルも多少あるな」
キャンプが趣味なのかな?最近はキャンプは女性でもキャンプするらしいからな。
「さて、おでましか」
俺は竹槍を構えてカエルと対峙した。
「これでよし」
カエルを解体して肉を葉っぱに包んだ。
「ここでやらないと鹿草さんにバレるからな」
帰り道、食べられそうな山菜と竹を手に入れて戻った。鹿草さんは木の繊維を編んでいた。
「大丈夫だった?」
「あっ、おかりなさい。私は大丈夫でしたよ」
セーフティゾーンに近いところで作業させたけど何事もなかったようだ。
「これ今日の成果」
鹿草さんは籠の中を見てカエル肉を包んだ葉っぱを取り出し
「今日も鶏肉があるんですね。うれしいです」
「ま、まぁね・・・そ、それより山菜も採ってきたんだ」
「・・・工藤さん」
なんだ?まさかバレたのか?
俺が冷や汗をかいた。
「今日は天ぷらにしましょう」
「へ?」
「山菜は天ぷらがおいしいと聞きました。たけのこもありますし。鶏肉はとり天にします」
「い、いんじゃないかな?」
「よかった~」
嬉しそうな顔している鹿草さんの横で俺は罪悪感を感じていた。
「じゃあ、作ろうか」
「私が作るんで任せてください」
「いや・・・」
「私ができることをやらせてください」
それを言われると何も言えなくなるな。
「わかった。よろしく頼む」
「お任せください」
俺は俺のできることをしよう。
「工藤さんでき・・・」
鹿草の目の前には工藤がピクピクしている工藤の姿があった。