3.ハーレム事務所かと思ったらただの修羅場だった。
〜作者のお知らせ〜
なんとか金曜日までの間に作れました…!
長らくお待たせしてすみませんてました…
そしてお知らせですが、作者の学校が夏季休暇に突入したので恐らく今回ほど投稿頻度が遅くなるというのは少なくなると思います。
そういって次が2週間後とかだったらすみません…
それでは本編どうぞ↓↓
zagre side
「どうしよ…」
取り敢えず、現状整理だ。
さっき里帆さんに告白されて、返事は明日伝えるという所まではまだ良かった。
その後、里帆さんからこんなニュースの記事が届いた。
『新たに5人のヴァンパイアが脱走』
…うち2人は確信してあいつらって分かるし、あまり信じたくないが残り2人も妹達の可能性がある。
残り1人は、あんまり分からないが…
この事件のせいでヴァンパイア対抗措置が強化されるのはさすがに待ったなしだろうな。
…もうこれ絶望的では?
毎日職質喰らってたその上にオプションがつくと絶対ガタが出るって!
………死ぬほど脳がぐるぐると回ってオーバーヒートしそうになり、もういっそのことその時のことはその時に対処するか、と考えるのを放棄して寝ることにした。
〜〜〜
ピルルルル…とスマホから俺を起こすアラーム音が聞こえた。
朝になったのか。今日からはアイドルをプロデュースする本格的な仕事が始まる。
…っていうか、考えるのやめてたけどあいつらも逃げ出してきてるのか。
…いや、流石にあいつらはヤンデレといえども1日で見つけるなんてことはできないだろう…自分がなんの目的で逃げ出したのかもたぶん分かってないだろうし…
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leyi side
私たちは4人で逃げ出すことになんとか成功した。
恐らくザグレはプロデューサーになりたいのなら東京にいるだろうと考え私たちは身分を偽装し、列車とバスを使い上京するところまで来た。
「そろそろ、東京じゃないかな?」
「じゃあ、その後匂いを頼りにザグレを探しに行く?」
「…場所を探すのには少し無謀だけど、そうしよっか」
待っててザグレ。今見つけに行ってるから。
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zagre side
「へっくしゅ!」
いきなり鼻がムズムズし、くしゃみが出てしまった。
あいつらが俺の噂してるのだろうか。
「というか、もうこんな時間じゃないかよ!」
のんびりしてたら全然時間なかった。
でも今なら遅刻することはない…!
そう思って、すぐに身支度を済ませた俺だった。
〜〜〜
ほぼ遅刻ギリギリだったが、セーフだった。
よかったぁぁぁ…
「あっ、よかったよかったふたばくん!」
と、切れた息を整え顔を上げるとそんな声が聞こえた。
「時間ぴったりだから構わないんですけどね…じゃあ始めましょうか」
俺が最後だから当然だけどもそこには既に最上さんと藤咲さん、里帆さんがスタンバイしていた。
「あっ、双葉さん…」
「あっ…」
告白されたから里帆さんとまともに顔向けできない…
普通に恥ずい…
「……じゃあ、はじめよっか!」
「「…はい!」」
取り敢えずは仕事だ。告白の返事のタイミングはできたときにしよう。
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koharu side
…ほんとうに、意味がわからない。
昨日と今日とでわたし、藤咲小春の何もかもがめちゃくちゃになってぐちゃぐちゃになった気がする。
…ここからあの子達のいる場所までけっこー距離あるから回想しよっかな…
わたしはもともと、姫川女子学校っていう小中高一貫の女子校にかよってて、家庭内でもパパ以外で男の人なんて見たことがなかった。
だから男の子はずっとファンタジーの存在みたいにおもってて、いないとかんがえてたんだ。
…だから、わたしは女の子がとっても大好きだった。
小学校高学年のころからそれに気づいて、そのときに大好きな女子に初めて告白した。
…でも、その子にはカレシがいたらしい。
たぶんそこから、わたしは男の子を毛嫌ったのかもしれない。
だからめげずに中学になってからも、そのときそのときで好きになった女子にたくさん告白していたんだ。
そしたら、1回だけOKしてくれた女の子がいた。
さいこうににうれしかったなぁ…その時までは。
その子、その日から不登校気味になった。
なんで女性同士で付き合ってるのってうわさが横行して。
1ヶ月まではもったんだけど、これ以上はできなかった。
そのせいで、あの子とは2日しかデートができなかった。
最後のデートの日にいまでも好きなんだけど、ごめんねって言われて。
ちょっとだけ、いや、めちゃくちゃ悲しかった。
なんで女子は男子としかじゃダメなのってずっとずっとおもってた。
そうずっとおもってずっとずっと引きずりながら高校を卒業しておしごとをさがしてた。
あと、それからはあの子のことをずっとずっとおもって告白は今まで1回もやってない。
それなのに、
あの子から、男子と結婚するって連絡がきた。
とにかく引きずってたからとどめをさされてほんとにしにたくなっちゃってた。
本気で自殺しようとした日にテレビでみたのが、このL&P&Cプロダクションのアイドルだった。
かっこいいのに、すごくかわいい。
それがわたしからみたアイドルって存在だった。
そういうのに、なりたいな。
…そうおもってたら、
いつの間にか首締めるためのロープ売ってたしいつの間にかここを受けて受かっていたからびっくりしたよ。
それからアイドルを始めてみたら、
わたし、アイドルよりもマネージャーのほうがいいって気が付いた。
女の子が大好きなんだからとにかく細かいところまで気を利かせてあげれるし、わたしもそれをしていて満足だったから、当時のプロデューサーだった最上さんにその話をしたらすぐに社長に言ってくれた。
ちなそのときは最上さんのことがいちばん好きだった。
でもいっぱい告白したのに毎回あしらってくるからちょっとぶーぶー感はあったなぁ。
それで、これからは今のことの話になるんだけど。
わたしはふたばくんっていうまともに顔を合わせて会話とかするんだったら初めての男の子と一緒することになった。
…さっき言ったけど、わたしは男の子を毛嫌いしてたからちょっとイヤイヤしながらも承諾していたけど、
初めてふたばくんと顔を合わせたとき、わたしの人生20年のなかで初めての感覚が襲ってきたの。
これが本物の『恋』ってことなんだって心臓の鼓動が教えてくれた。
それをちゃんと証明するように会う前だったら絶対考えてなかっただろうけど隣にいたりほちゃんがなんだか羨ましくなってきちゃってたもん。
だからふたばくんとりほちゃんが別行動したときはちょっと嬉しかった。
…でも本音はふたばくんと一緒に行って仲良くお話したかったなぁ。
何なんだろう…女子に対して初めて恋のライバルってイメージができたからヘンな感覚なんだよね。
それで、ふたばくんがプロデュースするあの4人のアイドルのことなんだけど。
わたし、恋多き女だからわかるの、4人ともふたばくんのことが大好き。
もともとLPCは姫川女子学校みたいな感じがあったから皆もわたしみたいに男子じゃなくて女子が好きって錯覚にひたってたのかもしれない。
だから、わたしみたいにあんなかっこいいふたばくんのことをみて一気に好きになっちゃったと思うの。
特に早苗ちゃん。1番年下なのにふたばくんは私が貰うんだ!ってふうに真っ先に話しかけていたからなぁ。
まだ他の3人も…いや、なんとなく小学校最上級生の由紀ちゃんは自覚してそうな気がするけどふたばくんに見惚れてたから全員クロなはず。
それで、最後にりほちゃんなんだけど、さっきのあの姿をみたら完全に恋をしている目になってたから…
ふたばくんを狙う子、合計で6人になるね。もし他に女子がいたら6人以上。
ふたばくん、どの女の子をえらぶのかな?
「………小春?」
「ひぃやぁぁ!?!?」
いきなり最上さんに名前呼ばれて思わず昨日のりほちゃんと全く同じトーンでさけんじゃった。
っていつの間にか着いてるじゃん!?妄想しすぎてた!!
「ご、ごめんみんな!ついぼーっとしてて…」
「び、びっくりしたけど大丈夫だよ藤咲さん。ちゃんと睡眠とかは取ってくださいね」
ふ、ふたばくんに心配かけられちゃったよ…
あれ?でも意外とふたばくんに心配されるの嬉しいかも?
「じゃあ、双葉くんと里帆さん。今日から本格的な仕事が始まるから頑張って覚えるんだよ。じゃあ早苗ちゃん達を出迎えよう」
と最上さんが言ったので、わたしはドアを開けた。
そこには…
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zagre side
藤咲さんがドアを開けた、その先には…
「じゃーん!」
口から出た効果音とともに部屋の中心の机の上に立っている金髪碧眼のツインテ美少女が真っ先に目に入った。
その後周りにいた早苗ちゃんと彩葉ちゃん、心音ちゃん、由紀ちゃんの姿に気がつく。
「ザッグレく〜ん!」
「「「「え、だれ?」」」」
「「「「この人、だれですか?」」」」
プロ&マネ組とアイドル組で言った言葉は違えども、言った意味は全く同じだった。
〜〜〜
まずは、何が起こってるかだ。
1つ目、なぜこいつはここにいるのか。
2つ目、なぜ俺の正体を知ってるのか。
3つ目、こいつ誰だ?
俺のことをザグレと言ってる限りこいつがヴァンパイアっていう可能性がだいぶ高いんだけども…
「ザグレく〜ん!私のこと忘れちゃったの〜?それはひどくな〜い?」
「いやほんとに誰!?…ですか?」
「え…?ザグレくん?本当に忘れたの?」
「っ…っていうか、俺はそのザグレ?ってやつじゃない!っていうか本当に誰!?」
まずい、本気で逃げる前の出来事を回想してるが全くわかんない…
近隣住民だったか?
学園にいた頃のクラスメイトだったか?
そういえば昔数日だけ許嫁になっていたあいつのことか?
…あっ。
「えっ、お前…もしかしてメリフ・キネレーフ…?」
「違うよ!私はメリフ・リセティアーズ!」
関係が終わってたはずの許嫁が、俺のためにヴァンパイア界を抜け出していた。
〜〜〜
っていうか思わず口に出てしまったじゃないか!?なんとかフォローしないと…!
えっと…こうしたら行けるかな?
「あ、えーっとみんな!こいつは俺が小学生の頃に演劇部でとある劇をしたときに俺と夫婦役を演じた…奴だ。そのときの俺の役者名がザグレって名前で、こいつがメリフって名前だったんだ。な、なんでかこいつこっちに来ちゃったらしいね…」
「…?ザグレくん?何をもごごご…」
メリフがなんとかごまかせた(はず)の話をややこしくしようとしてきたから少々強引だが口を封じた。
そして超小声で会話する。
(どしたのザグレくん?)
(ここはニンゲン界だ!俺らがヴァンパイアってバレたら元も子もないんだよ!)
(そうなの?私てっきりザグレが行ったのならって旅行感覚で行っちゃってたけど)
俺かなり前から逃げ出す計画立ててたのにこいつ何も考えていなかったのかよ!
(なにかんがえてるのこいつ…ってそれはいいんだ!ここでメリフとかいう名前使ったら怪しまれるから適当に良い日本名考えてその名前言ってくれ!あと俺はここでは双葉って名前だ!あとさっき言ったカモフラージュも本当のことって言って!)
って早口で言って会話を終わらし、7人の方に顔を向ける。
「えーっと…まあさっきも言った通り、こいつはまあ幼馴染みたいなやつだ。ほら、自己紹介」
「え、えーっと………高井、芽里てす!よろしくね!」
こいつ名前のネタ思い浮かばなくて本名からそのまま取ってきたな!?
って心のなかでツッコんだけど、まあそう言ってしまったなら仕方ない。
「それで、メリフ…じゃなくて芽里はなんの目的でこっちに来たんだ?」
思わずそんな質問をしてしまったが、やべ。
絶対『俺に会いに行くため』って言うだろこいつ。
「そりゃザグ…じゃなくて、え、えーっと…?」
空気を読んだメリフが言い訳を本気で考えていたら、ずっと聞き手だった最上さんが口を開いた。
「アイドルになりたいためだったら、ここに来た理由もわかるけど…違うの?」
「あ、それでーーす!それそれ!」
最上さんからの模範解答をそのままパクったメリフ。
自分的にもそれで違和感はないが、メリフアイドルになりたいの?
「ザグ…じゃなくて双葉くんにプロデュースしてもらうためにアイドルになるの!!!!!」
ですよねー。
ヤンデレな元許嫁なんだからこうなるよねー。
こんなんだからこいつの3倍くらいヤンデレなカナセに強制的に婚約破棄されたんだけども…
「……えっと、オーディションはうけました…?」
恐る恐るといった感じで藤咲さんが尋ねてきた。
そりゃあ当然だよね…
「オーディションって、何ですか?」
「芽里、空気を読もうか」
真っ正直もTPOを弁えてほしいものだってことがメリフによって立証された。
…そういえば、里帆さんずっと無視してたけど…
あ、あんまり里帆さんのほうを見たくない…
「……なら、芽里さん。今日受けてみましょ?そうしたら双葉くんにプロデュースしてもらえるよ」
と、最上さんがメリフにそう言いかけた。
「わかった!双葉くんいっしょにいこ!」
「え?いや、俺はこの子たちのプロデュースしなくちゃいけないから…」
「いやだ!ザグレといっしょじゃなきゃいやいやいや!」
子供か、お前14だろ。
「あの、芽里。アイドルやるんだったらこれからはお前一人で行動することもあるんだ。だからその練習と思って行ってきてくれ」
本音は里帆さんに今すぐにでも弁解したいからだけども。
「むう…分かった。ザグレくんからちゅーしてくれたら行ったげる」
「…は?」
「…え?」
修羅場を作らないようにしていたら爆弾発言によって修羅場が完成してしまった。
「あの…芽里?周りたくさん人いるよ?」
「ニンゲンなんて関係ないでしょ?はやくちゅーして!」
「……」
俺の背後から異常なほどの殺気がする…
俺背中からぶっ刺されてnice boat.っていう風に死にたくないんだけど!
「ザグレくん…?だめ…?」
「…あ、あの部屋に行こ」
と言って俺はメリフを抱えてトイレに逃げ篭った。
〜〜〜
「満足したらすぐ言えよ…あと、このことは面接の時とかに絶対自慢しちゃいけない。完全に秘密にしておいてくれ」
「うん!ザグレくんと久々のちゅううむっ!?」
絶対外に漏れる声量で聞かれたらやばい言葉を言ってきたからまた口を塞いだ。
「すぐ済ませるからな…」
塞いでいた方の手を放し、すぐ何か言おうとしたメリフの口を俺の口でまた塞いだ。
メリフはすぐは反応しなかったけど、気がついたか至近距離で見づらい中でも分かるぐらい顔が赤くなっている。
そして、照れながら俺の口に自分の舌を入れてきた。
ここ数年はこいつと会っていなかったから少し忘れていたが、こいつは俺とディープキスするのが好きだったな…
されるがままに舌を絡めていたら、メリフから口を離してきた。
「…満足か?」
「うん…//」
…つくづく思うが、こいつはカナセがいないと分かればどんなことでもしてくる。
その後の迷惑が俺に掛かってくることを知らないのだろうか…
「ザグレすき…ぜったい結婚しよ?」
メリフは必ずキスしたあとそう言ってくる。
(強制的にカナセに)婚約破棄されたのに懲りてないというか、一途すぎというか…
まあ、ヤンデレとヤンデレをくっつけたら大戦争が勃発するってことはこいつらのせいで身を以て分かっている。
…だからこそ、ここからの展開に胸がやられる俺だった。
〜〜〜
メリフを最上さんに預けて、出ていった後。
俺は6人に向かって頭を下げていた。
「芽里が来たばっかりに色々迷惑かけてごめん!」
そう謝っていたら、
「双葉さん、私は全然気にしてないですよ?」
と、そう言ってくれたのは早苗ちゃんだった。
「そうそう!全く知らない人が来てびっくりしたけど可愛かったし一緒に活動できるかもしれないからちょっと嬉しいかも!」
続けて彩葉ちゃんもそう言った。
「うん!全然だいじょーぶ!…でも、わたしたちが入る余地は元からなかったってことか…」
藤咲さんも最後何て言ったか分からなかったけど、メリフについて肯定してくれた。
「そ、それならよかった。でもあの子はあんな感じで俺にべっとりだから、俺も注意しておくけどまだまだ迷惑をかけてくるかもしれない…から」
「…アイドルが異性にベタベタしてていいって状態で話を進めているけど、それって大分スキャンダラスだよ?」
俺が話していると、里帆さんがそう口を挟んだ。
その目は、異常に怖かった。
「…っ!そ、そうだよね。絶対にベタベタしないように俺も努力するよ」
「里帆さん、なんか怖い…」
「里帆さん…?」
…さっきの話に参加していなかった由紀ちゃん、心音ちゃんの2人は里帆さんの狂気に気がついていた。
「…ま、今日であの子がすぐ来るわけでもないし今日は早く始めましょ?」
そう冷酷に里帆さんは言い放った。
「あと、双葉さん」
「は、はい…」
俺を呼ぶ声が死刑宣告の何倍も怖い…
「これ以上長くするのは申し訳ないから今は聞かないけども、仕事終わりに、ね」
「は、はいっ!」
本当に死刑宣告されてしまった。
「じゃ、今日から頑張って仕事内容を覚えないとね。ほら双葉さん、始めましょ」
初めてのプロデューサーとしての仕事は、隣にいた恐怖の塊のせいであんまり覚えていなかった。
〜〜〜
初仕事終了後、俺は里帆さんの目の前で土下座していた。
主従関係が完全に逆転しているが、そんなことは今どうでもいい!
「…ザグレさん、そんなので許されると思っているのですか?」
「本当に、申し訳ございませんでした!」
土下座で許せるものじゃないってことは俺も百も承知だ。
ただ、あまりにも気まずすぎて里帆さんの顔を直視したくないわけで…
「ザグレさん」
急に声が大きくなった。
おそらく俺の頭のすぐ上に里帆さんがいる。
「一回顔を上げて、私と顔を合わせてください」
…目論見がバレた。
「は、はい…」
自分ヴァンパイアのくせに血の気が引くって言葉が相応しいほどに恐怖を感じ、震えながらも立ち上がり里帆さんと顔を合わせた。
「……うん、こんなにかっこいいんだから逃げ出す前のときもそりゃ愛されてるよね。でも、キスまでしてたりファミリーネームを揃えるってことは結婚まで突入していたってことだよね?昨日そういうこと言ってくれればよかったのに。私すごく今日を楽しみにしていたんだよ?ザグレさんと一緒になれるかもしれないってことでさ」
「……」
「私、もしかしてザグレさんにとってはどうでもいい女って思われてたの?あの助け合っていた1週間は私にとってはとっても大きな出来事だったのにザグレさんはよくあった普通の出来事だって感じてたの?」
「ち、違」
「違わないでしょ!あんなにザグレさんのことを愛してる女の子がいるってことは!何回もそういうこと、されたんだよね?」
「………」
里帆さんの迫力に圧倒され、過呼吸になり何も言えなくなる俺。
里帆さんはそんな俺を急に押し倒してきた。
「なっ…!」
「早く答えてよザグレさんっ…私、もう止まれないから…」
「……さ、された…」
「っ!」
俺が発した三文字によって、里帆さんの今にも泣きそうな顔が剣幕に変わった。
その表情に怯えてしまった俺は、この直後に起こった出来事を数秒理解できなかった。
「……?………っ!」
脳が回ったとき、里帆さんの顔が至近距離にあった。
そして唇に当たる、柔らかい触感…
メリフといたときにもその感覚があった。ということは…
「ぷはっ…………これが私の、答えですから」
ときに一途は、狂気を孕む…なんてね。
自分はたまたま、その狂気を纏った女子が身の回りにたくさんいたせいで感覚が狂っていただけだった。
ただ、誰でも正体は自分の恋に振り回されているだけの乙女。
つい、狂気を纏った里帆さんが恋をしているだけの女の子に見えてしまった。
いや、実際にそうなんだけども。
そうならば、俺も応えてあげないといけない…よな。
「……あの、俺さ…まだ告白の返事してなかったよね…」
「…え?」
「確かに俺は地元にいたときは幼馴染や芽里…いや、メリフ、なんなら姉や妹たちにもキスされたりしたりしてたんだよ」
「…」
「ただ、そんな奴でも里帆さんは許してくれたよね?さっき、キスしてくれたんだから」
「…っ//」
「俺は恋人ってのは作ったことはない。だから里帆さん、告白を受け取ります」
「……!!」
「俺と、恋人になってくれますか」
「…もち、ろん!」
「恋人になってくれたんだよね?じゃあ、ザグレさんからもう一回してください…」
「…了解。じゃあ、するよ…」
こうして、恋に振り回された女の子とそういう女の子に振り回されまくりな男の子は晴れて恋人同士になったとさ。
ま、そんなんでめでたしめでたしってなる訳ないもんね。
「ザッグレく〜ん!面接終わったし一緒に帰…え?」
「「あっ」」
一体、いつになればザグレは修羅場から逃れられるのだろうか。
「ザグレくん…?」
「メ、メリフ…許せ…」
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kanase side
…ザグレの匂いがする。
嫌というほど臭うニンゲンの香りから、仄かに人ならざる匂いがする。
ザグレも逃げ出したとき、この列車を使っていたのだろうか。
そう考えると、思えず口角が上がってしまった。
でも、逃げ出したことを許してるわけじゃない。
ザグレを見つけたら、二度と逃げないように閉じ込めて逃げた理由を訊く、そのまま2人で一生を添い遂げるってのが理想。
でも、レイさんとエリザちゃんミリアちゃんを無視するわけにはいけない。
5人で永遠に仲良く暮らそっか。
ザグレと一緒にいられなかった分、ずっと抱きしめてあげるから。
ザグレと初めて会ってからの愛を全部込めて。
…そういえば、ザグレと初めて会ったときはどんな感じだっただろうか。
ふと、そんな疑問が頭をよぎった。
私が産まれたときにはもうザグレはいた、4ヶ月違いだけども。
けど私が乳幼児のときはまだ出会ってなかったはず…
確か、学園に入る前、だから4歳頃…私達がザグレの家の隣に引っ越して初めて出会ったんだっけ。
たしかその時からザグレのことが今ぐらい大好きだった気がする。
だって昔からザグレと一緒じゃないと泣きまくってそのタイミングでザグレと出会うと10分以上は抱きついてきたってよくお母さん言ってたから…
そして、それは今もそうだから。
「ザグレ、もう二度と離さない」
ずっとずっと他の女に取られっぱなしはもう終わり。
もう我慢の限界だよザグレ。
「ザグレ、忘れないで。ザグレのことを1番愛してるのは私だよ」
この世界最凶のヤンデレ、カナセ・メシニア。
彼女が現在のザグレ・リセティアーズと柳崎里帆を見たとき、果たして何が起こるだろうか。




