7.私に悪魔が舞い降りた!…あとはちゃんと天使も舞い降りできました。
第二章開幕!!
どうも、最近わたてんを見てるせいで百合を書きたくてしょうがない作者です。
でもメインはNLだからな!(百合OKのNL好きってかなり顧客を限っているよね…)
今回は旭ちゃんとお姉ちゃんとカナセがメインの回です。
構想だと次の回もザグレは出てこないと思います。
それでは本編どうぞ↓↓
Asahi side
「はぁ…はぁ…」
へたり込んでいた私はもう立つ勇気すら持てない状態になってしまった。
ザグレという聞き覚えのない名前。
ただ、こんな状況と今日起きたイベントを重ね合わせるとその人が誰なのかくらいは見当がつく。
十中八九…いや、百発百中で双葉さんの事だ。
双葉さんは前に、幼馴染の少女に背中を刺され…目も当てられないような傷まみれになっていた。
そして、目の前で長いピンクの髪を纏いほくそ笑みのような笑顔を浮かべているこの人…訂正、このヴァンパイアが当の本人で間違いない。
「……ねぇ」
「!は、はぃ…」
「ザグレの匂いに気を取られ過ぎて気が付かなかったけど…貴方自身も、相当濃い匂いがするね」
「……えっ?」
信じられない発言に、私は一瞬脳の処理が追いつかなかった。
ヴァンパイアは、同族の匂いが判別できたの…?
「そうなの、カナセ?」
「…うん。同族だからこそ、めちゃくちゃに殺したくなっちゃった」
いや、全員が全員できるというわけではない。
落ち着いて考えてみると、双葉さんも最初は私の正体に気づいていなかったですもんね。
…いや、今は落ち着くなんて暇はなかったので落ち着いて考えなくてもわかったことでしたか。
「ねぇ、早く殺したいからザグレのことについて教えてよ。我慢できなくなっちゃうからさ。早く。早く。ザグレと会いたくて会いたくてしょうがないんだよ。ザグレをもう一回抱きしめるだけでいいからさ。絶対に離さなければいいだけだし、ザグレと一緒に居るってだけでもう私は幸せだもん。だからザグレの居場所を教えてよ、はやく」
「言うわけが無いですよ、どうせまた同じことの繰り返しになるはずなのに…」
カナセの支離滅裂な長文に、私はよろめきながらも立ち上がってそう言い放った。
「……『同じこと』…?その言葉、全くのデタラメだよ?私とザグレの毎日は一日一日はたとえ似ていたとしても、必ず2人で先の未来へと一歩一歩前進しているんだ。でも今はザグレが私のもとから離れちゃって2人とも未来へ進めなくなっているの。だから早くザグレを救い出さないと私とザグレの未来が進まないの!同じことの繰り返しなのは、今現在のことなんだよ…?」
「……こういうこと、だったんですね。双葉さんの言っていた『独断専行的』って…」
思わず過去の自分と比べて、驚くほどに一致してしまい思わず言葉を漏らしてしまった。
「…どういうこと?」
「あなたと前の私は、とても似ていました。でも、こんな状態が駄目だってことを…『あの人』が教えてくれましたよ。あの人のことが大好きなんだったら、駄目だって言ったその状態から脱してくれたら、教えても同じことの繰り返しになることはないと思います」
「そんなに、教えたくないんだ…了解。あなたはもう要らない」
神は本当に、不条理ですね…
体は全速力で走ったので既に起き上がることすら限界を迎えてきています。
死刑宣告を受けられたお陰で、なぜか逆に心が落ち着いてきました。
…最低なことを言いますが、意味の通用しない人に意味をわかるように説得させたとしても、結局は意味をなさないんですね。
気づけば目と鼻の先に、もういました。
「………!」
〜〜〜
な…にが…起きた?
私は別に気を失ったわけじゃない。
かと言って先ほど起きた展開が脳で処理しきれていない。
ずっと双葉さんのことを話し続けていたあのピンク髪の子の顔が私の画面いっぱいに映った瞬間、心が和らぐような…大切で大好きなあの声と同時に私の身体が宙に浮かんた。
今もずーっと、宙ぶらりん。
「お姉…ちゃん?」
「はぁ…はぁ…っ大丈夫だから。警察は呼んだし、旭は軽いから十分に走れる…」
「駄目だよお姉ちゃん!体力もないんだし、私のせいで命を狙われているのにお姉ちゃんも巻き添えにするなんて…私なんか放っておいたら良かったんだよ!」
「なんっ…で、そんなこと言うの…助けたいから…っ助けてるんだよ…」
「私はっ!お姉ちゃんのために生きているんだよ…お姉ちゃんのしたいことは私もできる限り手伝っていたし、お姉ちゃんの邪魔になるような人は排除したんだよ!だから私のせいでっ、お姉ちゃんが危険にさらされるのは絶対に駄目!」
「はぁっ…はぁっ………ご…めんね、あさ…ひ……はぁっ…」
「…な、んで…?」
「気づいて…はぁっ…あげ、られなくて…はぁっ…」
「……」
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Leyi side
「…あの子からも、匂う」
「…やっぱりか」
唯一ヴァンパイアの匂いが分かる、カナセの独り言を聞いた私。
あんな状況でも躊躇い一つなく連れ去った点で、あの二人には強い絆があることは分かる。
その上大胆な行動を取ることができるという性格、髪色も髪型も一致している上に同じヴァンパイアということから。
「…仲の良い、姉妹…か」
「…?そうだろうけど、それがどうしたの」
私も独り言を呟いてしまい、同じようにカナセに聞かれてしまった。
「……弟に会いたいって、思っただけ。単純だよ」
「あー…何か珍しさを感じるね。お姉ちゃんが願望を口にするって」
「わたしはずっとそう思っているけどね!」
ここまでの下りを全て聞いていたエリザとミリアも会話に参入してきた。
「私も…ミリアと同感。でも改めて口にしたらその欲望って膨らんでいくよね」
「うん。でも、もうその欲望も叶うはず」
私は前を向いて、強く地面を蹴った。
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Asahi side
「もうっ…家…見え…るよ!」
「……」
何も言葉を発さない私を元気づけるために、走りながらもずっと喋り続けてくれたお姉ちゃん。
大好きなお姉ちゃん。
大切なお姉ちゃん。
「ほらっ…もうこのまま…はあっ…進めばっ…」
「…」
「もうっ……すぐっ…」
「ああっ!」「っ!」
お姉ちゃんは、玄関まであと数歩の所で、
転んでしまった。
「…っあ、あさひ…ごめ……」
それから、お姉ちゃんは動かなくなった。
「…………」
「もういい加減にしてよ。教えるだけで全て終わるんだから」
「………」
「ねぇ、早くザグレの居場所を教えてよ」
「……」
「お兄ちゃんのこと知ってるんでしょ」
「…」
「私達だけの、大切なザグレをどうしたの。ザグレに何したの」
同じことの繰り返しで、気が狂いそうだ。
「だ…まれ…よ。お前たちはなんでそんなにもあの人に固執しているの。あの人の気持ちを優先したことはないの」
「おにいちゃんはわたしたちのことダイスキだから幸せだよ?」
「それが自分勝手な押し付けだよ!あの人がお前たちのことを大好きでいるなら、なぜあの人はあの場所から抜け出した!
あの人は…抜け出した理由については全く別のことを語っていた。けどお前たちの話をし始めたらどうだ、何もかも私に正直に話してくれたよ!体を小刻みに震えさせてさ!どう考えてもお前たちの束縛から逃げたいがためにこっちに来たんじゃないか!」
「何支離滅裂なことを言っているの。ザグレが私たちのことを愛していないなんてことは絶対にない。そうなのにザグレを嘘つきに仕立てるなんてどれ程私たちを怒らせたら気が済むのよ」
気が狂いそうだ。
「事実を…並べているだけに過ぎない。私はあの人が、お前に対して、はっきりと、嫌悪感を示したのを覚えてる!昔からの幼馴染に…背中を刺されて…殺そうとしていたのを知っている!なんでそんなやつと…長い間関係を続けていたのか、私にはさっきまで理解できなかったけど、今理解できた!『関係を強制的に続けさせていた』んだ!!大嫌いな幼馴染に狂気的かつ引っ剥がすこともできずに愛され続けて……はぁっ、はぁっ…良くそんなに…精神が保てたものだよね…」
「ねぇ。もうこんな話いいからお兄ちゃんの居場所教えてよ」
「はぁっ…はぁっ………教えない。あの人には、恩があるから…」
「………ねぇ、無断でザグレのことに関して他人が決めつけるのをやめてよ。ザグレも現実を改変されられるのは君と一緒で嫌なはずだよ」
そう言って、双葉さんの幼馴染は…私を通り過ぎていった。
「…!!やめてっ!」
「やめない。レイさん、そいつ固めて。」
「了解」「ぐっ…」
身体がこの一瞬で絡められ、動けなくなってしまった。
「それで…君はさ、この子のことが大切で大切でしょうがないんでしょう?そう思っているのは私たちも一緒なんだよ?想像してみてよ。君の大切で大切でしょうがない子が何処かに消えていって、今目の前にはその人の消息を知っている人がいてさ。それなのにとにかく理不尽な理由で教えたがらない。単純に言えば、扉を開ける鍵があるのに錆びていて思うように鍵穴に入らないようなものだよ。それでさぁ。もしもその人がLOVEって意味での好きな人だったらさ、もしかしたら他の異性に取られているかもしれないって不安が出るでしょ?その上事件の関係者に異性がいるって考えたら、殺したいって思うよね?」
「はぁ……はぁ……前までは、いや今朝までずっとそうだと思っていたよ。でも、何度も言ってる通りそんな独善的な行為は駄目だってことをあの人が教えてくれたんだよ…だから、これは私の勝手な行動じゃなくて、あの人のれっきとした意見なんだよ!!!」
「あ……さひ…」
「お姉ちゃん!?今は動いちゃダメ!!」
「……ご、め…」
「そっか…分かった、認めてあげる。今のザグレは私のことを拒絶しているってことを。」
「「!?」」「な、何で…?」
赦され…た?
「確かに昔の私はザグレのことを刺したり監禁したりと嫌なことばかりしすぎたかもしれない。だから少なからず私に対して抵抗感があるのかもしれない。でもさ、私知っているんだ。
ザグレは実は心の底では私のことを大切に大切に、私がザグレのことを愛してるくらいザグレも私のことを愛してるってことを。
昔…厳密に言えば10年4ヶ月19日前に、私とザグレは永遠の愛を誓ったの。
初めて出会った日から今まで、ザグレのことを考えなかった日は無いの。
ザグレのことが大好きだから。
ザグレも私のことが大好きだから。
その2つの思いだけは、どんなことがあってもどんな大きい壁があったとしても変わらない。
私はそのことをずっと前から知っていて、ザグレも知っていることだと決めつけていた。
でも実際は違った。ザグレはそのことを知らなかった。
ちゃんと言うべきだったんだね。
それで、私がザグレに会いたい理由はザグレにその真実を教えてあげること。
そんな単純な理由でこっちに来たんだよ。
でもね、最近は理由がもう一つ増えたの。
レイさんとエリザちゃんミリアちゃんの、ザグレのきょうだいもその輪の中に入れてあげるということ。
家族って不思議だよね。増えれば増えるほど幸せになっていってさ。
大切なものがあれば協力して守ることも、奪うこともできるんだから。
さらによく考えればザグレの家族なんだからザグレも居心地が良いもんね。
こう振り返って見れば、私もなかなか心が広くなったように思えるんだけど。それでも、あなたはその状態じゃだめって言うの?
ザグレに恩があるって言うのならば、そのザグレの大好きな人を会わせるっていうのは私は恩返しのようにも思うけど?」
「……わた、しは…それでも…!」
腕を締め上げられているせいで、身体中を巡る血が回らない。
脳もぐわんぐわんして気分が悪くなりながら、どうにか声を出した矢先。
サイレンが鳴り響いた。
いつもはけたたましく感じるのに、今回は救世主の声のようにも聞こえた。
「けい…さつ…?」
お姉ちゃんも、目を開いて確かめた。
『何をやっているんだお前たち!』
「…ちっ、残念。今日は負けのようだね」
私を拘束していた女性が幽かながらも私に聞こえるようにはっきりとそう呟き、身体が自由になったことに気が付いた瞬間には皆の気配が無くなっていた。
残されたのは、私とお姉ちゃんと、呆気にとられる警察官ぐらい。
余りにも逃げ足が速くて、呆れるよりも面白いが勝ってしまった。
〜〜〜
「お姉ちゃん、もう大丈夫?」
「…もう元気いっぱい、完全復活したよ。安心して」
あの後、お姉ちゃんと家族と一緒に警察署まで行ってさっきの人にいきさつを話して欲しいと言われた。
あの人たちの正体はヴァンパイアであること。
そのヴァンパイアに私たちは襲われたこと。
またヴァンパイアに狙われるかもしれないということの3つだけを警察官に伝えた。
お姉ちゃんがなぜ外に出ていたかというと、お母さんに私がいないから代わりに買い出しに出てもらいたいと頼まれたかららしい。
すると私の声が聞こえたらしく、口論をしているように見えたから不思議に思って見たところ、あのような光景が広がっていたとのこと。
「大事な旭が無事で、本当に良かった」
「わ、私もだよ!倒れた瞬間にお姉ちゃんがいきなり動かなくなったんだから!」
事実、転んでからピクリともせずに意識を失っていたらしいから本気で死んだのかと思っていた。
「あはは…迷惑かけてごめんね。今はお母さんから新しい血清も貰ったし身体に何の不調もないよ」
「よかったぁぁ…」
「それで、さ。僕が走っていたときに言ってたことだけど」
「…?」
「ほら、僕のために旭は生きてるんだって言ってたじゃん」
「うん…だって、お姉ちゃんは私と違って「そうじゃないよ」
「どうして旭と僕を比べているの。旭は旭なりの良いところがあるし、僕も僕なりの長所があるはずなんだよ。少なくとも、僕は旭のいいとこを知ってるから」
「お、姉ちゃん…ごめんね、こんな面倒な妹を持っちゃって」
「大丈夫だよ。旭が僕のために色んな事をしてくれたのは知ってるからさ」
「そうなの…って、え?」
「うん、僕がネットで…好きになった女の子にさ、色々してたって前に言われてね」
「う、うそ…」
「とある子とリアルで会って話していたときに、なぜかその子は知らないはずの旭の名前が出て…問いただしたら旭が裏で色々としていたってことを聞いてね」
「…そ、そうだったの…」
「あと、この前も僕のパソコン覗き見していたの知ってるよ。
ごめんね。あれ狸寝入りだったんだ」
「ぅ、お、お姉ちゃんのバカー!/」
「ご、ごめんってホントに!でも何でこんなに僕のことを気にしているのか気になっちゃって…」
「そ、それは私がお姉ちゃんのこと大好きだから…」
「んっ…姉妹でもそんなこと言われたら意識するからやめて…/」
「っ!これでお互い様だから!これからはもっともっと私を好きにならないと手伝ってあげないよお姉ちゃん!」
「いやそれは別にい…」
「え、もしかして…嫌だったの…?」
「嘘だよいつも僕の手伝いしてくれてありがとうね大好きだから今回のも手伝ってくれたら嬉しいよ」
「えへへ〜/」
(僕の妹って真面目なときは年不相応な態度をとるのに甘えるときは年齢未満の甘え方をするから怖いよ…)
「あ、でも。
『あんまりお姉ちゃんを過保護にしないで』っていう忠告を貰っていたんだった。ごめん!今回の恋は自力で叶えて!」
「え、う、嘘でしょ!?」
〜〜〜
夜。
今日は大変なイベントが2つもあって、私のいとけない身体には重荷すぎた。
でも、双葉さんからはこのままの生活を続けていたらだめになってしまうって助言をくれたし、あの後どうやら自宅の周りを警察が見回ってくれるということになったのでまた狙われるという危険性もぐんと下がった。
「疲れた〜…」
風呂後、自室に帰ってくるなり即座にベッドインする私。
身体中を包み込んでくれる柔らかさと暖かさに我が身を全て委ねていると…
「ねぇ、入っていい?」
扉をノックする音と同時にそんな声が聞こえてきた。
「お姉ちゃん?今は入ってきて大丈夫だよ」
私は声を出すために上半身を起こしてからお姉ちゃんの入室許可を与えた。
「単刀直入に言うよ…僕、そろそろ引きこもりを引退しようかなって思っているんだ」
余りにも唐突で衝撃の大きい爆弾発言に、刹那、言葉の意味の再確認を2,3回繰り返していた。
「え…?お、お姉ちゃん…大丈夫なの?」
辛うじて納得し、唸り声と大差ないように発した声がこれだった。
「いや…正直に言えば行きたくないし、この生活が気に入っているから手放したくない。
でも、そんなことばっかり言って甘えてばかりでも駄目ってことはずっと前から知っていた。
だ、から…義務教育最後の今年くらい、頑張ってみようかなって…」
お姉ちゃんの心の内を聞いて、私はきまり文句というか、脊髄反射的にこう言ってしまっていた。
「お姉ちゃん…嫌になったら、諦めてもいいんだよ?」
お姉ちゃんの目が、少し暗くなった。
「…っ、でも今回はもう甘えないよ。旭も『過保護にならないから』って言っていたじゃん」
「あ…いやっ、それはそんな意味で言ったわけじゃないからね」
双葉さんのあの発言は、そういう意味じゃ…ないはず。
「そうだとしても、僕はもう嫌なことから逃げるだけの人生から抜け出したくて…さ。
今日、あの子たちのせいで…いや、おかげで逃げているだけの僕は大切なものを守ることすら出来ないって身をもって実感したからさ」
大切な…もの…
「お姉、ちゃん…それでも、やっぱり心配だよ」
私にとってもお姉ちゃんは大切なものだから…また守れなかったら嫌だよ。
「ありがとうね、旭。僕がまた壊れちゃったら…って旭が心配してるの、知ってるから。
でも、鳥が必ず巣立ちするように、人間だって他の人に依存し続けることはできないんだよ。
まぁ…僕たちはヴァンパイアなんだけどね…」
「…んふっ」
唐突にお姉ちゃんの珍しい、セルフ揚げ足取りっていうボケが入ってきたせいで私は笑い声を出してしまった。
「それで…多分さ。こんなことを続けてたから僕の恋愛も毎回向こうからフラれるって形で終わってたのかなって…」
「…フラれたのは自分のせいだって思わなくてもいいからね」
「うん、そういうふうにちょっとでも前向きに考えるようにするよ。
だからさ、もしもの話なんだけど。
努力して自立できる大人になったとしても、今回の好きになった人…Miyuにフラれたらさ…
旭に、甘えてもいい?
旭を、好きになっていい?」
「…もちろん…!大歓迎だよ!」
お姉ちゃんからの唐突な告白を、私はすぐ受け入れた。
「お姉ちゃん、いつでも待ってるから」
「…じゃあ、言葉に甘えて」
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Zagre side
「深雪、か…そういえば学校とかは大丈夫なんだろうか。
あんなにネットとかしててもちゃんと行けてたら良いけど…」
いや、そんなこと考えるのは野暮か…
「…にしても、深雪が俺のことを忘れていなかったりウルエの親族と出会えたりと、今日は最悪の日に見えた最高の日だったな…」
「ねえザグレくんっ、早く寝ようよ!」
「ん、あぁそうしよっか」
メリフから誘いを受け、ベッドへと転がる。
「そういえばさ、2人だけで一緒に寝るって久々じゃない?」
「そう言われちゃそうだな…5,6年くらい前かな?」
「うん!」
今日は里帆さんがちょっと実家に戻りたいとのことで、もはやここの住民となったメリフと夜を過ごすことになった。
「ねぇザグレ」
「ん、どうした?」
「ちゅ~しながら、一夜を過ごしてみたいなぁ…」
「…甘えん坊さんが…勝手にどうぞ…」
「…じゃあ、言葉に甘えて」
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Asahi side
……朝。
何だか肌寒いし体も重たい…
あんまり昨日の夜何が起こったか覚えてないから、その間に変なことをしたのかも…
そう思って、無理やり体を起こしてみたら。
「んぐ…あ、旭、おはよう。昨日は楽しかったね」
お姉ちゃんが、いた。
肌着一つ纏わずに。
「え、え、お、お姉ちゃん…?」
起き上がってから分かったが、私も姉と同じ格好をしていた。
ってことは…
「…お姉ちゃん…昨日、何してたっけ…?」
「ねぇ旭。今日は火曜日だけどさ、もう9時だし2人で休もっか。
学校に行くって決意した昨日の今日だけど、まぁ別に構わないよね」
「わ、私達ってもしかして…嘘…
私はお姉ちゃんと一緒になりたいって言ってたけどそれってそういう意味じゃなくてプラトニックな関係での意味だったんだよ…?
なのにこんな唐突に、生々しい…関係になっちゃったの?
嘘…だよね?私記憶にないから変なドッキリだよね?」
「…?プラトニックとか生々しいって何?
あと、添い寝とか膝枕とか…いつものことしてただけじゃん」
頭の上に?マークをつけながら、お姉ちゃんは真実を言い残してくれた。
「…それじゃあ何で服を脱いでたんだっけ…」
「たしか旭が直接肌を触れ合いたいって言ったから」
「…/じゃあ何触れ合うって何したっけ…」
「膝枕とか、抱き合ったりとか?それ以外は特に…」
「…//じゃあ何で…こんなに疲れてるんだっけ…?」
「それは分からないけど…そういえば抱き合ったりした後に旭がなにかしていたような気がするけど」
「……あっ///」
〜〜〜
『お姉ちゃんって…やっぱりアッチ系の事ってあんまり知らないのかな…』
(昔お姉ちゃんをフッた原因を聞いたときにも『全然気持ちよくしてくれない』って言ってたからなぁ…)
『だからといって私が教えるのも恥ずかしいし…
ってそんなこと考えていたら久々にしたくなってきたじゃん!
お姉ちゃんが近くで寝てるからさぁ……あ。』
『お、お姉ちゃん寝てるよね…?
ごめんね…お姉ちゃんの体、借りるよ?』
〜〜〜
色々と、あのときの欲望に理性を奪われていたことを思い出した。
「………///////」
「旭大丈夫?顔赤いけど熱でもある?」
…全くの無知である姉に対して生まれて初めての感情が顕になった。
「…お姉ちゃん…どうして今まで付き合ってきた彼女が別れを切り出すのか教えてあげるよ」
「…えっ?し、知ってるの!?教えて!」
「お姉ちゃんがものすご〜い真面目で、かつ鈍感だからだよ」
今回のお姉ちゃんの恋は、初手から上手くいくのかどうか不安だ…
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Zagre side
「……」「……」
ガ、ガチでキスしたまま一夜を越えてしまった…
「…さて、もう起きる時間だぞ…」
唇を離して身体を起こして、眠そうな顔をするメリフを揺すった。
「……ん…ザグレぇ…好き♡」
「何でそんな色っぽく言ってんの…?」
そう軽くツッコんでスマホの電源を付けると…
『脱走ヴァンパイア、ついに人間への被害発生』
「はぇっ?」
想定外のまずい事態に、余りにも間抜けな声が出てしまった。
11月20日は作者の誕生日です。
その日に記念としてツイッターやってみてもいいかな〜って思ってたりしてます。




