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異世界ケモナー奇譚  作者: ねこミャンマ
2/6

納豆メンタルアルケミスト【みっ○ゃん】

替え玉いっちょう!


ありゃぁっす!!


『ちょっといつまでウダウダやってんのだ!』


「いきなりなんだこいつ」


 心の中でつぶやく。


『思いきり口に出してるではないか…』


 ふふ、よくあるお約束だな。


 はっきり口に出しときながら心の中で言ったって体のボケであらゆるーー


『またウダウダと訳の分からんことを…』


 …ん? 俺は今口に出していなかったはずなのだが


『口にしなくとも全部筒抜けなのよっ!』


 なんと! すごい!


『ふふん♪』


 すごいお約束の連発じゃないか。


『ぬん?』


 俺のいる世界線はなんのオリジナリティーもねぇな。

 有象無象のお約束だらけだ。

 新鮮味や裏切りもないテンプレ展開。


 こりゃ売れねーね。


『なんのウダウダウダであるかっ!』


 ウダ多くね?


『ウダウダウダウダ!』


 なんだこいつ。

 

『貴方こそなんだ! 貴方のウダウダ表すのにウダウダじゃ足りないから1つ増やし、また1つ増やしたんじゃありませんかっ!』


 ウダウダうるせー変な奴だなこいつ。


 なんか昔のカラオケCM思い出しちゃったよ、

あーあれは ダ じゃなくて ガ だったっけな?


『う〜…話の通じん奴…頭痛い…いたいイタイタイタイ…』


 まーなんだっていいか。


 切り替えて今の状況を整理してみよう。


 とりあえず目の前には頭を抱えて座りこむ金髪の女…? ん…いや、膝を抱えてうずくまる銀髪の少女…ん? …ん …んん? ………黒髪の青年? ………え? あれなんだこれ?


『頭痛いいたいイタイタイタイ…』


「頭痛いいたいイタイタイタイ…」



 ◇



「で何なのこれ? どーゆー状況?」


 意味分からんし、訪ねていいもんかも分からんし、てか目の前にいる…いないの? 

 まーそんな存在がよー分からん奴? 奴って表現でいいのかな? 

 …頭イタイな〜…なんか周りも真っ白で目もチカチカするし…何がどうなって俺は今ここにいるのだろうか? 


 …わからん…何もわからんし把握もできん……とりあえず、この喋りかけてくるのはUNKNOWNって定義にしとこう。


 それでいいやもう……ってか――


「ネコちゃんはっ!?」


 ネコちゃんどこっ!? ネコちゃんっ!


『お前はホントにやかましいなぁなのね、内も外も。』


 喋り方含め存在性すらよく分からんお前のほーがやかましいわ。


 偉そうだし、色々やかましいわ煩わしいわやかましいわ臭いわやかましいわ臭いわ。


 あとその喋り方はやめろ。

 俺の推しキャラを連想するから。

 穢れるだろ、俺の推しは唯一無二なんだよ。


『一言うたら十言うやん! ダルっ! 臭ないしっ! ニ回も臭い言うなっ!』


 喋り方うぜーな、一貫しろっての。

 ちなみに「やかましい」は四回言ったけどな! とにかくさっきの喋り方は二度とするなよ?

 ってかなに? 複数人いるの? 一人なの?それもよく分かんね。


『別にまろは特に喋り方を変えている訳ではないぞよ、それに複数人だとか一人だとかは考えんでも良い、特に意味のないことじゃ、よく分からんでも問題ない。』


 いや変えてるだろが!おもくそおじゃる○してんじゃねーか。

 嘘つきは泥棒で人生終わりの始まりだぞ。


『やれやれまったく減らず口ですな。』


 てかさっきから普通にテレパシッてるけどマジでなんだこれこいつこの状況。


 後その減らず口ってのそっくりそのままタン吐きつけて着払いでお届け返すわ。


『………』


 本日の昼飯は納豆ご飯だったからな、超クセーぞ。

 みっちゃんのお弁当センス舐めんなよ!

 すでに混ぜ混ぜした状態の納豆を、もう半端なく混ぜ混ぜした状態のやつをっ! 


 ………そのまんま…ははっ! そのまんまさぁ! 白米にぶち込んでんだからな!


 弁当箱の蓋開けるとき毎回どっかのエイリアンの粘液みたくネチャ〜てなんだからね! 


 昼飯の時間になると俺の周囲半径1メートル程の距離に毎回ATフィールド張られっからね! 


 毎回教室内に衝撃走るからね! 


 その衝撃たるや、セカンドインパクト、サードインパクトにも匹敵する程だかんねっ!


「おめでとう、俺。」


 みっちゃんありがとう、おかげで友達という対価と引き換えに、胃袋とメンタルは鋼鉄のように強くなったよ。


 ははは! さしずめみっちゃんはフルメンタルアルケミストかな? なんつって


『……もういいかの?』


 なんも良くねーわ。


『まぁそう言うな、話が進まんではないか、それにしてもお主はほんにまぁいつまでもさえずるのぉ、なんじゃ? お主さえずらねば死んでしまうのか?』


 え? 話進めたいんじゃなかったの? なに? ホントにタン吐きつけてほしいの?


『タンはやめておくれ。』


 困ったような喜んでるような怒ってるような悲しんでるような顔をして目の前のUNKNOWNは手を前に突き出し、拒絶の姿勢を見せた。


 ホントによく分からんやつだ。

 …まぁいいや、そんなことよりも


「で、ネコちゃんどこよ。」


 そう聞くと目の前の、多分目の前にいると思われるUNKNOWNはため息だかなんだかを吐いてるのか、やれやれといった様子なのかなんなのか…よく分からん仕草をしているのか、していないのか、どっちなんだいっ!! …つってね、へへへ…とにかくなんか動いた。


 するとその直後、偉大なるみっちゃんの産み出ししこの身の内側から盛大に火が吹きだし、俺の身体全体が炎に包まれた。


「―っうぉおおおおおおおおおっ!」


 っあっつ…あっ……熱ぅん? 熱くねいじゃんよ。


 …なんだこれ、嫌がらせですか? イリュージョンですか? だとしたら了承もしてねーのにいきなり巻き込むイリュージョンがありますか。


 心臓の弱い人だったらショック死もあわやって事案だぞ?


 超ムカつくんですけどー……ってかいつまで燃えてらっしゃるんで? 萌えるのは好きだけど燃えるのは遠慮したい所存なんですけれども……


 突然身の内より、激しく燃え上がった炎に仰天したものの、その火から連想する熱さは一向に襲いかかってこない。


 不思議なものだと思いつつも、何故かその違和感もすぐに受け入れられた。


 一息つく、なんだろう、落ち着いてみると沸々と怒りが沸いてきた。


 しかし、ここで文句を言い始めるとまた止まらなくなるので、控えめにぶつくさと心の中で目の前にいるのかいないのか、男か女か、大人か子供か、よく分からん存在、UNKNOWNに向けて非難をとばす。

 

『まぁ色々と思う所はあろうけんど、ちょおとでも落ち着いたぁなら、そのまま待っとぉれいやぁ。』


 この状況、この状態で大人しく待ってて? って待てるわけねーだろ馬鹿者が痴れ者が。


『まぁ、そう言うなぁ、しばらく待っとぉるとええ。ぬしにゃよかこと起こるきに。』


 俺に良いこと? 嬉しい事なのか? 調子のいいこと言いやがって!


 …しかし…ふぅむ……


 現状、抗える術をもたない俺には受け入れるよりほかどうしようもない状態だ。


 今の所燃えてそのまま焼け死ぬような恐れも無いようだし…普通は死ぬはずなんだろうけどね! 普通ってなんなんだろね! 

 

 あれ? てか今生きてるかどうかもわかんねーや! あはは!


 ……まー良いことあるというワクワク材料もいただいたので、ここは言われた通り大人しく、落ち着いてしばらく燃え続けてみることにしよう。


 良いことというのを鵜呑みにするのはアホ臭いけど、俺の汗ほど臭くないし、文句を言ったところでもう燃えてるし、今更事案だ。


 現状、何も出来ない俺に出来る唯一の事はメンタルを前向きにすることだけだ。


 ポジティブな意識に切り替え、そのまま待つことにしてみる。



 …………マジいつまで待つのん? ポジティブ枯れるよ?


 体感で二時間は燃え続けてるよ? いったいどれ程待たせれば…どれ程燃やし続ければ気が済むの?


 …いい加減この状態で待つのにも辟易してきた。


「…おい! いつまで…―っうわわ!」


 文句の一つも言おうとしたとき俺の身体を燃やし続けている炎が、これまでより一層激しく燃え上がった。


『…えらくながかったけれど、もう終わる頃よ。』


 UNKNOWNがそう言い放つと、俺の身体に纏わりついていた炎はその勢いを急激に枯らし、何事もなかったかのようにあっという間に鎮火した。


 やっと終わった。

 ということは――


「…これで俺もスーパーマン…か。」


『は? なにそれ?』


 なにそれ? って…こんだけ不可思議に燃えたんだし、なんか特殊な力とか授けてくれたんじゃないの?


『そんなん授けてないよ』


「は?」


 わざわざ口に出して言葉にせずとも、意思疎通が可能であるのだろうが、気づいたら口から勝手に間抜けな声が出ていた。


『へ?』


「…ん? え? 授けてないの?」


『授けてないのぉ』


「…こんだけ燃やしといて?」


『ながいこと燃えてたなぁ』


「…あ! あれだ! あれあれ! 授けるとかじゃなくて俺の潜在能力を引き出す的なあれだ!」


『なんそれ? そんなんしらん。』


「…………」


『…………』


「…意味なく燃えてたの? 俺?」


『ん〜意味無いこともないんよ?』


「…特殊な能力は?」


『そういうのに期待しやんでってば。』


「…魔法は?」


『無いと言っておろうが!!』


「……………」


『……………』


「…ただ燃えただけ?」


『意味なくはないよ! それにキレイに燃えてたよ!』


「……………」


『……………』


 ……………っなんっっだよぉっ! だったら何だったんだよっ! 今の演出はっ! 大体特別な力を授けるとかそういうイベントだろーが!! なんだよ『―キレイに燃えてたし!』って知るかよ!


 あんだけ意味深に燃やしといてっ! あー俺のもらえる力って炎なんかなー? 炎の勇者的な何かなんかなー? って燃えてる間ずっと考えてたよっ! 王道的でカッコエエやん! て思ってたよっ!!


 返せよ! 待ってる間っ! 燃え続けてる間っ! 夢と希望に萌え続けた俺の気持ちを返せよっ!!


 何の変化もねーなんて…あれだけ燃やしといて…俺に良いことあるって言ってたじゃんか…期待させといて……ひどいよ…こんなのってあんまりだよ…


「ほむらちゃん助けてよ、焔だけに」


 俺めっちゃおもろい。


「ぬしゃなにを笑っとるんえ? 気でもふれちょるんか?」


「うるせぇ! 訳わかんねー状況なのにろくに説明もされんで、長時間燃やされたあげく、「はい終わり。」なんて仕打ち受けりゃ、気なんか狂ってあたりめーだろがっ!」


 人を小馬鹿にしたような物言いについつい俺の口撃が火を吹いた、さっきまで燃えてたからかな?

 いけねぇや…まだ火がくすぶってやがる。


『…いや……』

 

 何か言いたそうな、不満げな顔のUNKNOWNがじっとこちらを見てくる、ように感じた。


「なんだぁ? その顔は? やるんけ? おぉ?」


  何時でもボコせるように俺はその場でステップを踏み、ピーカブーなスタイルに構えた。


 次に気に食わないことを言うかするかしてみやがれ。


 一歩だ。

 一歩で距離を詰めてテメーの顎ぉ打ち抜いてやる。

 俺の拳が火を吹くぜ! くすぶった火がな!なんせさっきまで燃えてたからね!


『……そんな力授けてないけどね。』


 俺は上半身を左右∞の軌道に揺らしつつ素早く一歩踏み込み黄金の左を振り抜いた、が残念UNKNOWNはヒョイと軽い調子で、避けた、ように見えた、ように感じた。

 

 とにかく外してしまったようだ。


 ハハッハハァッハァ! …こいつめ心の声聞いてた? テレパシッてたよね? 人がせっかくさっきまで燃えてたことに対して理由を与えようと、懸命に、前向きに、面白おかしく表現してんのに、え? 把握した上で言ってるってことは煽ってるってことだよね? マジやっちゃうよ?


 …あっ! そうか! ああ、ああ! そうかそうか! なるほどね~表面的に俺を燃やしたら次は内面的に俺を燃やそうとしてるんか〜あ〜そうか~そうなのね〜…


 だとしたら大成功だよ、俺今かつてない程に燃えてるもん! 怒りにね!


 さっきから俺はこんなに怒ってるのに、もう充分だよ? もう充分炎上してるから! 俺の心は! 

 

 …だからお願いだからこれ以上俺を怒らせないでおくれ、頭が変になりそうだから。


『……貴様が勝手に乱心しておるだけだろう。』


「……ッカァァアッッッペッ!!!!!」


『―っ! 痰はやめろっ!!』


 どうやったら伝わるだろうこの気持ち。


 テレパシッてる癖にコイツには中々伝わらないようだ…鈍い奴だな……

 

 そうだな…ここは小細工無しにハッキリ伝えたほうがいいな。


「まっすぐいってぶっ飛ばす。」


 右ストレートでぶっ飛ばす。


 うらめしい思いを抱きながら、どうかこの拳よ届けと念を送りながら、俺は目の前のUNKNOWNに向かって一直線に駆け出し、そのまま右拳を真っ直ぐ突き出した。


 ―ッゴシャ


 あれれ?


『―っ? いた、え? えぇ?』


 あれれ? 当たっちゃったよ? またてっきりヒョイっと避けられるかと思ったのに。


 ま、でもこれで少しだけスッキリした。


 一方UNKNOWNはというといきなり殴られた事に余程驚愕したのか、その場で固まってしまっていた。


 あまりの固まりっぷりにしばらくそのまま様子を伺っていると、ボソボソと何かつぶやきだした。


『………あ、りえない…え? そんな…こんなことって……』


 めっちゃショック受けてんじゃん…え? 俺殺されたりしない?


 このUNKNOWN、少なくとも超常的な存在であることに間違いはないはずだ。


 そう考えたとき、俺のことなんてどうにでもできるんじゃね? という不安が芽生えた。


 え〜……死ぬのはごめんだわ〜…っても今生きてるんか分からんのだけどね。


 まぁやってしまったことは仕方ない。

 後悔もしたところでどうしようもないし、何よりムカつくからするつもりはない。

 どうせただでさえ訳わからん状況なのだし。


 とかなんとか開き直ってるとさっきまでボソボソ言っていたUNKNOWNが俺に向かって口を開いた。


『…君………普通の子じゃないね。』


 いや、こっちの台詞だわ。

 普通じゃない存在に普通じゃないなんて言われても「は?」だわ。


 それにしてもマジでどういう状況なのよ? さっきのメラメライベント何よ? ホントに意味あるの? そんな感じせんけど? 全然なんも起こらんじゃないか……


 何か起こってるとしたらば、俺が怒ってるくらいよ? ……いや、同音異義ぃぃ! めっちゃオモロー! マリ○ン・モ○ロー!


『…仕方ないでしょう! 私だってあんたみたいな癖の強い奴に対応してるこの状況…さっさと終わらせたいわよ…』


 …………失礼極まりないなこのUNKNOWN。

 なんだその仕方なく〜みたいなスタンス。

 失礼極まりないなこのクソUNKNOWN。

 

『仕方なく〜みたいなスタンスじゃない! 仕方ないんだよ! 間違いなく!』


 は? どゆこと?


『この状況は君が望んだがゆえに発生してるんだよ。

 選ばれ、受け入れ、望み、今があるんだ。』


 は? どゆこと?


『ハァ……YouはこのSpace! クウカン! にくるマエ、YouのいるワールドではProof! ショーメイ! のつかないParanormal! チョウジョーテキ! なExistence! ソンザイ! とEncounter! カイコウ! …デアっただロ?』


 なんだよ…何いってんだよ…わかる言葉で話せよ…しんどいよ…なに? …長女が敵? 残念、一人っ子だよ……


『…超常的な…存在と…出会っただろ……。』


 あぁ? 出会うっつったって最後に見た光景はネコちゃんでいっぱいだったよ?

 …………もう変な喋り方すんなよ。


『…そのネコちゃんじゃて…おんどれのいる世界では考えられん非常識な存在だったはずじゃろうげ。』


 そーそーわかる言葉で話してね。

 そうだね、すごい大きいネコちゃんだったね。


『…アンタはそのネコちゃん…とやらの存在を自身の歩む生と、そして過去と未来の指針にしたでしょ?』


 ん? いや何言ってるのか全然分からんのだけれども。


『自身が存在するのはそのネコちゃんありてのものだと認識し、人としての生を捧げることも厭わない姿勢を見せたはずだよ。この瞬間の為に生まれたとかなんとか…』


 あ〜それは間違いないね、うん、間違いない。


『その瞬間、互いの世界をまたぐための条件が成立したんだ。ただのイレギュラーじゃない、君があのネコちゃんの存在を受け入れ、君の全てをネコちゃんの為の生でありたいと願った結果、今のこの状況があるんだ。』


 …なんか難しい話だな…とりあえず話を続けてくれ。


『…この空間は相互守護を相互認識し、お互いの世界をまたぐにあたり必要な手順を踏むための場所だと思ってくれ。私の存在はいわば橋渡しのようなものだ。』


 設定詰め込み過ぎだって…いきなりそんな…世界観も何もない状況でそれっぽいこと言うなよ。

 置いてけぼりだわ。


『そぉうだねぇ。君かぁらぁしたぁらぁ、世ぇ界をまぁたぐぅだぁの聞かされぇてぇもぉ、まぁず理解出ぇ来ないぃよねぇ〜。』 


 気持ちわりー喋り方すんなって。

 ちゃんと喋って分かりやすく言えよ。


『うぬのいた世界が全てではなく…この世、と表現しようか…この世にはうぬのいた世界とはまた別の、全く違う法則で成り立った異なる世界、異世界が存在しているのだ。』


 ほうほう…異世界か…良いねぇ。


『主が見たネコちゃんとやらはその別世界、主のいた世界とは異なる、文字通り異世界に存在する生物だ。』


 あのネコちゃんやっぱ特別な存在だったのね。


『…客観的視点から見れば、お前もあの獣もお互いを認識しあうとなると、どちらも特別な存在だと認識するであろう。どちらもその世界ではありふれた存在だがな。…もっとも私個人の視点から見れば私を殴ったお前は尋常ならざる存在であるがな。』


 根に持つ奴だなぁ…殴った俺も悪いが殴らせたお前も悪い。


 とりあえずうっすらと理解はしたと言っておこう、口には出さなくても通じてるだろうし。

 

『簡単に説明したつもりなんだけどな…』


 で、さっきも言ったけど、その肝心要のネコちゃんはどこよ? いないじゃん。

 

 先程からどこをどれだけ見渡しても、ここに来る前、最後に見たあのネコちゃんの姿は見当たらない。


 視界にうつるのはどこまでも広がっているかのような、かと思えばすぐそこまでで行き止まりであるかのような、そんな摩訶不可思議な白い空間だけだ。


『居るのは居るんだよ…すぐそこにな。正確に言えば今のお前にはまだ見えない、見えていないだけだな。』


「ほー…」 


 …何かよくわからんなぁ…


『さっきの火が終息したらすぐ認識出来るはずなんだけどね。何故今になってもお互いがお互いを認識出来ないのか…僕にもわからないよ…お互いに望み、許容したからこそ、この空間に来れたはずなんだけど…』


 …お前は色々わかっとくべきだろう…俺には何から何までさっぱりなんだからな。


(替え玉遅いなぁ……)

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