表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

474/3164

虎曜日にコショコショ。

 月曜日。

 俺はいつものように、一江からの報告を聞いた。


 「以上です」

 「おう、ご苦労!」


 「みなさーん! ネコは好きですかぁー?」

 部下たちは戸惑っていたが、すぐに「おー」と言う。

 今日も反抗勢力がないので安心した。


 「部長、なんでネコ?」

 「ああ、うちネコ飼ったからな」

 「え?」

 俺はロボの話をした。

 たまに出入りする一江や大森も慣れさせなければならない。


 「そうなんですか。ついに獣姦まで」

 一江の頭を殴った。


 「これだけ女はべらせて、その上メス猫なんて!」

 「なんでメス猫だって言い切るんだよ」

 「違うんですか!」

 「いや、メスだけど」

 俺の頭を叩こうとするので、引っぱたいた。


 「部長、なんかお祓いとかした方がいいですって」

 「うるせぇ! ああ、あとな、先週話した通り、蓮花に会いに行ったぞ」

 「その女ともやったんですか?」

 「うん!」

 頭をひっぱたかれた。


 「部長!」

 「お前! 上司に向かってぇ!」

 ちょっと掴み合いをした。

 部下たちが見ているので、肩を組んで笑った。






 俺は会議室に連れ出し、一江と大森に蓮花の「家」の話をした。


 「そりゃ、とんでもないですね」

 「一部は削ってあるが、ほとんどの「資料」を渡したぞ」

 「信頼されたんですね」

 「ああ」


 「やった女だから」

 俺は一江の頭を殴る。


 「とにかく、今後は共同戦線だ。よろしく頼むぞ」

 「「はい!」」


 顕さんの部屋へ行った。

 響子がジグソーパズルをやっている。

 俺は響子の両足を持って逆さ吊りにしてやった。

 響子が喜ぶ。


 「顕さん、絵の額装が出来ました」

 「お! そうかぁ!」

 「すぐにお見せしたいんですが、しばらくは小学校で飾るようで」

 「うん、しょうがないな。楽しみにしてるよ」

 しばらく話し、俺は響子の膝を肩にかけて片手で逆さ吊りにし、片手でセグウェイを抱えて響子の部屋へ行った。

 途中で響子がみんなに「どーもー」と挨拶する。

 みんな笑っていた。


 部屋には六花がいた。

 

 「石神先生、乱暴ですよ」

 六花がちょっと怒っている。

 こいつは俺には逆らわないが、響子のことに関してだけは別だ。

 俺は笑って響子をベッドに寝かせる。

 ボサボサになった髪を、六花がブラッシングする。


 「おい、響子。うちにネコが来たんだ」

 「えー! 見たいよー」

 ロボという白いネコだと話した。

 経緯は簡単に、『猫三昧』から譲ってもらったとだけ話す。


 「おう、見に来いよ。今度家に連れてくからな」

 「必ずね!」

 俺は笑って響子の頭を撫で、髪の毛をぐしゃぐしゃにする。

 六花が怒る。

 前にゴールドの時は二人が拒否されたが、ロボならば大丈夫だろう。

 俺は六花に昼食を一緒に食べようと言い、部屋へ戻った。


 桃花林の個室を予約した。

 六花に北京ダックを食べさせたかったので、「龍珠」のコースを頼む。

 店の人間が俺のことを分かっているので、どんどん料理が運ばれる。

 短い時間で食べられるようにだ。


 俺は蓮花のこととロボのことを詳しく話した。


 「そうですか。分かりました」

 まあ、こいつはこんなものでいい。

 ちょっと聖を思い出した。


 ニコニコと嬉しそうな顔で食べてくれる。

 俺も嬉しくなる。


 「おい、ちょっと北京ダック追加しようか?」

 「ほんとですか!」

 その笑顔を見たかった。

 俺は追加を頼んだ。


 大満足で食事を終えた。


 「北京ダック、最高ですね!」

 「そうだな!」

 俺たちは一層絆が深まった。

 杏仁豆腐を食べている間に、コーヒーを頼んだ。


 「そういえば石神先生」

 「あんだよ」

 「新しい方は、何曜日にいたしますか?」

 「あ?」

 「いえ、お休み中に増えた方」

 「なんでお前が知ってんだよ」


 「先ほど一江さんからメールで。私は曜日担当係ですので」

 「お前らなぁ」

 「それで」

 「蓮花はお前らとは違うよ。うーん、フリースペースに入れといてくれ」

 「曜日のフリースペース、ええと。じゃあ「虎曜日」ということで!」

 「なんだ?」


 「虎の自由で設定できる曜日ですね。ああ、こうすれば幾らでも石神先生の女は!」

 「おいおい」

 「石神先生! 頭いいですね!」

 「お前もな!」

 よく分からんが、解決したらしい。





 「あー! 美味いもの喰ったし、午後の仕事も頑張るか!」

 「はい!」

 「響子の可愛い寝顔を見てからな!」

 「はい! ちょっと起こしちゃいましょうか」

 「カワイソウなことするな!」

 二人で笑った。


 「でも寝てる時になぁ、耳元で「コショコショ」って言うと笑うんだぞ、あいつ」

 「それは知りませんでした! 石神先生、頭いいですね!」

 「お前もな!」


 俺は実際に響子の耳元でやってみせた。


 「コショコショ」


 「エヘヘヘヘ」





 二人で口を押えて笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ