蓮花 Ⅳ
裏手の車用門に回る。
栞がリモコンキーを手渡した。
「ここももう、石神くんのものだから」
「え、ここはいいよ」
「なによ!」
門が開き、中へ車を入れた。
先日、俺に茶を持って来た女性が立っている。
俺たちに深々と頭を下げた。
「お待ちしておりました」
前に立って案内される。
座敷へ上がり、斬が入って来た。
「よく来た」
「なんか、痩せたんじゃねぇか?」
「ダイエットしたからな」
「癌ダイエットか」
「貴様ぁ!」
「あんだ、こらぁ!」
「やめてよ、もう!」
女性が茶を持って来た。
俺、斬、栞の順に置く。
黙って三人で啜る。
斬の顔から険が落ちていた。
栞の言う通りだった。
精悍さや鋭さは喪っていないが、闇を湛えた危険なものがない。
「おい、今日は蓮花の「家」に泊るぞ」
「勝手にしろ」
「家の中をいろいろ案内された」
「そうか」
「俺がもらうからな」
「だから勝手にしろ」
「お前な」
「なんじゃ」
「御主人様には口の利き方を気を付けろ!」
「なんじゃとぉ!」
「だからやめてってぇー!」
俺たちは道場へ移動した。
道着に着替える。
「胸を貸してやる。思い切り来い」
「殺すぞ、お前!」
斬が仕掛けてくる。
徐々に技を変化させ、俺を攻撃する。
俺は受け流し、幾つかを敢えて受けた。
最後に斬が「虚震花」を放った。
俺は「闇月花」で対応しようとして、咄嗟に横に跳んだ。
斬がニヤリと笑っている。
「もう一度撃て」
斬が放った。
俺がそのまま受けて散らした。
「!」
俺がニヤリと笑った。
「「大闇花」だ」
「ふん、これまで防がれたか」
「お前! 途中で気付かなかったら死んでるぞ!」
「だから殺すと言っただろう!」
「やめてぇー! そこまで!」
栞が止めた。
1時間以上遣り込んでいた。
着替えて座敷に戻る。
今度はコーヒーを出された。
「あれは「虚震花」じゃないな」
「新たに生み出した。まだ名はない」
「位相がズレたな」
「分かったのか」
「「闇月花」では防げない」
「そうじゃ。業への対抗技じゃ」
「雅さんたちには?」
「知らない。あれらは自分たちで何とかすればよい」
栞が俯いた。
万が一、新たな技が業に渡ることを恐れてのことだろう。
「今日見せたものが、「花岡」の新境地じゃ。まだまだやるから、お前もたまには来い」
「分かった」
俺たちは帰ることにした。
斬に見送るよう言った。
庭の中ほどで、斬に観ているように言った。
「轟閃花」
空中に放った。
広大な範囲にプラズマと電光が拡がった。
一瞬、眩しい光が覆う。
呆然と佇む斬に、俺は動きを教えた。
「近くで撃つな。電子機器がすべて壊れるぞ」
「わ、分かった」
俺と栞はアヴェンタドールに乗り込み、自分で門を開けて出ていった。
「石神くん、ありがとう」
「なに、弟子に教えるのは師匠の役目だからな」
後で必死に動きを辿るだろう斬の姿を思い、少しだけカワイイと思った。
蓮花の「家」に戻ったのは、夕方に近かった。
また蓮花が出迎える。
「おかえりなさいませ」
「風呂に入りたい。用意してくれ」
「かしこまりました」
俺たちは自分の部屋へ案内された。
着替えを出していると、蓮花が来た。
「こちらでございます」
蓮花は黒い浴衣を手にし、俺の下着も受け取って持った。
脱衣所で、俺の服を脱がせていく。
その後で自分も脱いだ。
扉を開け、中へ導く。
大理石で覆われ、自然石を配置した見事な風呂だった。
10人以上が入れる、広い浴槽だ。
洗い場には、大理石を切り出したものがある。
蓮花はそれにシャワーの温水をかけ、温めた。
「お座りください」
蓮花に洗われた。
柔らかな布と、蓮花の手で俺の身体を洗っていく。
「前を失礼いたします」
俺の胸と腹、そして立たせて、俺の足と尻、股間を洗う。
股間が丁寧にこすられる。
自然に持ち上がった。
「失礼いたします」
口に含まれた。
喉の奥まで挿し込み、根本近くまで呑み込まれた。
「申し訳ありません。石神様のものがあまりに大きく、すべてを含めません」
「構わない」
蓮花は再び呑み込む。
先端を舌で舐め回す。
蓮花は俺を座らせた。
「御自由にお使いください」
蓮花が俺に跨り、自分で挿し込んだ。
動く。
温かいものが滴る。
指で拭うと血だった。
「お前、初めてだったのか」
「はい」
俺は蓮花の中へ放った。
大量のものが、蓮花の下に流れ落ちる。
蓮花はまた俺のものを含み、舐めた。
俺は湯船に入り、蓮花は自分で身体を洗って横に座った。
「痛みはないか?」
「はい。ありがとうございます」
俺は蓮花を抱き寄せた。
「私は子どもは産めません」
「そうか」
「花岡」に、そのようにされたのだろう。
「俺はお前に産んで欲しかったけどな」
「!」
俺は蓮花の手を引き、洗い場へ連れて行った。
上げていた髪を降ろし、蓮花の髪を洗ってやる。
蓮花は驚いたが、大人しく洗われた。
「お前の髪は長いな」
「申し訳ございません」
「いや、時間をかけて洗えるから嬉しい」
「……」
丁寧に洗った。
蓮花は夕食の支度をすると言い、先に上がった。
俺はゆっくりと湯を味わった。




