表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

471/3165

蓮花 Ⅳ

 裏手の車用門に回る。

 栞がリモコンキーを手渡した。


 「ここももう、石神くんのものだから」

 「え、ここはいいよ」

 「なによ!」

 門が開き、中へ車を入れた。

 先日、俺に茶を持って来た女性が立っている。

 俺たちに深々と頭を下げた。


 「お待ちしておりました」

 前に立って案内される。

 座敷へ上がり、斬が入って来た。


 「よく来た」

 「なんか、痩せたんじゃねぇか?」

 「ダイエットしたからな」

 「癌ダイエットか」

 「貴様ぁ!」

 「あんだ、こらぁ!」

 「やめてよ、もう!」

 女性が茶を持って来た。

 俺、斬、栞の順に置く。

 黙って三人で啜る。


 斬の顔から険が落ちていた。

 栞の言う通りだった。

 精悍さや鋭さは喪っていないが、闇を湛えた危険なものがない。


 「おい、今日は蓮花の「家」に泊るぞ」

 「勝手にしろ」

 「家の中をいろいろ案内された」

 「そうか」

 「俺がもらうからな」

 「だから勝手にしろ」

 「お前な」

 「なんじゃ」


 「御主人様には口の利き方を気を付けろ!」

 「なんじゃとぉ!」

 「だからやめてってぇー!」


 俺たちは道場へ移動した。

 道着に着替える。





 「胸を貸してやる。思い切り来い」

 「殺すぞ、お前!」


 斬が仕掛けてくる。

 徐々に技を変化させ、俺を攻撃する。

 俺は受け流し、幾つかを敢えて受けた。

 最後に斬が「虚震花」を放った。

 俺は「闇月花」で対応しようとして、咄嗟に横に跳んだ。

 斬がニヤリと笑っている。


 「もう一度撃て」

 斬が放った。

 俺がそのまま受けて散らした。


 「!」

 俺がニヤリと笑った。


 「「大闇花」だ」

 「ふん、これまで防がれたか」

 「お前! 途中で気付かなかったら死んでるぞ!」

 「だから殺すと言っただろう!」

 「やめてぇー! そこまで!」

 栞が止めた。

 1時間以上遣り込んでいた。





 着替えて座敷に戻る。

 今度はコーヒーを出された。


 「あれは「虚震花」じゃないな」

 「新たに生み出した。まだ名はない」

 「位相がズレたな」

 「分かったのか」

 「「闇月花」では防げない」

 「そうじゃ。業への対抗技じゃ」

 「雅さんたちには?」

 「知らない。あれらは自分たちで何とかすればよい」


 栞が俯いた。

 万が一、新たな技が業に渡ることを恐れてのことだろう。


 「今日見せたものが、「花岡」の新境地じゃ。まだまだやるから、お前もたまには来い」

 「分かった」


 俺たちは帰ることにした。

 斬に見送るよう言った。

 庭の中ほどで、斬に観ているように言った。


 「轟閃花」


 空中に放った。

 広大な範囲にプラズマと電光が拡がった。

 一瞬、眩しい光が覆う。

 呆然と佇む斬に、俺は動きを教えた。


 「近くで撃つな。電子機器がすべて壊れるぞ」

 「わ、分かった」

 俺と栞はアヴェンタドールに乗り込み、自分で門を開けて出ていった。


 「石神くん、ありがとう」

 「なに、弟子に教えるのは師匠の役目だからな」

 後で必死に動きを辿るだろう斬の姿を思い、少しだけカワイイと思った。





 蓮花の「家」に戻ったのは、夕方に近かった。

 また蓮花が出迎える。


 「おかえりなさいませ」

 「風呂に入りたい。用意してくれ」

 「かしこまりました」

 俺たちは自分の部屋へ案内された。

 着替えを出していると、蓮花が来た。


 「こちらでございます」

 蓮花は黒い浴衣を手にし、俺の下着も受け取って持った。

 脱衣所で、俺の服を脱がせていく。

 その後で自分も脱いだ。

 扉を開け、中へ導く。

 大理石で覆われ、自然石を配置した見事な風呂だった。

 10人以上が入れる、広い浴槽だ。


 洗い場には、大理石を切り出したものがある。

 蓮花はそれにシャワーの温水をかけ、温めた。


 「お座りください」

 蓮花に洗われた。

 柔らかな布と、蓮花の手で俺の身体を洗っていく。


 「前を失礼いたします」

 俺の胸と腹、そして立たせて、俺の足と尻、股間を洗う。

 股間が丁寧にこすられる。

 自然に持ち上がった。


 「失礼いたします」

 口に含まれた。

 喉の奥まで挿し込み、根本近くまで呑み込まれた。

 

 「申し訳ありません。石神様のものがあまりに大きく、すべてを含めません」

 「構わない」

 蓮花は再び呑み込む。

 先端を舌で舐め回す。

 蓮花は俺を座らせた。


 「御自由にお使いください」

 蓮花が俺に跨り、自分で挿し込んだ。

 動く。

 温かいものが滴る。

 指で拭うと血だった。


 「お前、初めてだったのか」

 「はい」

 俺は蓮花の中へ放った。

 大量のものが、蓮花の下に流れ落ちる。

 蓮花はまた俺のものを含み、舐めた。

 俺は湯船に入り、蓮花は自分で身体を洗って横に座った。


 「痛みはないか?」

 「はい。ありがとうございます」

 俺は蓮花を抱き寄せた。


 「私は子どもは産めません」

 「そうか」

 「花岡」に、そのようにされたのだろう。

 「俺はお前に産んで欲しかったけどな」

 「!」


 


 俺は蓮花の手を引き、洗い場へ連れて行った。

 上げていた髪を降ろし、蓮花の髪を洗ってやる。

 蓮花は驚いたが、大人しく洗われた。


 「お前の髪は長いな」

 「申し訳ございません」

 「いや、時間をかけて洗えるから嬉しい」

 「……」

 丁寧に洗った。

 






 蓮花は夕食の支度をすると言い、先に上がった。

 俺はゆっくりと湯を味わった。  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ