再び、御堂家 X
翌朝。
俺はスヤスヤ眠っている双子の間に入る。
「「花岡流」!」
双子のオッパイを揉む。
「きゃー!」
「イヤラシー大王だぁ!」
双子が喜んだ。
俺は皇紀のパンツを脱がし、そっと柳の顔の横に皇紀を置いた。
「柳、起きろ」
「あれ……ギャー!」
柳が大騒ぎしたので、亜紀ちゃんが起きた。
つまらん。
「よし、顔を洗って着替えろ。今日は俺たちで朝食を作るぞ」
「「「「はい!」」」」
昨日の宴会場は、ほとんどそのままだった。
俺は皇紀と片づけをし、亜紀ちゃんと双子に朝食を作らせる。
十人ほどが、別な座敷で寝ていた。
「亜紀ちゃん、二十人分あればいいぞ」
「分かりましたー!」
何人かは食べられないだろう。
生ものを含め、多くのものは廃棄した。
皿や器、コップを次々に厨房に運ぶ。
ハーに、澪さんを起こしに行かせた。
きついだろうが、ここに真っ先にいなければまずい。
宴会場の食器類は大体運んだ。
俺と皇紀はテーブルを拭き、隅に寄せる。
畳を拭いていると、澪さんが来た。
「石神さん、すいません」
やはり疲れている。
「いいんですよ。夕べは早々に退散しましたから、みんな元気です。澪さんはそこに横になっててください。誰か来たら起こしますから」
「そんな」
「さあさあ」
澪さんは頭を下げて礼を言い、横になった。
柳が来たので、誰か来たら澪さんを起こせと言った。
雑巾を何枚か置いておく。
俺と皇紀は厨房で皿などを洗っていく。
朝食を作り終えた亜紀ちゃんたちも加わり、大体終わった。
9時になったが、誰も起きて来ない。
申し訳ないが、亜紀ちゃんに澪さんを起こしに行ってもらう。
「石神さん、すみませんでした」
「ああ、大体終わったんですが、皿などの戻し方が分からなかったので、子どもたちに指示してもらえますか?」
亜紀ちゃんたちが分かる範囲で戻していたので、すぐに終わる。
「さて、どうしましょうか」
「石神さんたちは先に召し上がってください。昼前にはみんな起きてくると思います」
澪さんはそう言い、座敷で寝ている人たちを起こしに行った。
みんな、朝食は食べずに帰ったようだ。
食欲がないという澪さんに、俺は濃い目の番茶を煎れた。
梅干しも食べさせる。
「夕べは大変でしたねぇ」
少し元気になった澪さんが笑う。
「ええ、滅多にない忙しさで」
「御堂も飲まされたでしょう」
「はい」
俺は柳に、澪さんを風呂に入れるように言った。
「あまり長湯はさせるなよ」
「はい」
「タカさん、この後どうしましょう?」
「うーん、そうだなぁ」
正利が起きて来た。
双子が朝食を出した。
「すいません」
俺は土鍋で粥を作る。
初めてなので、亜紀ちゃんも作業を見ていた。
出来上がった粥に、溶き卵をかけ、三つ葉を刻んでおく。
味噌汁はシジミを使わせてもらっている。
八丁味噌だ。
澪さんが戻って来た。
「気分はどうですか?」
「はい、大分いいです」
俺は粥を茶碗に軽くよそり、味噌汁と梅干を出した。
また番茶を煎れる。
「すみません、何もかもやっていただいて」
「なんのこともありませんよ。こいつら、真冬の八甲田山でも元気で帰ってきますから」
澪さんが笑った。
本当に少し元気になったようだ。
俺の部屋で横になってくださいと言った。
澪さんは断ったが、柳に連れて行かせる。
準備で疲れ切っていたところに、多分随分と飲まされたのだろう。
子どもたちは勉強を始め、俺は柳とまた縁側でのんびりした。
「お前の家の縁側っていいな」
「そうですかー?」
「ああ、家には「何もしない場所」って必要なんだな。さすが御堂の家!」
「アハハハ」
俺は柳に、今度御堂が俺の家に来るんだと自慢し、柳からしつこいです、とからかわれた。
御堂が起きて来た。
「おう! おはよう、大丈夫か?」
「おはよう。まあ、ちょっときついかな」
「澪さんは俺の部屋で寝てもらってる」
「そうか、ありがとう」
御堂も流石に冴えない。
俺は澪さんと同じ手順で風呂に入れた。
帰って来て、座敷で粥を食べさせる。
「番茶で水分を補給しろ。冷たいものはダメだぞ」
「ああ、ありがとう」
御堂も多少はまともになってきた。
「正巳さんは大丈夫か?」
「さっき様子を見て来た。飲み過ぎてはいるが、問題ないよ」
安心した。
「折角来てもらっておいて、あんな騒ぎになって済まない」
「いいさ、お義父さん!」
御堂が大笑いした。
柳も嬉しそうに笑う。
「ああ、夕べは子どもたちと柳も俺の部屋で寝た」
「そうか、ありがとう」
「柳が寝ぼけてなぁ」
「うん」
「皇紀のパンツを脱がせて大変だったんだ」
「そうか」
「あれは石神さんがやったんでしょう!」
俺たちは笑った。




