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星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


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再び、虎と龍 Ⅱ

 食事が終わり、風呂に入ろうとした。

 廊下に柳と亜紀ちゃんが立っている。


 「どうした?」

 「いえ、今日は三人で入ろうかと」

 「ダメだ! なんで亜紀ちゃんは毎日俺と入りたがるんだよ!」

 「だって、タカさんが大好きですから」


 「斎藤誠二呼ぶぞ!」

 「絶対やめてください!」

 「サイトウセイジって誰?」

 「まあ、それは一緒に入りながら」

 亜紀ちゃんが俺を脱衣所に押し込む。

 スゴイ力だ。


 「あ、私も!」

 柳が慌てて入って来た。



 もう、どうなっても知らん。

 御堂、責任はとれないからな!



 俺はさっさ服を脱ぐ。

 亜紀ちゃんも何の恥じらいも無く脱いで行く。

 柳は戸惑っていたが、思い切りよく脱いだ。

 別に興味はねぇ。

 いつものように、俺の背中を亜紀ちゃんが洗う。

 柳は自分で洗おうとしたが、亜紀ちゃんに止められた。


 「背中流しますよ!」

 「あ、うん」

 俺はその間、自分で洗った。


 「じゃあ、タカさん!」

 亜紀ちゃんが背中を向けている。


 「柳、洗ってやれよ」

 「あ、はい!」

 「えぇー」

 亜紀ちゃんはちょっと不満そうだったが、おねがいしますと言った。


 「タカさーん、髪ぃ!」

 俺は苦笑しながら亜紀ちゃんの髪を洗う。

 柳が見ているので、柳の髪も洗ってやった。


 「オッパイと毛が生えてるとこは自分でやれ」

 「「やだぁー!」」

 二人に軽蔑された。

 嬉しい。




 三人で湯船に入る。

 亜紀ちゃんは、鷹の話や他の女たちの話を柳にした。

 柳は双子が話したらしい宇留間の事件などを亜紀ちゃんに聞いた。

 亜紀ちゃんは一つ一つ柳に話した。

 俺はのんびりと寛ぐ。


 「石神さん、大変だったんですね」

 「まーなー。でもなんとかなったよな」

 二人はまだいろいろ質疑応答を続けていた。


 「あ、柳さん! タカさんが私たちと一緒にお風呂を嫌がる理由って分かります?」

 「いえ、なんでなのって言うか、恥ずかしいからでしょう」

 「違うんですよ! タカさんはお風呂でオチンチンをプルプルするのが好きなんですって」

 「ナニソレー!」


 「今日はやってもらいます?」

 「う、うん」

 「さー、タカさんどうぞ!」

 「やらねぇーよ!」


 「じゃあ、後ろ向いてますから!」

 「あのなぁー!」

 二人がクスクスと笑っていた。


 俺は立ち上がり、プルプルしてやった。


 「キャー!」

 「サイテー!」

 みんなで笑った。





 風呂から上がり、三人で梅酒会にする。

 タコわさとカプレーゼを用意する。

 カプレーゼには、たっぷりとオリーブオイルをかけた。


 「石神さんって、相変わらずとんでもないですよね」

 「そう言うなよ。自覚はあるけど、俺のせいじゃねぇ」

 「でも、拳銃事件は自業自得だったって」

 「それは言葉の綾だ! 二十年も前のことを恨んで銃弾ぶち込むなんて、正気じゃねぇ」

 「だって、タカさんが片目潰して、耳も千切っちゃったんですよね?」

 柳が梅酒を吹いた。

 亜紀ちゃんが布巾とタオルを取って来る。


 「な、なんですか、それは」

 俺は笑いながら、掻い摘んで説明した。

 柳は終始驚いていた。


 「あの、父は知ってるんですか?」

 「もちろん、俺と御堂の仲だからな」

 「はぁー」

 「どうだ、惚れ直したか!」

 「どこがですかぁ!」

 亜紀ちゃんと俺は笑った。


 「そういえば、フェラーリがもう無いって」

 「あ、柳さん! その話題は!」

 俺の目から涙が零れた。

 疲れているせいだ。


 「あ、マジで!」

 「だからやめてくださいって!」

 俺は柳が使ったタオルで顔を拭った。


 「まあ、代わりにアヴェンタドールが来たからな!」

 「そうですよ、タカさん!」

 亜紀ちゃんが俺の後ろに回って、肩を叩いてくれる。


 「仲いいですねー」

 「「うん!」」

 柳も笑った。



 「御堂家のみなさんもお元気か?」

 「はい! 祖父母も石神さんがいらっしゃるって楽しみにしてます」

 「そうか! 俺も楽しみだなぁ。御堂とも電話ではよく話すけど、やっぱり会いたいよなぁ」

 「本当に父のことが好きなんですね」

 「あたぼうよ!」

 「アハハハ」


 「あー、御堂にもアヴェンタドールを見せてぇなぁ。亜紀ちゃんたち、電車で行けよ!」

 「いやですよぅー!」

 「じゃあ、私と一緒に!」

 柳が言う。


 「だからダメですってぇー!」

 柳と肩を組んで、そうするかと言う。


 「タカさん、やめてください!」



 

 「柳、東大は大丈夫そうか?」

 「バッチリです!」

 「お前がダメでも弟がいるしな」

 「私が受かりますよ! それで来年はここに住むんです!」

 「え、そうなんですか?」

 「ああ、そういう約束をしたかもしれんな」

 「しましたよー! 絶対に」


 「じゃあ、お客さんの部屋がなくなりますね」

 「柳はゴールドの部屋でいいだろう。居候だしな」

 「ゴールドって誰です?」


 「「犬」」


 「なんですか、それぇー!」

 亜紀ちゃんと笑った。

 




 三人で、朝方まで楽しく語った。

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