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星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


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鷹、心に秘める美。 Ⅲ

 俺たちは、三井のアウトレットパークのカフェに入った。


 「鷹の食事の後だと、全然小腹も空かないよなぁ」

 「ありがとうございます」

 本当にそうだった。

 いつもはドライブの途中でちょっと何か摘まみたくなるのだが。


 「鷹なら、いつかうちの子どもたちを御してくれるかもしれんなぁ」

 「すみません。全然自信ありません」

 俺たちは、笑った。


 「でも、本当にこないだ鷹が作ってくれた料理は、子どもたちが大感動だったぞ」

 「いつでも、おっしゃって下さい」

 「そういえば、あの時は花岡さんが文句言ってたな」

 「そうですね!」

 また二人で笑った。


 「鷹は、花岡さんに対抗意識があるのか?」

 「ないと言えば嘘になりますが。ジェラシーですかね」

 「そうなのかよ」

 「ええ。自分でもよく分からないんですが、花岡先生の前だと、石神先生をこっちに向かせたくなりますね」

 「他の女性だと違うのか?」


 「そうですねぇ。六花さんとは違うと思います。もちろん響子ちゃんも」

 「響子はそうだろうけど、六花は独自路線だからなぁ」

 「アハハハ」

 「あいつは俺と鷹が仲良く料理を作ってても、嬉しそうに食べる奴じゃない」

 「そうなんですよね」

 「あいつほど、純粋な奴はいない。ただただ、俺に自分を捧げようとしている」


 「私や花岡先生は違うと?」

 「そうだな。むしろ六花が普通じゃないんだよ。あいつはどこかぶっ飛んでる」

 「ウフフ」

 「なんか、動物みたいに純粋なんだよな」

 「分かります」

 「鷹や花岡さんは、「女」だからな。その愛は間違ってはいないよ」

 「そうですか」



 


 「でも、石神先生も花岡先生の前だと私寄りになってくれるじゃないですか」

 「まあな。膨れた花岡さんって、カワイイじゃない」

 「アハハハ」

 「こないだは「ちょっと、言いたいことがある」ってなぁ。カワイかったよな!」

 「ああ、私は失敗しちゃったんですね!」


 「まあ別に、女同士で仲良くして欲しいなんて思ってないからな。いがみ合ってていいんだよ。それが普通かもしれんしなぁ」

 「そうですか」

 「でも、一つだけ分かっていることがあるんです」

 「なんだよ」


 「響子ちゃんも、花岡先生も、六花さんも、みんな石神先生のためなら命も捨てていいと思ってます。もちろん私も」

 「そうか」


 店を出ようとした時、鷹が「ちょっと待っててください」と言って走って行った。

 子ども連れのカップルの席で、何か話しかけている。

 スマホを開いて、礼を言って戻って来た。


 「すみませんでした。ほら、あの子が着てるトラのパジャマ、カワイイじゃないですか」

 見ると、子どもが着ぐるみのパジャマを着ていた。


 「響子ちゃんが喜ぶと思って。通販のサイトまで教えてもらいました」

 「そうか」

 俺は微笑んでそう言った。


 「これでまた一歩、鷹が花岡さんにリードしたな!」

 「エヘヘヘ」



 




 鷹のマンションに戻ると、上がって欲しいと言われた。


 「小腹は空いてないですか?」

 「ああ、大丈夫だよ」

 俺は笑って答える。


 「じゃあ、お風呂を沸かします」

 鷹が部屋を出て行き、俺は自分が活けた花を眺めていた。

 戻った鷹は、冷蔵庫からビールを出してきた。

 豆腐を切り、蒲鉾と漬物を切って、俺の前に置く。

 冷やしていたグラスに、缶のビールを注ぐ。


 「少し待っていて下さい」

 「ああ」


 酒を出したということは、今日は泊って行って欲しいということだ。

 言葉には出さない。

 俺はグラスのビールを飲んだ。

 乾いた喉に染み込むようだ。

 

 鷹は、仕事場や自分の部屋では徹底的に俺に尽くそうとする。

 外に出れば、俺と一緒に楽しもうとする。

 どちらの心も「鷹」だ。


 しばらくして、鷹が戻って来た。


 「お風呂が沸きました」

 「ああ」

 「あ、あの。一緒に入りますか?」

 俺への愛と恥ずかしさが葛藤している。


 「当たり前だ。来い!」

 「はい!」


 鷹は俺の服を脱がせ、丁寧に畳む。

 自分の服を脱ぎ始める。


 「恥ずかしいから、先に入っていてください」


 俺は笑って、先に入った。

 鷹が入って来る。

 タオルで前を隠している。


 「身体を洗ってくれ」

 「はい」


 鷹が俺を洗い始めた。


 「あの」

 「なんだ」

 「ここはどのように洗えばいいんでしょうか」


 俺は大笑いした。










 その夜、俺に責められた鷹は声を上げ、気を失った。  

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