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星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


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紅の友 Ⅱ

 1月の中旬の金曜日の午後。


 タケとよしこが来た。


 六花の勤める病院が見たいとのことで、響子の病室に顔を出した。

 俺も一緒に二人を迎える。

 響子は午睡から醒めている。



 「こんにちは」


 タケが大きな荷物を持って入ってきた。

 よしこは後ろでやはり大きな荷物を持っている。



 「タケ! よしこ!」

 「総長! お久しぶりです!」


 響子がきょとんとしている。




 「こちらが私が専属で担当している響子だ」


 「響子さん! はじめまして!」

 「響子さん! 総長がお世話になってます!」


 六花がタケとよしこを紹介する。

 別に何も隠すことなく、レディースのチームメンバーであると紹介した。


 「石神さん! お久しぶりっす!」

 「今回はいろいろとお世話になるっす!」


 「おう、久しぶりだな。元気そうじゃないか」

 「「はい!」」




 「しかし、響子さん、お綺麗ですねぇ!」


 響子が嬉しそうな顔をする。


 「はじめまして。タカトラのヨメの響子です」


 「「オオー!」」


 なんなんだよ。


 「お話は総長からよく伺ってます! 石神さんの一番のイロだとか」

 「そうだ。そして私は二号だ」


 いつものように腹にパンチが飛ばないので、六花は驚いている。


 「最後まで言い切ったぞ!」

 「総長! おめでとうございます!」



 まあ、こいつらのノリは楽しい。






 「あの、響子さんにこれを」


 タケが土産を持って来ていた。


 響子のサイズに合わせた特攻服だ。

 六花が教えたのだろう。


 色は紅だった。

 背中には、俺の特攻服と同じ「六根清浄」の刺繍がある。

 それも六花に聞いたのだろう。



 

 「あ、タカトラと同じ!」


 響子は喜んだ。

 早速着たいと言う。

 六花が手伝って着せてやった。


 「六花! これをみんなに見せていい?」

 「ああ、もちろんだ」


 「これで響子さんも、うちらの「紅六花」のメンバーです」

 「うれしい!」






 響子は俺に抱き上げろと言い、俺は抱きかかえて病院内を回った。



 「あ、響子ちゃん! ステキなの着てるね!」

 「石神先生とお揃い?」


 途中でナースたちから声を掛けられる。

 響子は嬉しそうに笑顔を振りまいた。




 病室に戻っても、今日はこれを着て寝ると言う。


 「折角お前のために作ってくれた大事な服なんだから、ちゃんと畳んで仕舞えよ」

 「うん、分かった」



 「お前ら、本当にいい奴らだな」

 「エヘヘ、ありがとうございます」



 二人は東京を見物してくると言い、荷物を響子の部屋で預かった。

 六花の仕事が終わる頃にまた来ると言う。


 今日は六花の家に泊まる。

 ベッドは一つしかないが、布団を借りたらしい。

 ちゃんとマンションのサービスを利用した。





 「じゃあ、ひとまずはこれで。明日は俺の家に泊まってくれ」

 「はい! お世話になります!」

 「あ、石神さんへの土産は、また明日に」


 「ああ、気を遣わせて悪いな」

 「「いいえ!」」



 楽しい連中だ。





 二人が出掛けた後、響子は俺にまた特攻服を着てきて欲しいと言う。


 「一緒に写真を撮ろうよ!」

 「いいですね! じゃあその時は私も着てきますから」

 「ほんとにぃ!」


 響子がはしゃいだ。




 以前に引っ張り出した後、大事なものだから「レ・ジュイール」にクリーニングを頼んだ。

 ワイシャツで一回3000円のクリーニングだ。


 俺が渡すと、非常に困ったという顔をされた。

 気持ちはよく分かる。




 「石神先生。これは」

 「俺の命だな」


 「はぁ」

 困りながらも、素材を確認し、刺繍や縫製をじっくり検分する。

 流石はプロフェッショナルだ。



 「うちではあまり扱いのないものでして」

 「そうだろうな」

 「どうしても?」

 「頼むよー!」


 「はぁ」




 少々気まずかった。




 しかし、響子と六花が楽しそうに写真の話をしている。

 まあ、しょうがないか。










 六花が響子を着替えさせ、特攻服を丁寧に畳んでいた。

 また、眩しい笑顔をしていやがった。

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