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星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


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岡庭くん、結婚します!

 「よう、久しぶり」

 「ああ、久しぶり。あの件かな?」


 俺は御堂に電話を掛けた。


 「そうだ。岡庭が結婚するんだってな」

 「うん。うちにも招待状が来たよ。石神は行くのか?」

 「ああ、結構忙しいんだけど、大学の仲間も結構来るらしいからなぁ」

 「僕は行くよ。できれば石神とも会いたいな」

 「そうだな。じゃあなんとかして行くよ」





 電話の向こうで「替わって、替わって」という声が聞こえる。

 柳だ。


 「じゃあ、柳にもよろしくな!」

 「ちょっとー! ひどいじゃないですか!」


 「アハハハ、久しぶり」

 「お久しぶりです。また時間を作って遊びに行きますからね!」

 「無理するなよ。別に待ってもいねぇからな」

 「もーう! 絶対に行きます!」

 「アハハ、分かったよ、いつでも来いよ」


 「今、父に頼んでいろんな本を教えてもらって読んでるんです」

 「そうか。興味もねぇけど」

 「なんで今日は冷たいんですかー!」

 「俺と御堂の間に割り込んでくるからな」

 「あー!」


 「じゃあ、御堂の前で「石神さん、愛してる」って言え」

 「……石神さん、愛してます」

 電話の向こうで御堂が爆笑している。


 「ひどい! からかいましたね!」

 「いや、御堂が元気そうで何よりだ。俺も柳を愛してるから早く御堂と替われ」

 「もう!」


 「あんまり柳をからかわないでくれ」

 「悪かったな。じゃあ当日また」

 「うん、楽しみにしてるよ」






 岡庭の結婚式は、12月の中旬の土曜日だった。


 山形は、もう雪のシーズンだ。

 どうしようかと思ったが、ハマーがある。

 雪道は慣れてはいないが、スタッドレスを履けば問題ないだろう。



 俺は栞と一緒に金曜の夜に出発した。




 栞はご機嫌だ。

 「ねえ、コーヒーを飲まない?」

 「いや、大丈夫ですよ」

 「じゃあ、ポッキー」

 「いえ、結構です」



 栞はコーヒーを水筒から紙コップに注ぎ、ポッキーを食べる。

 ニコニコしてる。


 「楽しそうですね」

 「だって、石神くんとドライブだよ!」

 「ああ」


 首都高から東北自動車道に入る。

 ここからが長い。


 「花岡さん、寝てくださいね。向こうには朝方着きますから」

 「え、やだよ。石神くんと一緒なんだから」


 「じゃあ、途中のサービスエリアでちょっと休憩しますか」

 「うん」





 「そういえば、子どもたちのことで、いろいろお世話になってます」

 「ああ、いいのよ。私も楽しんでやってることだし」


 月に一度ということになっているが、亜紀ちゃんと双子を栞の道場で面倒を見てもらっている。

 もちろん、異常な才能を制御するためだ。

 皇紀は行ってない。

 斬のじじぃに言わせると、驚くほどのへっぽこらしいから、制御の必要もない。

 また、できれば皇紀には姉妹たちの異常性を知らずにいて欲しい。





 「それにしても、岡庭くんが結婚するんだね」

 「そりゃ、大病院の跡継ぎなんですから、むしろ遅かったくらいじゃないですか?」

 「そうね。どんな奥さんなのかな」

 「さあ。俺も招待状を返しただけで、岡庭とは話してないですから」



 途中のサービスエリアで、休憩した。

 俺は眠くならないように、コーヒーと甘いものを少し食べた。

 栞は山菜そばを食べる。


 

 再び出発し、俺たちは「花やしき」での話や、相変わらずの子どもたちの食欲の話をし、栞はいつの間にか眠った。


 もう、窓の外は一面の雪だ。

 気温は零下6度。


 ハマーの中は暖房がきいて温かいが、俺は外の冷たい景色を美しいと感じていた。

 栞も美しい。

 俺と同じくタートルネックのセーターを着ており、大きく膨らんだ胸元が眩しい。


 俺はハマーを路肩に寄せ、ハザードを点けた。

 後ろから毛布を取り出し、栞にかけてやる。


 山形市内には、朝の3時に着いた。

 スタッドレスは非常に具合が良かった。





 栞が起きた。


 「山形に着きましたよ」

 「あ、ごめん。寝ちゃったんだね」


 「ちょっとどこかへ停めますから、もうちょっと寝てください」

 「でも、石神くん、寝てないでしょ」

 「もちろん、俺も一緒に寝ますよ」

 「ちゃんと寝ないと。そうだ」


 栞はカーナビを操作する。

 ホテルの場所を探している。


 「ほら、ここ」

 指差してみせたのは「キャッスル・リンリン」。

 ラブホテルだ。




 「ちゃんとベッドで寝ないと」

 「いや、でも」

 「何もヘンなことしなければいいじゃない」

 「そうは言っても」

 「ダメ!」


 押し切られる形で向かうことにした。


 入り口の無人フロントで部屋を選ぶ。

  

 「あ、SMの部屋があるよ。ここにする?」

 「いや、休みに来ただけですから」

 「折角だからさ。私、こういうとこ来たことがないから」

 「じゃあ、普通の部屋を」


 ガコン。


 キーが出てきた。

 栞が勝手に選んだ。


 「じゃあ、いきましょ!」

 

 廊下に自動販売機のようなものがある。


 「なにこれ。「オプション・サービス」だって。あ、これって」

 「そういうのはいいですから」


 ガコン。


 すごいのが出てきた。

 栞が勝手に買った。


 「じゃあ、いきましょ!」






 栞はさっさと服を脱ぎ、俺の服も脱がせる。

 丁寧に自分と俺の服をハンガーにかけ、畳む。


 「じゃあ、まずはお風呂ね。洗ってあげるね」


 ボディシャンプーの泡をたっぷりとつけ、全身を洗われた。

 とくに一部分。


 「あーもうー! 寝るだけって言ってたのにー」


 散々刺激したくせに。


 手早く自分の身体を洗い、一緒に浴槽に浸かる。

 温かい。


 栞は背中を向けて、俺に寄りかかった。

 

 「あ、何か当たってるぞ!」

 そりゃね。


 栞は自分の股間に俺の手を導いた。


 「私もね」


 自分で挿し込んだ。







 結局、ほとんど寝なかった。 

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