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星の家族:シャルダンによるΩ点―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科医の愉快な日々ー  作者: 青夜


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美しい姉妹 Ⅴ

 俺は音楽をかける。

 今日はCkayだ。

 特に『Love Nwantiti』が好きだ。


 俺のフェラーリには、特別なオーディをシステムを搭載してある。





 「それにしても、スゴイ食事ですね!」

 風花が言う。


 「そうだろ? あれはなぁ。ちょっと他所の家じゃ喰わせられねぇ」

 「アハハハ」


 「一度さ、亜紀ちゃんが友達の家に泊まりに行ったんだよ」

 「そうなんですか」


 「もう、心配になっちゃってさ。バナナを一房持ってけって言ったのな」

 「はい」

 「そうしたら怒っちゃってさぁ」

 風花が大笑いした。


 「でも、結局何本か持ってったんだよ」

 爆笑。



 「今後、亜紀ちゃんなんかも成長して、みんなで鍋とかやることもあると思うんだよな。心配なんだよなぁ」

 爆笑。


 俺は花岡さんの家や親友の御堂の家でのことを掻い摘んで話した。

 風花は大笑いしながら聞いていた。







 「なあ、風花」

 「はい」

 「六花とは仲良くやっていけそうかな」

 「はい、大丈夫です」

 「そうか」



 俺は首都高に乗って、羽田を目指していた。

 まだ七時だ。


 「石神さんは、お姉ちゃんのことが大好きなんですね」

 「まあな」

 「ウフフ」


 風花は嬉しそうに笑い、窓の外の景色を眺める。





 「東京はやっぱり違いますね」

 「そうか。俺と六花も大阪に行ってやっぱり思ったよ」

 「そうですか」


 「大阪は、温かい町だと思った。東京は冷たいからな。まあ、俺はそれがいいんだけど。でも大阪のなんとも温かみのある街もいいよなぁ」

 「私もそう思います。怖い人もいるけど、みんな優しくてあったかいです」

 「うん」




 「そういえば、一つお聞きしたいんですが」

 「ああ、なんだ?」


 「あの、姉はなんであんなにお金を持ってるんですか?」

 「ああ、なるほど」

 「石神さんは、お医者さんだから分かるんです。でも姉は普通の看護師ですよね?」


 俺は響子のことを金持ちの娘だと言い、六花が非常によく面倒をみてくれるので、病院とは別に手当てをもらっていることを話した。


 「そうだったんですか」

 「ああ。何しろ響子は特別な家の子どもで、病院内でも特殊なんだ」

 「普通じゃない部屋でしたもんね。いろいろと病室にはなさそうなものも一杯で」

 「うん。今日は可愛らしい虎も増えたしなぁ」

 俺たちは笑った。





 空港へはすぐに着いた。

 俺たちは駐車場からターミナルへ入る。



 缶ジュースを買い、二人でソファに座り、夜の空港を眺める。


 「綺麗な所ですね」

 「俺のお気に入りの場所なんだ」

 「そうですか」


 しばらく黙って外を見た。


 「なあ風花」

 「なんでしょうか」


 「六花とは仲良くやっていけそうかな」

 「それ、さっきも聞きましたよ!」

 「俺は心配性なんだよ!」

 「絶対ウソです」

 「ほんとだって!」

 俺たちは笑った。





 「六花って、変わってるだろ?」

 「そうですねぇ。ちょっと変わってますかね」


 「ちょっとどころじゃねぇんだよ」

 「ウフフ」


 俺は六花の父親の話をしてやる。

 

 「ひどい親父さんだったようだけど、サーシャさんのことをずっと好きだったんだよな。だからサーシャさんの面影がある六花に辛く当たることもあったんだと思うよ」

 「はい」


 風花は外を見ている。


 「六花も親父さんに反発し、軽蔑しながらも、どこかで慕っていたんだよな。だから親父さんが死んだ日には大泣きしていた。最初は自分が泣いてることにも気付かないでな」

 「そうだったんですか」


 「親父さんが死ぬ間際に笑って逝ったと、俺に嬉しそうに教えてくれた」

 「はい」

 風花は泣いていた。





 「まあ、そんなだからさ。ちょっと性格もひねくれちゃったんだよな」

 「アハハ」


 「自分が嫌われることに、ちょっと敏感なんだ。それと同時に、好きになった人間にはとことん尽くしちゃう、というなぁ」

 「ああー」


 覚えがあるようだ。


 「だから時々めんどくさいし、やり過ぎちゃうこともあるんだ」

 「石神さんは、それを私に言いたくて、ドライブに誘ってくれたんですね」

 「まあ、そういうことだな。俺も人の不器用さを言える人間じゃなぇってことかな」

 風花は声を出して笑ってくれた。


 



 「それとな」

 「はい」

 「風花も、もう俺たちの身内なんだから、何か困ったり悩んだりしたら、俺たちを頼ってくれな」

 「はい、ありがとうございます」


 「それが言いたかった!」

 「アハハハハ!」



 俺はまた、六花との出会いを教えてやり、風花を爆笑させた。

 響子のことで半狂乱になった話や、響子が隠れて甘いものを大量に食べてデブになった話などもする。




 帰りはイルミネーションが増えた六本木や銀座を回り、帰った。








 「お、お帰りなさい!」

 六花が出迎えた。


 「ただいま」

 「どちらまでいらしたんですか?」

 「ああ、羽田だよ」


 俺は亜紀ちゃんを呼んで風花に風呂を案内させた。

 映像は、俺が用意したものを流すようにと伝える。







 「それで」

 「あんだよ」

 「姉妹丼は」








 俺は六花の頭を引っぱたいた。

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